コミュニティマーケティング推進協会の設立と、私の想い
一般社団法人コミュニティマーケティング推進協会という社団法人を立ち上げ、理事としてこの活動を推進していくことになりしていくことになりました。
この協会は、コミュニティマーケティングがマーケティングの1つの手法として、日本のビジネスシーンで活用され、成功事例が多数できる状況を、イベント、教育、研究・調査などを通じてさらに加速することを目的に設立された非営利の団体です。CMC_Meetupをはじめとするコミュニティ活動に加え、コミュニティマーケティングの普及や実践者の拡大を、既にコミュニティマーケティングを実践していらっしゃる皆様、そしてコミュニティマーケティングに関心のある皆様との活動を通して積極的におこなっていきます。
代表理事は2016年にCMC_Meetupを立ち上げた小島さん。小島さんはCMC_Meetup立ち上げ前から実質約10年に渡り、コミュニティマーケティングの実践と普及の最前線にいらっしゃいます。協会の活動という同じ船に乗せていただいたこと、とても嬉しく思っています。
▼協会設立に対する小島さんからのメッセージはこちら
以前も書きましたが、私は自分が事業者としてコミュニティ運営をしているわけではありません。私の主戦場はBtoBマーケティングと経営ですが、コミュニティマーケティングについては、立ち位置としてど真ん中ではないという自覚があります。それでも何故2016年のCMC_Meetup立ち上げ時からこれまでずっとコミュニティマーケティングの活動に関わってきたのか、協会立ち上げの準備をしている中でだいぶはっきりとわかってきました。
マーケティングに手触り感が欲しい
私がマーケティング(特にBtoBマーケティング)の世界に足を踏み入れたのは2006年で、それ以前からマーケティング部署には属していませんでしたがクライアントの店舗開発やプロモーション戦略など、マーケティングの一部に触れてきていました。
その頃はまだまだデジタルマーケティングとか、CRMとかが当たり前ではない時代です。Googleにいたのでよくデジタルマーケティングの人と思われがちですが、Googleのマーケティングだって当時は別にデジタル主流ではありませんでした。イベントや全国回ってのフィジカルなセミナーなど足を使ってface to faceで理解を深め、デジタル以外の媒体を使った施策も色々やってきました。その後スタートアップを創業して、マーケを0から立ち上げた時も、インバウンドマーケティングを施策の中心に置くものの、インバウンドにつながるデマンドの拡大はデジタルだけに依るわけでは当然ありませんでした。
デジタルマーケティングは一般的に、効率が良いマーケティングと考えられています。MAを使えば潜在顧客のスクリーニングやナーチャリングはある程度自動化できるし、広告の世界で言えば、よりお客様が反応してくれそうなコピーやビジュアルも簡単にテストや検証ができます。
そして、デジタルマーケティングにはある程度ノウハウ化されている側面があるようにも感じます。けれども実際、それは施策に関するノウハウが多かったりします。ノウハウに関する情報が溢れすぎていて、大事な前段の「戦略」のところを考え抜けていない。これはデジタルマーケティングが浸透したことによる功罪でもあると思います。当然全てのマーケターがそうではないですが、ハウツーに沿ってやればある程度効果が見え、数字を見ながら半ば機械的に最適化をおこなうことができる。
ここで抜けるのが、生身の顧客の姿です。
これだけインバウンドがあった、これだけウェビナーを見てくれている。でも実際、その潜在顧客一人ひとりが自社にどんな期待しているのか。それがどこまで見えているか。見えてなければ、それは自社からの一方的な価値提案で終わっている状態です。事業者側の都合でコンタクトを取ったり、インサイドセールスが相手のことをよく理解していない状態でセールス活動をしたり、ナーチャリングをオートメーション化したり、こうした行為があるとすれば、そこに抜けているのは、相手が生身の顧客で、それぞれが求めるもの、評価する価値が異なるという視点です。
データを活用して効率よくマーケティングができるようになったメリットをより活かすために、生身の顧客を手に取るようにわかるような状態にしておく。この両方で手触り感のあるマーケティングを実現していく。そんな手法のひとつに、コミュニティマーケティングがあるような気がします。
Sell To ではなく Sell Through
CMC_Meetupでは、コミュニティは「Sell To」ではなく「Sell Through」モデルであるとずっと伝えてきました。
コミュニティマーケティングの大きな特徴の一つがこれだと思っています。
事業者からの一方的な価値の提案ではなく、他の顧客が捉えた価値を追体験し、新たな価値を発見し、自社にフィードバックしたり、コミュニティに属していない人にもその追体験を広げていく。コミュニティを運営する企業にとってもその方が良いはずです。自社が提案できる価値のバリエーションは限られているし、顧客が自身の捉えた価値をそのまま共有する方がはるかにインパクトがあるはずだからです。
この構図は、事業者がコミュニティに属している人たちに対して直接販売行為をおこなおうと少しでも思った瞬間、崩れるような気がします。
コミュニティは強いけど脆い。
脆くさせてしまうのは、事業者側の思いに Sell To が見えた時だと思います。
Sell To的なマーケティング活動は、顧客向けのセミナーであったり、CRMであったり、既に以前からやり方は色々あるわけです。そしてまた、MA、SFAの手法も色々あり、積極的にマーケティング活動をおこなう企業は多く導入・運用していると思います。コミュニティマーケティングがこうした手法のどこにも属さないのは、企業側の都合からアプローチするMA / SFA / CRMといったプロセスではなく、あくまで(潜在を含む)顧客が主軸となっている手法だからです。
こうした本質的に顧客を中心においたマーケティング手法は、自分のマーケティングに対する考え方ともフィットしていて、コミュニティマーケティングに魅力と可能性を感じているのだと思います。
一歩を踏み出し、機会によって自らを変える人を増やしたい
Last but not leastで、3つめがこれです。
私が好きな言葉は、リクルートの「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」です。
外のコミュニティに参加しようと一歩踏み出す人、普段所属している部署から越境して社内でコミュニティを創ろうともがく人、少し参加してみたら面白そうだからと地元以外の地域にも足を延ばしてみる人、そういう人たちを受け入れる場を創るコミュニティマネージャー/コミュニティマーケター、コミュニティがもっと活性化したり有益になるようにサポートしようとする関連サービス事業者。少なくとも、私が接するコミュニティに関わる人たちは、たいがい自分で機会を創り、機会によって自分を変えたり、変えようとしている人たちです。
コミュニティには本気で自ら機会を作って自らを変えようとしている人たちがたくさんいるんだなと、CMC_Meetupを通して感じました。私はそんな人たちが大好きだし、そういう人たちがこれからの企業や社会を良い方向に動かしていく人たちだと思います。
私自身も、CMC_Meetupの運営に立候補して携わるようになって、コミュニティとマーケティングの可能性に対する解像度がものすごく高くなったし、刺激と楽しみを共有できる仲間とも多く出会えたし、そして協会という活動を新たに創り出すことで、これまでよりも社会に貢献できる機会が増えるかもしれないと思っています。事業者としてコミュニティを運営しているわけではない私でも、コミュニティによって自らが変わったのを実感しています。
コミュニティマーケティングの可能性も強く感じるし、コミュニティマーケティングの広がりを通して、自ら機会を創り出し、機会によって自らを変える人たちにもっと活躍してもらいたい。そんなことを思いながら、これから心を込めて協会の活動に取り組んでいきたいと思ってます。
最後に、今年6/29(土)にCMC_Meetup初の全国大会「CMC_Central」が名古屋で開催されます。コミュニティマーケティングに携わる人、興味があってもっと理解を深めたい人が一同に集まる全国大会です。申込登録開始のお知らせなどお送りするので、興味のある方は是非サイト内からメールアドレスを登録してくださいませ!