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「ナイル殺人事件」が素っ晴らしく面白かった。ネタバレなし

ナイル川から見る朝日の眩しさ、美しさよ。スクリーンの前にいる私ですら目を細めた圧倒的な映像美。

わが同棲カップルのクリスマスは共同出資で家電を買う日になっていて、今年は大型テレビかなあと話している。予算の都合上、諦めかけていたけど、やっぱり有機ELがいい。ぶっちゃけ画質がキレイという程度の知識で、果たして有機ELにこの作品が対応している(?)かなんて分からないけど、もう一度、独り占めしたくなる美しさだった。

平日の夕方、地方のショッピングモールの映画館だったせいか、まさかの観客わたしひとり。貸し切り状態なのに端っこの席で「ナイル川殺人事件」を黙々と見た。

あまりの神々しさにゾクッとさせられるエジプトの遺跡。豪華客船の上に広がる満点の星空。自分の感嘆が耳に届いた。

音楽もいい。ジャズ・シンガーのサロメの力強く色っぽい美声も、BGMも豪華絢爛な世界観にマッチしていて、惹き込まれる。そして連鎖する悲劇の殺人ーー。

エンドロールが流れて真っ先に思うのは、さすがアガサ・クリスティ! これだから好きなんだ!!!

人は愛のために何でもする」と、名探偵ポアロは言った。愛か、金か、人を殺人に駆り立てる動機は、それだけで十分。そして、善き人でいることを捨て、大罪を背負ってもいいと思えるもの、それが愛か、金か。

うんと面白い物語を読むと、行間のあいだに自分が書くはずの物語が見えてくるというのは、小説家・恩田陸氏の言葉だが、もしもこの作品を現代に置き換えてみたらどうだろうと考えているうちに、エンドロールが終わり、空間が明るくなって「バスの時間!」と現実に引き戻された。

購入したパンフレットは残り1冊だったようで、ディスプレイに飾られていたものを差し出された。うかうかしていると公開が終わってしまうと仕事を早めに切り上げて観に行って本当によかった。


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