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3ステップで始める能動的思考プロセス

「えーだーまめっ」「床にばーらまーいてっ」
ノリノリで歌いまくる次男。
『ぷちぷちっぷちぷちっ』『ふみっつーぶしたっらー』
Σ(゚Д゚) えっ!?妻も参加したっ!?
二人ともめっちゃ楽しそうだけど早くお風呂入ってくれないかな…って思いながら見ていた初瀬野アヤセです。こんにちは。

さて、今日は新人社員研修で説明している能動的に行動するための思考プロセスを取り上げます。
思考方法の基本 7つの視点と相互補完する内容になっていますので、宜しければそちらも合わせてご覧下さい。


考える方法や手順について教えてもらったこと、ありますか?

「人に聞く前に自分の頭で考えろ!」なんて言葉(罵声?)、耳にしたことありませんか?
昭和然とした古い文化が残っている業界や社員の平均年齢が高い企業では耳にすることがまだまだ多いのではないかと思います。
遡れば幼少期から「考えてみようねー」と声掛けされることが多かったと思います。

でも、ちょっと待ってください。
考える方法や手順について教えてもらったこと、ありますか?

ほとんどの人は教えてもらったことがないと思います。
「そんなもの、自然にできるようになるものだ!」
まるで考えることは誰でも自然に簡単にできるように聞こえますよね。
そうかもしれませんが、そうではないかもしれませんよね。

例えばひらがな。
日本で生まれ育ったのであれば、ほとんどの方が読み書きできるでしょう。
なぜか?
小さい頃から何度も繰り返し練習して形や書き方、読み方という【型】を覚えたからです。

では漢字はどうでしょうか?
画数が多く複雑な漢字や日常的に使わない漢字の場合は読み書きできないことも多いと思います。
なぜか?
【型】が定着するほど繰り返し練習していないからです。
定期テストの為だけに必死に覚えた漢字であれば、テストが終わってしばらくするとほとんど忘れてしまう事も珍しくありません。

ひらがなと漢字の事例で説明しましたが、ものごとには全て【型】があります。
型と言えば陸上などのスポーツや空手などの格闘技の指導で用いられる身体操作法を想起する方が多いと思いますが、思考など目に見えないものにも当てはまりますし、実は世の中にたくさんあります。

料理のレシピはおいしい料理を作るための型ですし、トヨタ生産方式やISO、IATFなどは仕事の仕方を型にしたもの、マーケティングは売る方法を型にしたもの、クリティカルシンキングなど○○シンキングと言われるものは思考方法の型と言えるでしょう。

そうなんです。考える方法や手順、実はあるんです。

ジャンルを問わずこういった手順は先人たちが積み重ねた経験をもとに体系化されて再現性のあるものになっていますので、やみくもに取り組むよりも型を見本にして練習することで、誰でも効率的に上達できる可能性があります。

守破離という言葉があるように、最初は型を守ることから始まりますよね。
新しく何かに取り組む際には、最初に何らかの型があるかどうかを確認してみることをお勧めします。試行錯誤の労力が全く変わってくる可能性があります。

ここでは○○シンキングなど個別の方法、手順については触れず、基本的な思考プロセスだと私が考えている内容について説明しますね。思考するだけではなく、思考を元に能動的に行動することを前提とした思考プロセスになります。下記がそのプロセスです。

①5W1Hを使って疑問をつなげて思考を広げよう!
②情報を整理しよう!
③工程(プロセス)を構築しよう!
④①~③を繰り返そう!

3ステップあり、何度か繰り返すことで思考を深めることができます。順に見て行きましょう。

ステップ①:5W1Hを使って疑問をつなげて思考を広げよう!

意識して考えることはあまりないかもしれませんが、思考にも起点があります。
五感を刺激されたり魂が揺さぶれたりして思考が動き出すときは、ほとんどが疑問か欲求が起点になっています。疑問も強ければ強いほど、答えを知りたいという強い欲求に変わってきますよね。

5W1Hで起点を客観的に捉えよう!

Why:どうしてそうなった?なぜそれをしようと思ったの?
How:どうやったの?なんて素晴らしい!
Who:誰の話?彼は何者?
What:アレ何?アレをやってみたい!
When:いつするの?いつからいつまでやってるの?
Where:どこに行ったの?どこにあるの?

このように5W1Hで考えることで、自分の思考が何を起点にしているのか、客観的に見られるようになります。

なお、5W1Hの基本的な使い方については冒頭で触れたnoteで説明していますので、そちらも合わせて読んでいただければ嬉しいです。

2Wで心からそう考えたのか確認しよう!

起点を客観的に見ることができればそこから思考を続けていけばOKですが、2つのWについては最初の段階で確認しておいたほうが良いです。

特に衝動的に何かに取り組んでみたい!となった場合は、実際に行動する前に、本当に心からそう考えたのか、反射的な反応なのかを見極めたほうが良い結果につながる事が多いです。

What:何を実現したいのか?それでないとダメなのか?他で代用できないのか?
Why:なぜそれをやりたいのか?本当にやりたいのか?

この2つを明確にしたうえで取り組んでみたい!と心から考えるのであれば、思い立ったが吉日です。その瞬間が自分の人生にとって一番早いタイミングですから、すぐに行動できれば最高ですよね。

なぜ?どうして?から始めよう!

ここでは思考を繋いでいく具体的な方法として、Whyの事例を見てみましょう。
人間は知的好奇心が強いという特徴を持っていますので、それを最大限に活用して思考を繋いでいきます。

幼少期には空の色や海の色、太陽や月の動きが不思議で、どうして空は青いの?どうして月の形は変わるの?など、気になることを片っ端から質問していませんでしたか?
そのころの気持ちを思い出しながら、なぜだろう?と感じた所から思考をスタートさせます。

と言っても、次々になぜ?どうして?が浮かび上がると、もしかしたら混乱してしまうかもしれません。
例えば競合他社の動向が気になっていたとしたら、次のように際限なく疑問が続いていくかもしれませんね。

どうしてA社は新事業を始めたんだろう?もしかして既存事業が厳しいのかな?そうだとしたらどうして厳しくなったんだろう?ユーザー離れかな?トレンド変化かな??・・・

そのような場合、なぜ?を遡って原因を特定していくことで、自分が知りたい情報を見つけやすくすることができます。それがなぜなぜ分析です。

なぜなぜ分析をしてみよう!

ある課題に対して、なぜ発生したのか?を繰り返し質問することで、本質的な原因を見つけ出そうとする手法です。
大体5回繰り返せば真因にたどり着けると言われています。
製造業や品質管理に縁のあった人にとっては、品質問題が起きた時の解析手法の1つとして馴染みがあると思います。

「月曜日に遅刻してしまう事が多いから何とかしよう!」

この課題の事例で考えてみましょう。なぜなぜ分析する際はいくつかポイントがあります。
実際になぜなぜ分析を進めながらポイントを見て行きましょう。

なぜなぜ分析のポイント1: 事実を1つだけに絞る
質問の中に2つ以上の事実を入れると、どの事実に対しての質問なのか分からなくなるので、必ず1つの事実に絞って質問するようにします。
2つ以上の事実がある場合は、事実の数だけ質問するようにしましょう。

A:「なぜ遅刻してしまうのか?」
B:「なぜ月曜日なのか?」

この事例ではAB2つの事実が見つかりましたので、それぞれに対して最初の質問をしました。
1つ目の質問では全ての曜日における遅刻の原因を分析することができ、2つ目の質問では月曜日に特有の遅刻の原因があるかどうか?に焦点を当てています。

2回目以降は、それぞれの事実に対しての質問を追加して深堀していきます。

A:「なぜ遅刻するのか?」→「電車に乗り遅れる」から
B:「なぜ月曜日なのか?」→「他の曜日より家を出るのが遅い」から

なぜなぜ分析のポイント2:逆から読み返しても質問と答えの論理性が成立しているか確認する
質問に対して的外れな回答になっていないか、逆から読み返しても論理的に繋がっているかどうかを確認します。

A:「電車に乗り遅れる」→だから「遅刻する」
B:「他の曜日より家を出るのが遅い」→だから「月曜日」

このように順序を入れ替えても論理的に繋がっていればOKです。

なぜなぜ分析のポイント3:論理が飛躍していないかどうかも確認する

B:「なぜ月曜日なのか?」→「日曜日に夜更かしする」から
B:「日曜日に夜更かしする」→だから「月曜日」

この事例だと一見繋がっているように見えるかもしれません。
そう感じた場合は、夜更かしするから疲れが取れなくて朝起きられないのかな?だから家を出るのが遅いのかな?という部分を脳内で補完して考えているのではないでしょうか。

主観や思い込みを排除して、書き出した内容だけで論理的に繋がっているかを確認するようにしましょう。逆から読み返すと同時に、あれ?プロセスが何か抜けてない?飛躍してないかな?という視点で見ることで直接の因果関係の有無が分かりやすくなります。

なぜなぜ分析のポイント4:全ての「なぜ」が発生しなかったら、課題が発生しないか確認する
真因だと思われる答えが出るまで質問を繰り返します。

事実A
なぜ1「なぜ遅刻するのか?」→「電車に乗り遅れる」
なぜ2「なぜ乗り遅れるのか?」→「家から駅までの移動時間が足りない」
なぜ3「なぜ移動時間が足りないのか?」→「家を出るのが遅い」
なぜ4「なぜ遅いのか?」→「朝が起きられない」
なぜ5「なぜ起きられないのか?」→「目覚ましを掛けていない」

この事例では5回目のなぜでそれっぽい答えにたどり着きました。
最後の答えが出たら、それらが発生しなかった場合に本当に課題が発生しないのか、最後のなぜ5から順番を逆にして確認していきましょう。

目覚ましを掛けていたら起きられるのか?→起きられる!
朝起きられたら家を出るのが遅くないのか?→遅くない!
家を出るのが遅くなければ移動時間が足りるのか?→足りる!
移動時間が足りれば乗り遅れないのか?→乗り遅れない!
乗り遅れたら遅刻しないのか?→遅刻しない!

このように課題が発生しなければOK、目覚ましを掛けることが解決策となります。

次の事例も見てみましょう。
事実B
なぜ1「なぜ月曜日なのか?」→「他の曜日より家を出るのが遅い」
なぜ2「なぜ月曜日だけ遅くなるのか?」→「寝不足で疲れており起きられない」
なぜ3「なぜ寝不足になるのか?」→「前日の日曜日に夜更かししている」
なぜ4「なぜ夜更かししているのか?」→「深夜に好きな番組があり見ている」
なぜ5「なぜ見ているのか?」→「好きだから見ている」

こちらの事例では5回目の答えで、んん??となった人も多いのではないでしょうか。
質問と答えは論理的に成立していますし、「番組を見ている」→「なぜ?」→「好きだから」という流れも質問しがちなやり取りと言えますが、これでは解決策にたどり着きません。

なぜ4で「好きな番組」という言葉に注意がひかれ、そちらに焦点を合わせた質問になってしまっています。「なぜ好きなのか?」なども同様に本筋から逸れた質問と言えるでしょう。

なぜなぜ分析のポイント5:解決策を考えるために原因を特定する
なぜなぜ分析は解決策を考えたり行動を決めるために行いますので、必ず解決策や行動につながるような答えを引き出すように質問していきましょう。最初の質問からの特定の言葉を残したまま質問していくことで、繋がりを持って続けやすくなります。

事実B
なぜ1「なぜ月曜日なのか?」→「月曜日は他の曜日より家を出るのが遅い」
なぜ2「なぜ月曜日だけ遅くなるのか?」→「月曜日は寝不足で疲れており起きられない」
なぜ3「なぜ月曜日は寝不足になるのか?」→「月曜日の前日の日曜日に夜更かししている」
なぜ4「なぜ日曜日に夜更かししているのか?」→「日曜日の深夜に好きな番組があり見ている」
なぜ5「なぜ日曜日の深夜に見なければならないのか」→「実は日曜の深夜でなくても良い」
質問6「録画して後日見ることにして、日曜日は早く寝ることはできるのか?」→「できる」

先程の事例に言葉を追加したことによってなぜ5の質問を変えることができました。
それにより驚きの答えが引き出せましたので、最後の質問で解決策になりえる提案ができました。提案が対応可能なことも確認できましたので、なぜなぜ分析のポイント4の内容を検証してみましょう。

日曜の深夜番組を録画して当日早く寝ることはできるのか?→できる!
日曜に早寝できたら(夜ふかししなければ)月曜に寝不足にならないのか?→ならない!
寝不足でなければ月曜日も起きられるのか?→起きられる!
起きられたら月曜日も他の曜日と同じ時間に家を出られるのか?→出られる!

これで事実Bについても問題発生なし、OKとなりました。
事実Aと事実Bの解決策を2つとも実行することで、遅刻する可能性を下げることができるでしょう。めでたしめでたし。

このようになぜなぜ分析をすることにより、それぞれの要因と関係性(関係の有無、合理性、整合性、因果関係)や、課題の真因、隠れたニーズなどに気付く事ができるようになります。
一人で思考、或いはチームで議論している場合は、5回以上なぜなぜを繰り返す事を推奨します。
日常的に行うことで良いトレーニングとなり、質問の質が上がっていきます。

ビジネスシーンでの注意点
お客さまからヒアリングする場面では、注意しておきたいことがあります。
先方の性格や環境によっては、5回質問を繰り返すとくどいと思われる可能性がありますので、その場合は3回で切り上げて次回に再度確認するなど、状況に応じて調整しましょう。
同一企業の複数のお客さまに同じ内容をヒアリングすることも効果的です。

ステップ➁:情報を整理しよう!

入手できた情報を事実を元に整理します。なぜなぜ分析した結果を再確認する意味合いもあります。

そもそも整理ってどうやったら良いの?と思った方も多いかもしれません。
整理整頓という言葉は幼少期より頻繁に耳にしてきたかもしれませんが、やり方を教えてもらった経験がある方は、ほとんどいないのではないでしょうか。

それにもかかわらず、ある程度の年齢になれば出来て当り前のような態度で接してこられるので困っちゃいますよね。自分の頭で考えろ!と言われる状況と全く同じで、理不尽過ぎない?と思ってしまいます。
理不尽にはなりたくないので、改めて整理のやり方について説明していきますね。

整理=分けること
言葉としては「必要なものとそうでないものに分ける」という意味もありますが、ここでは「分ける」ことだけに注目しています。「必要かどうか」は分けるための判断基準の一つとして考えて下さい。

もしかすると整理整頓で1つの言葉として覚えている方もいるかもしれませんので、整頓についても触れておきますね。
整頓は「誰でもすぐに使える状態にすること」です。
整理整頓は「必要なものとそうでないものに分けて、必要なものは誰でもすぐに取り出して使える状態にすること」です。物の断捨離などだけではなく、情報に対しても同様に使えます。

前述の「必要かどうか」のように、分けるための判断基準を使って分けていきます。

様々な判断基準を使って分けることができますが、思考する上では最初にしておいた方が良い絶対的な基準がありますので、まずはその基準で分けるようにしましょう。

それ以降は自由に判断基準を使って細分化してOKですが、目的が明確であれば、それに適した基準を選ぶようにします。

事実 or NOT

まず、事実かそうでないかで分けます。
なんだ、そんなこと?と思う方もいるかも知れませんが、非常に重要ですので必ず最初にやりましょう。

ここでつまずくとその後の整理や思考の前提条件が崩れてしまいますので、望んでいない方向に思考が進んでしまったり、施行中に迷子になったりする可能性が高くなってしまいます。

意外に思うかもしれませんが、私達は事実かそうでないかを判断するということに慣れていません。
日常生活では事実かどうかがクリティカルになる場面がそこまで多くないため、事実とその周辺に生まれる想像(事実を元に感じたことや考えたこと)が1つの情報として提供されて困ったという経験がほとんどありません。
よって、事実かそうでないかを考える機会が少ないのが現状と言えるでしょう。

「事実=実際に起ったこと、実際に存在すること」

会話で情報入手した場合は、事実かそうでないかを特に混同しやすいので注意しましょう。
ビジネスシーンの事例で見てみます。

お客さま「Aが良いですね。当社にとって使いやすそうです」
営業担当「どんなところが使いやすそうと感じましたか?」
お客さま「複数のキーワードを組み合わせて検索できるところです。AIサポートがあって使いやすそうですね」
営業担当者「ありがとうございます。(AIがシステムの使用状況から検索候補を出す機能を気に入ってくれたのかな?説明するときに食いつき良かったし)」

営業担当者「お客さまはAとおっしゃいました。AIの検索候補を出す機能が気に入ったみたいです」
営業責任者「そうか、ありがとう。ではその機能を更に強化して提案しようか」
営業責任者「承知しました」

営業担当者が営業責任者に報告していますが、「お客さまがAと言った=事実」ですが、「お客さまがAIの検索広報を出す機能が気に入った=仮説」ですよね。お客さまはそんなこと言っていません。

お客さまとの会話中の印象を元に想像したこと(=仮説)にも関わらず、営業担当者は事実と誤認してしまったようです。
営業責任者もそれを事実として受け止めたので、本来のお客さまのニーズとは違うかもしれない可能性に気づかず開発がスタートしてしまいました。恐ろしいですね。

このように書いたものを読むと理解しやすいのですが、実際に会話している中では誰でも本当に混同しやすいですので注意が必要です。

仮説は質問することで事実に置き換える

会話中に相手の発言を聞いて〇〇かな?と感じた場合はそのまま質問してしまいましょう。そうすることで、事実確認ができます。先ほどの事例の別パターンとして見ておきましょう。

お客さま「複数のキーワードを組み合わせて検索できるところです。AIサポートがあって使いやすそうですね」
営業担当者「ありがとうございます。(AIがシステムの使用状況から検索候補を出す機能を気に入ってくれたのかな?説明するときに食いつき良かったし)」 ※ここまでは同じシチュエーションです。
営業責任者「本日説明したAIがシステムの使用状況から検索候補を出す機能を気に入っていただけたのでしょうか?」
お客さま「そうですね、あの機能が非常に気に入りました」

事実を細分化する

事実と仮説に分けることができたら、事実を更に細分化していきます。
仮説は必要に応じて個別に事実確認を進めるようにしましょう。

細分化する際の判断基準は特定の着眼点を使います。
代表的なものとして下記があります。

・反意語で分ける
 e.g. (大小、男女、白黒)
・一般的にセットで扱われるものを分ける
 e.g. (机と椅子、ナイフとフォーク、ノートとペン)
・似ているものを分ける
 e.g. (青と水色、シャツとTシャツ、うるち米ともち米)
・プロセスに分ける
 e.g. (食事:食材を用意する、調理する、食べる、片付ける)
・5W1Hで分ける
  e.g. (旅行した:なぜ?どうやって?誰と?何した?いつ?どこへ?)

これらの着眼点を使って細分化することで、事実をより詳細に把握することができます。
先程の事例で5W1Hを使って事実を細分化してみましょう。

なぜ?→AI がシステムの使用状況から検索候補を出す機能がある
どうやって?→複数のキーワードを組み合わせて検索できる
誰が?→X社Y部門Z様
何を?→システムA
いつ?→◯月◯日
どこで?→X社だけ?他の企業の反応は?

細分化した事実ごとに新たになぜなぜ分析を実施し、次の仮説を立てて確認していくことで、お客さまのニーズを明確にしたり次の行動目標を決めることができます。
なぜ?の事例で見てみましょう。

AI がシステムの使用状況から検索候補を出す機能があるあるとなぜ嬉しいのか?
→仮説1:キーワードを入力する手間が省けるから?
→仮説2:担当者が携わっている範囲意外の候補が出ないから?
→仮説3:他社にはない目新しい機能だから?

これらの仮説を再びお客さまに確認することで新しい事実が分かり、お客さまの本当のニーズに基づいたシステム開発ができる可能性が高くなるでしょう。

特定の条件下でしか使えない基準
・経時変化するもの

 e.g. (賞味期限:今は食べられるけど3ヶ月後は食べられない)

タイミングによって結果が変わってしまうものは、判断基準として使えません。
できるできないもこれに当たります。今は出来ないことも、明日はできるかもしれませんし、その逆もありえるからです。
そのため、整理する段階ではできるできないは考慮しません。

但し、整理する情報が経時変化することを前提にしている場合や、期間が明確に決まっている場合であればもちろん使えますので、整理する目的や前提条件を確認するようにしましょう。

ステップ③:工程(プロセス)を構築しよう!

整理した情報を並べ替えて、結果(実現したい状態)から新しいプロセスを組み上げていきます。

この時点でもできるできないは考慮しません。
できないこと=課題ですので、課題の解決策は後から考えれば良いからです。

前述のビジネスシーンで言えば、次のようなイメージでしょうか。

結果(実現したい状態):Z社から受注する
そのためには:Z社内で決済を取得する必要がある
そのためには:決済者と決済を取得する条件を知る必要がある
そのためには:申請者と申請条件を知る必要がある
そのためには:より詳細にニーズを確認する必要がある
そのためには:面談の度に更新した提案資料で仮説を検証する必要がある
そのためには:これまでの面談内容を元に仮説とその対応策を考える必要がある。←今ココ

組み上がったプロセスについて、繋がりの整合性が取れているかどうか、現状から順に再確認します。なぜなぜ分析の「逆から読み返しても論理性が成立しているか確認する」と同じ内容ですね。

整合性が取れない場合は、条件が不足している=把握する必要のある事実が残っている、と言うことになりますので、引き続き不足する事実を把握していきます。

先の事例の場合は、Z社と面談したばかりで提案内容を検討しようとしている段階ですので、まずは面談を重ねて事実を積み重ねながらフェーズを進める必要があると言えるでしょう。

整合性が取れる場合は、各プロセスごとにできるかどうかを確認していきます。
できないこと=課題です。
明確になったそれぞれの課題に対して、方針、方法論を決めて行きます。
その過程で新しく把握する必要のある事実が出てきた場合は、引き続き事実を確認していきます。

先の事例では言えば、客さまのニーズに答えること=課題、検索機能を強化すること=方針、具体的にどの部分を強化するか=方法論となります。
方法論については3つの仮説が選択肢として考えられるので、この部分が新しく把握する必要のある事実となります。

ステップ④:①~③を繰り返そう!

これまで見てきた3ステップを何度も繰り返すことで情報がシンプルになり、どんどん思考が洗練されていきます。
そうすることで行動が明確になり、迷わずに実行できるようになります。

頭の中を客観的に見るためにも、実際に書き出してみることを強く推奨します。
まだ能動的に思考することに慣れていない場合は、練習の一環だと思ってぜひやってみて下さい。

特に最後のプロセスを構築するステップは頭の中だけで完結するには難易度が高く、自分では慣れたと思っていてもなかなかうまくできなかったりしますが、実際に書き出してみると、頭の中で考えているだけの状態と比べて明確な差を実感できるレベルで理解しやすくなりますよ。

最後に思考プロセス全体を新しい事例で振り返っておきましょう。

パラグライダーって最高だよね?

ステップ①:5W1Hを使って疑問をつなげて思考を広げよう!
・5W1Hで起点を客観的に捉えよう!
 「とっても楽しそう!私もパラグライダーやってみたい!」(思考の起点)
・2Wで心からそう考えたのか確認しよう!
 「本当にやりたいの?他で代用できないの?なぜやりたいの?」
・5W1Hを使って思考を広げよう!深堀りにはなぜなぜ分析も有効だよ!
 「深堀りしてみたら子供の頃に見ていた5日空を飛びたいという気持ちが蘇ったから、絶対にやりたいという気持ちが強くなった!調べよう!」
 「できる期間は?どこでできる?誰が教えてくれる?どうやってやる?」
ステップ➁:情報を整理しよう!
 「春から秋に、スキー場や砂丘などで、学校がある、ライセンスを取得など」
ステップ③:プロセスを構築しよう!
 「来春に単独で飛ぶ→今秋に練習する→今夏までにライセンス取得→学校決める→場所決める」
ステップ④:繰り返しやってみよう!
 「改めて調べると一緒に飛んでくれるタンデムフライトやごく低空での体験もあるみたいだから、まずそのどちらかからやってみる!」

いかがでしょう?パラグライダーに興味が出てきましたか?(違う)

能動的に行動するための思考プロセス、ぜひ皆さんも試してみて下さいね。

本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
自分の人生を、自分で生きて行きましょう!

初瀬野アヤセ

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