全ては言葉ではなかった
言葉よ
言葉未然の熱に還れ
言葉になる前の迸り
継ぎ接ぎだらけの鼓動を抱え
貧しい喘ぎの路を辿れよ
言葉のために言葉になったものの前で倒れるお前
お前自身を満たすもので在りながら
なおも求めて然るべき水のように
言葉はここにあると言えるか
沈黙の靴裏からようやっと這い出て
口端に漏れ出る息を恥じながら
ああ
橙色に火照った暗闇に薄日を迎え入れる
縺れる舌が綴る音を悟られまいとするあまり
言葉は
ああ
言葉は足元に墜落する
先程までお前の中で滾っていた熱が
今静かに弔われる