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コミュニティは事業にどんな影響をもたらせるのだろうか?-CMC_Meetup vol.20感想

久々に #CMC_Meetup を開催しました。前回が7月だったので実に半年ぶり!大変お待たせしちゃってました。

20回目の今回のテーマは「事業戦略とコミュニティの密な関係」ということで、リンナイでRinnai BiZを立ち上げた加賀さんと武闘派CIO友岡さんにご登壇いただき、CMC_Meetup運営チームの藤井かなえちゃん(@cw_kanae)が聞き手となって進行。
全体の様子はtogetterでまとまってます。

フルバージョンはYouTubeのアーカイブもあります。

イノベーションに必要なのは、横串を通すこと

セッションの中で友岡さんのコメントが印象的でした。

経営、戦略の視点から見れば、今はどの企業もイノベーションを掲げている。ではイノベーションって何と言うと、新結合(byシュンペーター先生)。知と知の結合によって新しい価値が生み出される(既存の価値の結合)がイノベーションの源泉。部の連絡会議でそんなことはできない。そうすると「うつわ」が必要。

コミュニティという「うつわ」を作り、フラットな形で心理的安全性を高め、言いたいことを言える場があるというのは重要なこと。

イノベーションは「新結合」であるというシュンペーター先生が用いた概念に沿えば、企業価値を高める可能性をもたらすようなイノベーションは、まだ組み合わさったことのない事柄同士の化学変化のようなものであり、そのチャレンジは「技術革新」のように、主に研究者や技術者が担うものにとどまらず、すべての従業員の知が、イノベーションの源泉になるのであると思います。

一方、企業内で、イノベーションだ、新規事業だと旗を立てる時、実際は企業の中の一つの部署あるいは特命チームがその役割を担い、大企業になるほど部署間の壁は厚く、そこを突破するのは非常に困難な肌感があります。

けれどコミュニティという横串で心理的安全性の高い器が実現できれば、部署や立場のハードルが少し下がり、自分の立ち位置を超えた意見を出しても「出る杭」と思われたり、自分の立場を超えた発言をしていると思われるリスクも減る。それにより、今まで組み合わさったことのないアイディアが生まれたり、課題解決ができるようになったり、スピードが上がったりする。"オープンイノベーション" を打ち出して他社やスタートアップ企業との取り組みをすることも大切ですが、イノベーションのヒントは、それより前に、実は社内(や共に動くビジネスユーザー)にあるのかもしれない。それを生み出す一つのきっかけとして、組織に横串を通すようなコミュニティが有機的に作用すれば、新結合が生まれる可能性が高まるかもしれないなと感じました。

旗を立てるだけでなく、繋ぐ役割の重要性

Rinnai BiZは、社外含めて今4.5万人位の会員がいらっしゃるそうです。その広がりは現地の営業マンを起点に拡大していったものだと解釈しました。ただ、その広がりは決して自然発生的に広がるものではなく、立てた旗に共感した人のつながりの連鎖によってもたらされるものです。

加賀さん自身がファーストピンとなって、ビジョンを打ち出し、高い熱量で推進していったことにより広がりが加速化していったと思いますが、私がお話を伺っていて感じたのは、大企業における「弱いつながり」のようなもののブリッジが加賀さんだったのだろうな、ということでした。

本来会社組織は社会ネットワーク上は「強いつながり」にあたりますが、リンナイさんのように本社以外の様々なステークホルダーが絡み、それが点在することになると「弱いつながり」も同時に発生していることになると思います。支社の中では「強いつながり」が形成されているけれど、本部と各販売店とかになると途端に「弱いつながり」になるのだろうなと想像します。

「強いつながり」においては信頼度の高い情報が流通し、暗黙知も含めて伝わるので物事を決めたり知の深化には向いていますが、外からの情報がなかなか入って来ずにつながりの中で何度も同じ情報の流通が繰り返されていきます。一方「弱いつながり」においては、広域で異質なものも含む異なる知を取り込み、知の探索に向いていると言われています。

この「弱いつながり」における構造的な本質は「bridge(橋渡し)」の存在です。強いつながりでは情報の流通性が高いので、橋渡しの必要はありませんが、そうでない場合、遠くにある幅広い情報を効率的に手に入れるには、つながり間の「bridge(橋渡し)」の存在が重要になります。逆に、このbridgeがなければ弱いつながりは弱いままで、融合が生まれません。

※このあたりの話は詳しくは下記参照。

リンナイさんのお話を伺っていて、まさにこのbridge(橋渡し)的な役割を果たし、アイディアや器を用意するところだけではなく、最初の広がりの着火点としても加賀さん自身が貢献なさっていたのだろうなと感じました。

今回のテーマである「事業戦略とコミュニティ」の観点からまとめると、Rinnal BiZは、企業価値を高めるための事業戦略として、社内外の枠組み、部署や立場を超えたつながりからイノベーション(新結合)を生み出す新たなアプローチによるチャレンジ、と理解しました。

大企業で何かを形にするのは相当に難しく、友岡さんがおっしゃっていた「新しいことを始める時に、機能別組織がボトルネックになってしまう」という課題感は、企業の大小に関わらずあることだと思いますが、大きな組織では更にそれが情報伝達のスピードや、新しいことをカタチにする時に大きな壁になるということだと思います。

そうした課題に対する1つの解決方法として、小島さんの掲げる3つのファーストが機能するようなコミュニティを社内で立ち上げてみる、というのは事業戦略上とても素晴らしいアプローチだなと感じました。

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今年のCMC_Meetupは、現状まだオフライン開催はなかなか難しいかもしれませんが、昨年より頻度高くできれば良いなと(個人的には)考えてます。もし何か「こんなテーマで話が聞きたい!」というのがあれば、是非教えてくださいー!


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