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写真を買った話

写真を買いました。

買いましたー!

この写真は、System of Culture(SoC)さんの作品で、去年上野の森美術館のVOCA展で作品を見た時から一目惚れして、SoCさんの作品欲しいなあと思っていたのですが、ひょんなことから購入する機会に恵まれて即決。今では部屋に飾られています。
ちなみに、VOCA展で見て私が一目惚れした作品はこちら。

VOCA展にて撮影(VOCA展は撮影OKです)
キャプション

絵画と写真をつなぐ、と書かれていますが、まさにそういう作品で、一見して普通に見えるけれど、実は遠近法とかが緻密に考えられている。普通に写真を撮るだけでは得られない絵画の遠近法を、技術で表現しています。その表現力と技術力の高さが素晴らしくて、欲しいな〜とか思っていたところ、ご縁があって冒頭の作品を手に入れることができたわけです。

冒頭の作品は、西洋絵画の手法を取り入れられて作成されているわけですが、最もわかりやすい例としては、こちらの作品が挙げられると思います。

ヘダ・ウィレム・クラース『鍍金した酒杯のある静物』1635年

リアルですよね。でも、人間の目でこんなふうに見えることは実際にはあり得ない。必ずどこかにピントが合っている時、他のところはぼやけている。こんなに一度にものは見られないのです。人間の視野で現実にこんな景色が見られることは絶対にありません。この絵は、高度な遠近法で書かれているにもかかわらず、全く現実ではない。こういう技法を、「多視点」で見たものを「再構成」していると言います。
翻って冒頭の作品を見ますと、まさに「多視点」で見たものが「再構成」されています。こんなマクドナルドを見ることはできません。

さらに加えて素晴らしいのは、西洋絵画で使われるモチーフを微妙に変えて入れながら、絶対に西洋絵画が描かないであろうマクドナルドをモチーフににしているところ。西洋絵画には「象徴(シンボル)」としていろんなものが出てきます。例えば犬は忠誠のシンボルだったり(犬が描かれているということは、その絵は権威に服従しますという意味です)、純白とか白百合は純潔の意味だったり(だから聖母マリアは基本的に白い衣服しか着てませんし白百合をよく持っています)、サンダルが脱ぎ捨てられていたらそこは神聖な場所であるという意味だったり(屋外で履くサンダルを脱ぎ捨てなければいけない場所だということです)します。
そういう中の一つにローソクがあって、西洋絵画では1本だけ立つローソクの明かりは万物を照らすキリストを意味します。しかし、これがなんと高さが違って3本もある。そして照らされているのは食べかけのマクドナルド。これは、現代では誰かを照らし出すのは誰か特定の1人だけではないし、照らし出されているものが素晴らしいものでなくてもいい、もっと言えばジャンクでいいというメッセージだと受け取りました。もちろんこれは私の妄想ですが、そういう受け取り方も理屈の上ではできるということです。余談ですが、私がマクドナルドをよく撮る理由の一つに、この作品が好きだからということが挙げられます。ありがとうSoCさん。

今回購入した写真、単純に印刷のトーンも素晴らしく、インクジェットプリントの質感も大変気に入っております。今回はわがままを言ってプリントだけ購入し、額装を自分で段取りさせてもらったのですが、もちろん額と一緒に購入することもできます。皆さんも気に入った写真があったら、買ってみてはどうでしょうか? きっと素敵なことが起こりますよ。

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