進化論基礎 ~君は優生学を否定できるか~

「進化論とは、生物が進化したものだとする提唱、または進化に関する様々な研究や議論のことである。」(Wikipedia引用)

ここではダーウィンが言った進化論を基に話していくのですけれども、なんとなく知っているけどよくわからんのよね、といった人向けの文章です。結構粗削りなので細かいところは間違っているかもしれませんがご容赦です。(めっちゃ間違ってたら教えてください)

進化とは

キリンの進化のよくある誤解

 どこかでキリンがなぜ首が長いのか聞いたことがあるかもしれません。「キリンさんはね、高いところにある葉っぱを食べたくて首が伸びたんだよ」、これ結構間違っています。

 まず一匹のキリンは頑張っても首は伸びません。私たち人間が頑張っても飛べないのと同じで、努力でどうにかなる範囲というものがあります。ではなぜキリンの首は伸びたのでしょうか。

 昔々、首の短いキリン(キリンのご先祖さん?)がいました。低いところにある葉っぱを食べていましたが他の生き物もその葉っぱを食べるのでなかなかおなか一杯に食べられません。無理に食べようとすると攻撃されるので危ないです。ある日ちょっと首の長いキリンが生まれました。このキリンは他のみんなが届かないところにある葉っぱを食べることができたのです!このキリンは順調に子孫を残すことができ、いつのまにか首の長いキリンだけになってしまいました。

 進化論の考え方は上のような感じです。ちょっと詳しく見ていきましょう。まず最初の首が短いキリン。このキリンは満足にごはんが食べられなかったり生命の危機が高かったりするので、子どもを産む前に死んでしまうかもしれません。次に首の長いキリン。このキリンはいっぱいごはんを食べられますし、わざわざ危険なところへごはんを食べに行く必要はありません。なので首の長いキリンは短いキリンに比べると子どもを残せる確率が高いです。

 生き物はこのようなことがあってときどきすごく見た目を変えることがあります。進化論とは、なぜこの生き物はこんな見た目なのだろう、なぜこんな性質を持っているのだろう、という疑問に答えてくれる考え方です。こんなことになっているのは「生存に有利だから」、これに尽きます。キリンはなぜ首が長いの?それは生存に有利だから。なぜ生存に有利なの?それはちょっと自分で考える必要がありますが、進化論によればこの地球上に生きている生き物が今残っている理由は、何かしら生存に有利だからなのです。

ヒトは何が有利なのか

 我々人間だって今生き残っているのですから、何かしら生存に有利になる要素があるはずです。ちょっと考えてみてください。・・・有利すぎますよね。日本に限った話をさせてもらうと、寝ているときに死ぬ危険はほぼありません。明日の食べ物がない危険はたいていありません。このような状況になったのは大体がこの脳みそのおかげです。人間はお猿さんとかに比べると脳の容量が大きいです。脳が大きくなったことで複雑なことが考えられるようになって我々の生存はどんどん有利になっていきました(ほんとは脳の大きさといわゆる賢さは必ずしも関係するわけじゃないんだけどね)。

 実は脳の容量が大きくなったのは人間特有の性質によるものなのです。それは「直立二足歩行」です。チンパンジーとかゴリラを思い浮かべてほしいのですけど、歩くときに前足(人間でいう手)を地面について歩いていますよね。それを人間は止めました、もちろん止めたくて止めたわけじゃなくて進化のおかげで「たまたま」直立二足歩行ができるようになったのです。最初はたまたまずっと立てるようになったけど、実はこれなかなかいい特徴なのです。視界が常時高くなって敵を見やすくなります(生存率up)。さらにおまけで(おまけかどうかは主観なのだけれども)、脳が大きくなることができるようになります。どういうことかというと、直立に立てるので脳が大きくなってもバランスが崩れません。これまでは前足をついて歩いていたので前の方へバランスを崩す危険がありましたが、もはやその心配はありません。そういうわけで「直立二足歩行」という最初の性質からとんでもない方向に進化していくことになります。

進化と環境

人間は最強の生物?

 これまでの話を聞くと、なんだかずっと生き物が生きているとたまたまが起こりまくって「最強」の生物が生まれるんじゃないの?とか考えるかもしれません。実際昔の人が人間やその周辺のチンパンジーとかをひっくるめてPrimates(霊長類)と呼びました。

 Weblio辞典によるとPrimatesの語源はラテン語の「第一位の」という意味の単語由来だそうです。「霊長」という日本語も適当にネットで調べると、「万物の中で最もすぐれているもの」という意味が出てきます。つまり、霊長類こそ最強の生物と考えていたのです。実際今も考えている人もいるでしょう。しかし、そのような人は生き物と環境が切っても切り離せない関係にあることを知らないのです。

環境が変わると最強も変わる

 ちょっと昔の話をしましょう。昔といっても何千万年前の話です。まだ地球を恐竜がたくさん歩いていた時代、それは突如として終わってしまいます。恐竜は絶滅しました。なんで絶滅したかはいろいろ議論されているんですけども、隕石が地球に降って来てそれで気候が変わったから、とかいう説があるみたいです。じゃあ今回は隕石が落ちてきたテイで話しますね。いままで恐竜が闊歩していたのはあきらかにその当時地球最強だったからですね。長い進化の末いい感じの特徴を手に入れたのです。しかし、その天下は隕石の墜落によって終わりました。つまり環境が変わってしまったのです。

 このように地球の環境が変わればどのような生き物が生存に有利か、つまりどの生物がより最強かは変わってきます。ということは人間が最強だ!と豪語することは傲慢以外の何者でもありませんよね。

人間様「我々は最強の生物だ!」
そこらへんの木「フーン、じゃあいま突然酸素が無くなっちゃったらどうするの?」

 あり得ないと思うかもしれませんが充分あり得ます。そもそも大昔の地球は酸素がなかったのですし。もし環境が激変したらとか考えてみるとどの生物が最強かの議論は不毛だとよくわかります。

個体がたくさんいることの重要性

 環境が変わるって怖いですよね。でも絶滅の確率をちょっとでも減らす方法があります。それは個体がたくさんいることです。人間でいうと、いろんな人がたくさんいることです。ではちょっと環境を変えてみましょう。めっちゃ地球が暑くなりました。寒い地域に住んでいる人はそれに耐えられずにどんどん死んでいきます。でも熱い地域に住んでいる人は平気みたいです。人間が多様なおかげで絶滅はしなくて済みましたね。実はいろんな人がいるって大事なことなのですよ。

優生学の隆盛

優生学の概要

 むかしダーウィンという人が『種の起源』で彼独自の進化論の考え方を発表しました。おおむねいままで話してきた考え方と同じです。しかしそこから「賢い人だけが子どもを産むようにしたらもっと人類は発展するんじゃない?(賢い人だけが生き残る環境を人工的に作ろう!)」といった考えが誕生しました。これが優生学(優生思想)です。今の時代で考えると「賢くない人」の人権のかけらもない話なのですが、20世紀ぐらいにはとても流行った考え方です。さて皆さんは人権とか倫理に触れずともこの考え方を否定する材料を持っています。この考え方の何がいけないのでしょう。

優生学への反論

 そうですね、いわゆる賢い人は今の環境だから有利に見えるだけ、だからですね。もしどこからともなく巨人が現れて、戦うことができなければ死ぬ環境に変わってしまったら、その頭脳は何の役にも立ちません。もし勉強ばかりする人を礼賛して体を鍛えてばかりの人を迫害していたら、このような環境になると人類は絶滅しますね。そんなわけで、優生学を推し進めることは、人間の多様性を減らして絶滅を受けいれようとしているようになってしまいます。これだと人間を生存させたいのか絶滅させたいのかわかりませんね。

練習問題:陽キャと陰キャ

 さてちょっと人間のことを考えてみましょう。この世にはいわゆる「陽キャ」と「陰キャ」がいるとされています。私のなんとなくのイメージなのですけれども、陽キャは「積極的」、陰キャは「消極的」のように思われます。ということは子どもを残す可能性が高いのは陽キャであるように思われます。しかし、人類20万年の歴史の中で陰キャはいなくなりませんでした。それどころか一定数は陰キャです。この矛盾から分かることは、「陰キャであることで生存が有利になることがある」ということです。なんで?そんなの思いつかないよ、という人が大半だと思いますが、数年前に環境の変化が起こりその答えのヒントを教えてくれています。

 そうですね、コロナウイルスです。コロナは他人と積極的に接するほど感染する確率は上がります。つまり陽キャの人の生存率が下がり、相対的に陰キャの人の生存率は上がりました。

 危なかったですね。もし「陰キャは陽キャより子どもを残さないから抹殺しよう」なんてことが起きてたら大変なことになっていました。人に優劣なんてないんですよね。そのことをコロナが教えてくれました。

まとめ ~正しく使おう進化論~

 このようにダーウィンの進化論はとてもすっきりと我々の謎を解き明かしてくれます。我々人類が生き延びているのは「たまたま」なのです。でもこの考え方を間違って使ってはいけません。「この人たちは非生産的だ!環境によって排除されるべきだ!」とか言っちゃいけません。そんな人はいません。皆等しく人権を持っていることになっています。実際、皆一人の人間という点で等しいですし。みなさんは大丈夫だと思いますが、進化論の考え方は間違えると迫害に向かってしまいます、実際優生学がそうであったように。皆さんがこれからすることは自分でもっと進化について知ることです。こんな信用ならない文章なんか読んでないでね。

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