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ブックカバーチャレンジ4

海上保安庁特殊救難隊、通称「トッキュー」を舞台にした熱い救助ドラマ。男性誌のマンガをいまいち楽しめなかった私がこの作品にハマったのはおそらく、漫画担当の久保ミツロウさんが女性であるからだ。久保ミツロウさんと聞いて、「モテキ」を思い出せる人も多いのでは。森山未來さん主演で映画化されたあの作品を。元々消防や自衛隊などに憧れ…自分が働いてみたいという憧れがあったのと、海上保安庁に就職した友人が居たのとで違和感なくするりと読み進み、気がついたらハマっていた。所々に男性誌らしいギャグ、面白ポイントを備えつつ、テーマは想像以上に深く、救難とは、助けるとは、ということを厳しくつきつけてくる。要救助者がそこにいるとわかっているのに、行けば死ぬ確率が高い時にどうするのか。情熱だけでは人命救助は成り立たない。けれど情熱がなくても出来ない。隊員それぞれの思い、ジレンマ、そのなかに絶妙なバランスでおふざけが入ってくる事の心地よさ。ザ・主人公たる兵悟君のまっすぐな情熱、ライバル盤(メグル)君の歪んだ情熱のわかりやすい対比が進んだ先には、兵悟君の心の奥底の闇が見えてくる。そこではメグル君は、兵悟君の最大の理解者となる。
軽さと重さ、面白さと真剣さ、男だらけのドラマを女性が描くという、バランスのとれた体育会系漫画です。

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