#51 インスリン抵抗性を改善する薬
こんにちは。
薬についてちょっと詳しい人(薬剤師)です。
日々の業務で感じたこと、気づき、疑問をつづっています。
早速糖尿病で使われる薬について見ていきましょう。
糖尿病に使われる薬は主にこの4種類に分けられます。
今回は、「インスリン抵抗性を改善する薬」について。
まずは、インスリン抵抗性についておさらいです。
インスリン抵抗性とは、「インスリンは分泌されているのに、正常に働いていない状態」をいうのでした。
つまり、インスリン抵抗性を改善する薬とは、「インスリンがうまく働くようになる薬」というわけです。
インスリン抵抗性を改善する薬には、
●ビグアナイド薬
●チアゾリジン薬
があります。
ビグアナイド薬:メトグルコ®︎(メトホルミン)
メトホルミンのメインの作用は、肝臓での糖新生(乳酸からのブドウ糖生成)を抑制することによって、血糖値を下げることです。
糖が血液中に放出されないようにするんですね。
他にも、
・脂肪肝を改善
・骨格筋や脂肪組織への糖取り込みを促進
・糖の吸収を抑制
などの作用もあります。
また、体重増加の副作用が起こりにくいのもポイントのひとつ。
古い薬ではあるけれど、最近見直されてきた薬なのです。
ただ、メトホルミンは、飲み始めに下痢や気持ち悪さなどの消化器症状が起こることがあります。
しかし、次第に慣れていく。
これを伝えておかないと、飲み始めや増量した際に、「おなかの調子が悪くなったから飲むのやだ。」とか言われかねないので注意。
チアゾリジン薬:アクトス®︎(ピオグリタゾン)
ピオグリタゾンは、脂肪細胞を小型化して、インスリン抵抗性を改善します。
は?何言ってんの?と思った方、しばしお付き合いください。
肥大化した脂肪細胞(肥満の人とか)では、インスリン抵抗性がどんどん亢進していく。
ピオグリタゾンは、その肥大化した脂肪細胞に働きかけて、小型脂肪細胞に変われー!と促す。
小型化した脂肪細胞では、インスリン抵抗性を亢進する因子は出ていないので、インスリン抵抗性が改善されていく。
こんな感じ。
ちなみに浮腫みやすくなるので、塩分摂取に注意の薬です。
インスリン抵抗性を改善する薬は、単独で使えば低血糖(血糖値が下がりすぎる)を起こしにくいのが特徴。
インスリン抵抗性改善薬といっても、この2つ、全然違ったアプローチの仕方でおもしろいですよね。
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みなさんのヘルスリテラシーの向上に少しでもお手伝いができますように。
参考:薬がみえるVol.2
まるごと図解 糖尿病看護&血糖コントロール
薬局で使える実践薬学
引用:大日本住友製薬
武田薬品工業
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