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何かを得るには何かを犠牲にしなくてはならない
ベルセルクってマンガをご存知でしょうか?最近作者様が亡くなってしまい、惜しまれながら未完の名作となってしまったダークファンタジー作品です。
詳しい内容説明などは割愛しますが、とにかく暗くて本格的で骨太なファンタジー作品なんで最近のぬるいマンガにげんなりしてる人には間違いなくおすすめです。今日はベルセルクのネタバレも含むんで未読の人は注意してください。
さて、前述のベルセルク、既読の方はご存知だと思いますが、「ベヘリット」というキーアイテムが出て来ます。
これは簡単にいうと
「何かを捧げると願いが叶う」アイテムなんですが、作中の使われ方が凄まじく、おそらくマンガ界でも伝説的になっているのではなかろうかと思います。
作中、「鷹の団」という傭兵部隊(のちに国家正規軍)のリーダーグリフィスが諸事情で投獄され、拷問の限りを尽くされほぼ廃人になった時、このベヘリットが発動します。
実際作中でグリフィスが何を望んだかはわからないんですが、
グリフィスは
鷹の団全員の命と引き換えにゴッドハンドと呼ばれる上位悪魔として転生します。
単行本がっつり一巻使って描かれる鷹の団虐殺はそれはもう凄惨で、当時読みながら「何を見せられているんだ」と困惑したくらいです。
「何かを得るには何かを犠牲にしなくてはいけない」
この時ベルセルクを読みながら強烈に感じた感覚は僕のその後の人生に影響を及ぼしたように思います。
現在、僕は作曲を生業にしています。これはそれこそベルセルクを読んでいた20歳頃から目指していた生き方です。おかげさまで普通の会社員くらいの生活はできるようになりました。
でもここに至るまでは決して平坦ではなく、悪路というか壁がいくつも立ちはだかっていたように思います。
曲をいくら作っても評価されない、ってかまず聴かれない、
知り合いがメジャーデビューした、別の知り合いはインディーズだけど人気で全国ツアー、音楽をやめたかつての友人は有名企業で出世街道だ。
そんな時の感情ってわかります?悲しいでも悔しいでもないそれらを超えたところにある純粋な自己嫌悪みたいなものに満たされるんですよ。
んでね、多分どこかのタイミングで、正確にいつかはわからないけど願ったんですよね。それこそベヘリットに願うように。
「大切なものを捧げます。だから音楽で生活できるようにしてください」
僕が捧げたのは音楽の楽しい部分、「ライブ」と「バンド」でした。
僕の思う音楽の醍醐味、というか一番楽しい瞬間って、
・自分がカッコいいと思えるバンドで
・自分がカッコいいと思える曲を演奏して
・お客さんが熱狂してくれる
だと思うんですが、その全てを捨てました。
自らバンドが出来ないよう引越した時が一つの分岐点になり、作る曲も聴く曲もバンドサウンドをあえて避けるようにした時期が何年もあります。
そんなこんなでそれからもう余裕で10年以上、おかげさまでなんとか食えてます。
最近たまに
「バンドしようぜ、ライブしたいな」
などとお誘いいただく事もあるのですが、やんわりお断りしています。
めちゃくちゃバンドしたいし、そろそろ時効だろう、逆に今の作曲能力なら人気でて収入になるんじゃね、とか思ったりもするんですが、ぐっと堪えてます。
バンドやライブの楽しさを捨ててようやく手にした「今」が失われるのが怖いんすよ。同時に当時捨ててしまった諸々に申し訳がたたないんですよ。
とまあそんなこんなで日々黙々と曲をつくってます。
寂しいと思う事もあるけど、まあ仕方ないかなと
会社員して管理職になった友人だってバンドを犠牲にしていまの地位があるんです。
勉強に打ち込み資格とった友人だって音楽を犠牲にして今の地位があるんです。
とまあそんな話でした。
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