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【革靴】の話 ウィング•チップ

今回はストレート•チップに続きウィング•チップについての話。
まずはこちらを。

前回はストレート•チップについて書きましたが、今回はウィング•チップについです。
ウィング•チップ…
そう、そのまま羽の意味を持ちます。

つま先部分(トゥ)の飾り革がW字型の切り返しで縫い付けられている靴のことをさします。
ウィング•チップはこのW字が鳥の翼のような形をしているためにそう呼ばれるようになりました。

靴全体的にメダリオン(つま先革の穴飾り)やパーフォレーション(全体的に施される大小の穴飾り)などの装飾を施しているものが一般的で、ビジネスからカジュアルまで様々な使い方ができる靴です。

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※メダリオン

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※パーフォレーション

このウィング•チップですが、実はアメリカでの呼び方で、イギリスではフルブローグと呼ぶ事が多いそう。または内羽根の場合は【フルブローグ】外羽根の場合は【ダービー•フルブローグ】とも呼ばれます。
そして日本でウィング•チップとして認識が広まったのは、アメリカのファッションやカルチャーに大きく影響受けたためそう呼ばれるようになったようです。

ちなみに、このウィング•チップの翼の長さが土踏まず辺りまであるものが通常の仕様ですが、踵まで繋がっているタイプをロング•ウィング•チップ、つま先部分で切れているものをショート•ウィング•チップまたはシールド•チップと呼びます。

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※ロング•ウィング•チップ

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※ショート•ウィング•チップ

さて、最後にこのウィング•チップの歴史を書いていいこうと思います。
ウィング•チップの歴史は16〜17世紀頃と言われています。スコットランドそしてアイルランドの高地に住むケルト系民族のゲール人が着用していた労働靴がそのルーツと言われています。
彼等の履くクアラン、ラリオンと呼ばれる作業靴はワックス引きの生皮製で、頑丈で耐水性に強い物でした。
この靴に現在のウィング•チップの基となるギザギザの切り返しや二重のステッチなどが施されており、さらに湿った地形を移動する時に水はけを良くするために穴飾りが装飾されたそうです。

その後、19世紀末頃にはクアランリオンがイギリスへと渡り貴族達が田舎で散策やハンティングの際使用するカントリーブーツを開発。そして1900年初頭にブーツだけではなく短靴の製品も誕生日しました。
カントリーシューズの先端のデザインであるW字や穴飾りを施した内羽根ウィング•チップが紳士靴の新たな定番に加えられこととなります。

第一次世界大戦終結後の1920年代にはアメリカへ渡り爆発的な流行をします。ワークブーツなどに積極的に取り入れられているのちにウィング•チップはアメリカで独自の変化を遂げ、ウィング•チップ部分の両端がカカトまで伸びたカジュアル仕様のロング•ウィング•チップ(アメリカンブローグ)が生まれ、アメリカントラッドを象徴する靴として現在も愛されています。

参考 OTOKOMAE

はい、というわけで今回はウィング•チップについて書いていきました。

ウィング•チップもこのREGALの様なアメリカっぽいものから

トリッカーズのカントリーブーツまで様々あります。

ビジネスやドレスライクな場面からカジュアルシーンまで用途は色々なので、是非実際に手に取って見てみて下さい。
個人的には革靴はこのウィング•チップが好みですね。

では、また書きまーす!

#ファッション雑学
#ウィング •チップ
#革靴

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