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楽しかった日の夜を終わらせたくない



「今日は楽しかった!」


そう思った日の夜はだいたい早く眠れない。

いや、正確に言うと“眠りたくない”のだ。


記憶は時を重ねていくと薄れていってしまう。

寝てしまって新しい日を迎えたら、その日の楽しかった思い出が消えていくような気がして。

そのことに対する、自分なりのささやかな抵抗なのだと思う。



私は完全に夜型人間である。

だからなのか、いわゆる寝落ちというものをあまり経験したことがない。

身体が疲れていても、眠気が多少あっても、「よし、寝よう」と眠ることを決意するまでは起きていることができる。
(もちろん、「もう今日はだめだ、寝よう。」と思う日もあるが)


それが顕著になるのが、旅行やライブに行った日の夜だ。

旅行の日はだいたい、長距離を移動して歩き回るのでいつもよりたくさん動いて、ホテルに戻るころにはクタクタになる。

ライブに行った日も、並ぶことが多かったり、声を出したり、ジャンプをすることもあったりするので結構疲れてしまう。


でも、どんなに疲れてしまっていても、充実感であふれている。

その疲労感でさえも“ならでは”のものなので、心地よかったりもする。


日常生活でそんなふうに感じることができる機会は少なくて、

大切にしたい。
残しておきたい。
終わらせたくない。


そんな思いが強くなって、ついつい夜更かししてしまう。

同じ部屋に泊まっている友人が先に寝てしまっても、ひとりで起きていることも何度もあった。



最近は、こんな状況でもあるので、大好きな旅行もライブもしばらく行っていない。

だからこの感覚も忘れつつあった。


そんな今年の連休、久しぶりに友人と会った。

ただ映画をみて、買い物に行っただけだが、とても楽しい時間だった。


家に帰ってきて、

「楽しかったなぁ」

そうつぶやいた。

そして、久しぶりに眠りたくない夜がやってきた。


長らく忘れていた「楽しかった日の夜を終わらせたくない」気持ちを思い出した。

連休中の夜更かしのせいもあって、今までせっかく取り戻しつつあった生活のリズムが少し乱れてしまった。


しかし、後悔はしていない。


たとえ眠らなかったとしても、必ず夜は明けて次の日はやってくる。


誰に、何に対してやっているかも分からない小さな抵抗。


たとえムダなことだと分かっていても、止めることはできなさそうだ。


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思い出した感覚を残しておきたくて文章に書いてみました。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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