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宗教が多くの人を殺してきたのはなぜか ー宗教編②ー

今回は、知ってると面白い 宗教知識 をお伝えする 第2弾

『人を救うはずの宗教が 

なぜ多くの人を殺してきたか』


前回は  「人間は 死, 災厄, 不確定な未来への恐怖 を克服するために根源的に神を必要とする生き物であり、その不安に対し 何らかの形で人々を良い方向へと導いてくれるのが 宗教である」 と説明した。

しかし、これまでの歴史で 残酷な戦争や殺戮の 火種の一つには、

必ず宗教がある。

なぜ人を救うための宗教は 人を殺すのか、私なりにまとめてみよう。



本題に入る前に、まず考えてみて欲しい。

ーそもそも生物とは、同じ種族で殺し合って良いものなのか?ー

ライオンでもクマでも魚でも  自分が生きるために 他の生物 を殺すことはあるが
同じ種族 を殺すことはダメと遺伝子に深くと刻み込まれている。

もし同種で殺し合っていたら、絶滅してしまう。

だから絶対しない。

動物園やテレビで 同種で争っているところ を見たことがあるよ と思う方もいるかもしれないが
それは  縄張り争いや  群れの中の権力闘争 であり、あくまでも命まで奪う事はない。

絶滅しないために、同種の殺し合いはするな!!  と遺伝子に深く刻み込まれているのである。


しかし、同じ種を殺すことができる唯一の種がある。

それは、 人間 だ。


我々は世にも珍しい生物なのである。
全ての人間は 互いに殺し合うことは禁忌である と本能的に知っている。
にもかかわらず 戦争や殺人事件がなくならないのは  なぜか?

人殺しを正当化する理由を作ることができるからだ。

そして、悲しいことに
"人を救うため"の宗教こそが "人を殺してもいい" という正当化に 利用されてしまっている。

神もおったまげの矛盾が出来上がった。

一体 誰が  "宗教を殺しの正当化" として利用しているのか?

政治だ。


宗教と 政治 は非常に密接に関わっている。

そして 長い歴史の中で 宗教は政治に利用されているのだ。

なぜなら、信仰心(宗教)  と  権力(政治)  はすごく相性がいい。


...考えてみてほしい。

「もしあなたが国を支配する権力者になったとして、
民衆を上手くまとめるにはどうすればいいだろうか?」

人望が必要?     立派な政策?    

方法はたくさんあると思うが、 おそらく人間が支配する限り 国民全員が心からその人に従うことは限りなく不可能である。

しかし、そこに神の後ろ盾があったらどうだろうか。

例えば中世の社会は、

「毎日〜をすれば、神はあなたを救ってくれるでしょう。」「天国に行きたかったら〜をしなさい。」

という風に、権力者は人々を支配するのに  神を用いていたのである。

人間の 神に救われたい、幸せになりたい、という心を利用すると、なんと支配しやすいことか。

そしてそれは 人殺し さえも

「〜は神の教えに背いているから許してはならない!!」

「戦うことが神の望みである!!」  と正当化できる。


現に、従軍牧師 が軍隊にいることは 神によって殺しを正当化している例ではないだろうか。

戦争中 互いに殺し合う極限状態で

牧師が「たとえ何人殺しても、この戦いに勝利すればあなたは必ず救われます」と神の祈りを唱える...

まさに、宗教が政治に利用されている場面である。



そして驚くことに
殺す対象を  同じ人間  と見なしていない場合もある。

これはあくまでも苫米地氏の意見であるが、この本の中で著者はこう語る。

仏教以外の宗教の原理主義者の論理、それは

宗教において、自分の宗教の信者以外は 人 ではない。


つまり、他宗教の人間については  同種殺し  にならないらしい。恐ろしい...


ここまでの考えをまとめてみよう。

具体的に例を用いて説明するならば

例えば、十字軍(キリスト教徒の軍隊) 。

聖地イェルサレムを奪還するために、 イスラム教徒を殺すことは

①聖地を奪還することは「神がお望みだ!! 」「神の名の下に!!!」

②敵はキリスト教徒ではないので 人間 ではない

だから殺しても構わない、 こういう理論である。


分かっていただけたであろうか?

宗教は 政治 と切っても切れない関係にあり、

これこそが 宗教が多くの人を殺してきた理由 なのだ。

数々の戦争の裏には、必ず宗教的な背景がある。

神の導きならば大量殺戮も厭わない、

一人の人間の中の 神 の存在が どれほど巨大なものであるか、

全く想像もつかない。


ではまた!


参考文献: 苫米地英人(2015)『人はなぜ、宗教にハマるのか?』、フォレスト出版

(私の見解がかなり狭いものであることは重々承知しております、なのでコメントやアドバイス、反対意見など何でも言っていただければ嬉しいです...!!)

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