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【カフェ経営】で学んだ人生で大切なこと〜別れの痛み〜

コロナ禍のある日。
美しく決まったヘアスタイルの小柄なご婦人。70代位、お一人さまが来店されました。

「このおすすめのカレーセットをお願いします。」
「承知しました!」

スタッフがお料理を準備してくれている間、
いつものように、
「おうちはお近くですか?」
とお話しかけをしました。

「ええ。
すぐ近くでいつも気になってたけど入る勇気がなくてね…、でも今日ようやく入れたわ。」
私:「そうでしたか。ようこそお越しくださいました!」

店内が空いていた事もあり、お食事後もたくさんお話ししました。

美容院の帰り道ということ。
近所の手芸屋さんが春に閉店してしまうということ。
セールで久しぶりに刺繍をしてみようと思ってピンクの糸を買ってみたということ。

いろいろお話ししているうちにご婦人がポツリとひと言。
「あした、主人のお葬式なの。」

「お…、お葬式ですか?」

「そう。
3日に亡くなって。
少し入院したけど、苦しまないでシアワセだったねって周りの人にも言われるんだけど。」
「そんなにアツアツな夫婦じゃなかったけど、今までずっと一緒にいた人がいなくなるというのは…。なんだか、、どうしていいかわからなくて。」
「それで、娘に外に出て落ち着いてきなさいと言われたんだけど、、 
なんていうか。。
寂しいとか辛いとかじゃなくて…
苦しくて。。
落ち着かなくて。
どうしていいか…わからなくて…」


夫婦は空気のような存在とよく言うけど、
急に空気がなくなったら…、
自分の体の一部が急に無くなったら…、夫が健在の私には想像できない苦しみ。
心の痛み。
そんな時、どんな気持ちなのか。
どうしていいかわからなくて、いたたまれなくて、なんと辛い事か。

わずかばかりの想像でしたが、
婦人と心と一瞬、共鳴し涙が溢れました。
でも、その涙を見て、
婦人は少しにっこりされたように見えました。


帰宅後、
大したプレゼントは用意できませんでしたが、その日無事50歳を迎えたダンナさんに、

「お誕生日おめでとう。」と、
心を込めて笑顔で伝えました。

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