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公開文通「百年の散歩」はじめます

ぼくらの会話が潰えたとして
この道のあかるさに変わりはないように
平らな道に転べる体の容易さを
ぼくらなら愛するだろう
ぼくらなら歩きながら
そうするだろう

『舟』(2019) 収録「百年の散歩」より
http://ikdayn.main.jp/?p=750

「歩きながら話そうか」
どちらともなくそう言って、いろんな町でいろんなひとと並んで歩きながら話をしてきた。喫茶店で向かい合うのも、改札前で立ち話するのもいいけれど、同じ風の中それぞれの歩き方で隣り合っていたい。会っていなくても、暮らしや体が変わっても、そんな風に言葉を交わしたい。

「公開文通」はふたりで普段話していることをただ開示するのではなく、語らいというかたちで「物語る」という在り方を指します。
わたしは決してよいインタビュアーではなく、質問魔であり、無知だ。だからこれはインタビューではなく、文通。わかってきたことは増えたけれど、知りたいことがまだまだたくさんある。そしてきっと今、ここにないもののかたちを模索しています。話しながら、歩きながら探しものをしているのかもしれない。

手紙を交わす日々は、SNSでアイコンを見かける日々よりも近しくて、わたしの今日の日と一緒に散歩している時間が並行して流れていることが感じられる。それは読んでいるあなたとも叶えられると思っていて。
毎週月曜日と金曜日に、手紙の続きを連載します。
あなたの歩幅とリズムで、隣を歩くように日々読んでもらえたらうれしいです。連載する中であたらしいおしらせもできると思いますので、おたのしみに。

この散歩が百年続いたら
歩き来た道は
ぼくらを何と呼ぶだろう

『舟』(2019) 収録「百年の散歩」より

わたしたちがここにいること、ここにいたことを抱きしめるあたらしい方法として、歩きながら話そう。話しながら、歩いてゆこう。

2021.10.29〜11.22
「01.この星にあってほしいものについて、中村菜月さんと」


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