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#推薦図書

#書いてつながろう

外出自粛でなかなか外に出られず、たくさんの暗い情報で頭がいっぱいいっぱい。

こんな状況だけど、みんなで「書く」ことでつながったり、楽しい習慣になったらいいな。


そんな企画に賛同したメンバーで、毎週テーマに沿って投稿しています。
参加したい方がいましたらコメント欄にてご連絡ください。

今週のテーマは「 #推薦図書 」です。

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ある女の子がいた。ある日の昼下がり、服を着た白うさぎを追いかけて入った穴から落っこちて、不思議なものや世界をめぐるお話。

これだけでピンとくる人も多いはず。
ルイス・キャロル作、『不思議の国のアリス』。

物語に登場する個性的なキャラクターたちは、かの有名なアニメーションの世界にまで飛び出している。きっとみんな、それぞれの道すじをたどって、世界に触れていることと思う。

私もきっと小さな頃にであった。それがいつのことなのかはわからないけれど、少し大きくなってから、ちょっと変わったところで、私は再会した。

小学校の5年生か6年生の時、ふいに再会の時はあらわれた。

それは国語の時間だろうか。『ごんぎつね』のような道徳的な日本の文学、『スイミー』のような美しい絵本の物語。『不思議の国のアリス』は、その中ではちょっと異彩を放っているような気がするけれど、イギリスの児童文学作品に触れるのはよい機会だ。

それは図工の時間だろうか。色鮮やかなアニメーションの世界とは違う、スケッチのようでいて、時々目が合いそうでドキッとする、ジョン・テニエルの挿絵を鑑賞する。空想の物語の世界を表情豊かに表現できるのは想像力を豊かに働かせるチャンスだ。

それはどちらでもなかった。私たちは、ルイス・キャロルの描いたストーリーと一緒に、いろんな問題を投げかけられた。例えば、

 ふしぎなクッキーがあります。ハート形のを1まいたべるごとに、もとの身長が1/2にちぢみます。ダイヤ形のは1/3に、お花の形のは1/5に、それぞれちぢむのです。
 アリスの身長は1m20cmです。10cmの身長になるには、どの形のクッキーを、何まいずつ食べればよいでしょう?

他にはこんな問いかけもあっただろう。

 女王さまが仰せられました。「わらわのつくったシュークリームを、つまみ食いしたものがいる。だれがたべたか、そなたたちは知っていよう。」
 ぼうし屋がいいました。「わたしじゃございません。だれがたべたか存じません。」
 アリスがいいました。「わたしじゃないわ。ぼうし屋さんでもないわ。」
 じつは、二人とも、女王さまの「死刑じゃ!」がこわくて、つい、一つはほんとうのことを、もう一つはウソのことをいってしまったのです。女王さまのシュークリームをたべたのは、だれでしょう?

こんな風にして、『不思議の国のアリス』の世界に連れられて、頭をひねって考える時間がつくられた。小学生の頭がこんがらがるにはちょうどいい論理クイズだ。自分の持つ知識と想像力を働かせて考えるのが面白かったのを覚えている。

それは算数の時間だったかもしれないし、そうではなかったかもしれない。教科をこえた時間だったかもしれないし(「総合的な学習」の時間とか)、授業ではなかったかもしれない。

たとえ同じ式をつかう問題が、算数の教科書にあったとしたら、わくわくしながら解くだろうか。いや、もちろんそう解く人もいるかもしれないが、私はきっとそうではなかったと思う。それでも、自分の考えとみんなの考えを比べられる、こんな問題を解くのが好きだった。

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おうちで過ごす時間、頭をちょっと動かしてみるのはきっと楽しい。
空想のキャラクターたちに誘われて、絵本でも、小説でも、もしくは新聞のすみにあるクイズでもいい。目の前にある世界からちょっとだけ目を離して、おもしろい方向に向かって落っこちてみる。ぐるぐるまわった後は、いつかはもとの世界に戻れるはずなのだ。

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『ふしぎの国のアリスの算数パズル』
山崎直美 著(さ・え・ら書房、1983年)
『鏡の国のアリスの算数パズル』
山崎直美 著(さ・え・ら書房、1985年)
『グリムの森の算数パズル』
山崎直美 著(さ・え・ら書房、1993年)

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