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「レシピ通りに作る」ということ。

探していた本をようやく見つけた。中国出身で日本在住30年になる料理研究家ウー・ウェンさんの 「料理の意味とその手立て」。

実は、ウー・ウェンさんの本はこれを合わせて3冊持ってるけど、じっくり向き合ったのは今回が初めて。もう、読み進めてレシピが出てくる度にとにかく早く試してみたい衝動に駆られる困った本です(褒めてる)。

この本を読んで改めて思い出したことがある。10年近く前に尊敬する台湾の人から「中国語で食譜/食谱(レシピ)や樂譜/乐谱(楽譜)という単語に使われる『譜/谱(pǔ)』という字には“その通りにする”という意味がある」と教わった。それをきっかけに初見のレシピは材料が手に入る限りアレンジせずにそのまま作るようにしている。

恥ずかしながら、それまでの私は最初っから手を加えまくっていた。だけどそれではレシピ本来の味が上塗りされているので味の軸が掴めない。レシピ本来のオリジナルの味=今後アレンジする時のベースの味となるので、結局はアレンジする時に通る道でもある。

この本にも「まずはレシピ通りに作って下さい」と何度か書いてあることから中国語の譜/谱の意味を知っているウー・ウェンさんならではのメッセージだなと思いながら読んでいる。

まだ読み終えてないけど、すでに6品作ってその全てが美味しい。当たり前だがレシピに忠実に作ると確実にその通りの味になる。素材の品種やコンディションにもよるとはいえ、大きく見ればそんなのは誤差程度で必ず射程範囲の味になる。そしてそれがドンピシャで好みの味付けならそのままで良いし、自分なりにアレンジしたければ2回目以降にすればいい。まずはレシピ通りに作ってそのオリジナルの味を知ることは結局アレンジへの近道になるし、レシピへの敬意であると思う。

この本、本当にシンプルで削ぎ落とされたレシピが満載なのでお料理苦手な人なら少ない材料で確実に美味しく作れる方法が知れるし、アレンジ好きな人はどんどんアイデアが湧いてくるであろう傑作です。自分で作ったんじゃないみたいに美味しく出来上がるのが楽しくて仕方ない!

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