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本と本をぶつける図書館

高校生の時、学校の図書室に毎日通っていた時期があった。
図書室を見回し、なんとなく目に付いた本を取り、休み時間や通学の電車で読み、返す時にまた近くの本を借りるのを繰り返す日々だった。


ある時、「◯◯は食べたら危険」みたいなタイトルの本を手に取った。その本では、市販の食品の商品名と、それに含まれる添加物の名前を並べ、「この物質はこういう研究結果があるので危険」というような解説をしていた。「ふーん、本に書いてあるくらいならそうなのかなー。まあ私は食べるけど……」と思った。シリーズで何冊か出ていたので、一応全部読んだ。


それからしばらく経ち、私はまた違う本を読んでいた。その本は「ニセ科学」の解説をしていた。私は衝撃を受けた。

なんと、私が以前読んだ「◯◯は食べたら危険」みたいなタイトルの本を、名指しで「ニセ科学の例」として挙げていたのだ。

内容は省略するが、考えてみればそうだよな……と思うような解説がされていた。「◯◯が含まれているから食べたら病気になる」という考え方は、科学的とは言えないのだ。

科学用語を使ってそれらしい解説をしている本でも、書いてあることが全て真実ではない場合があることを私はその時知った。
 

どちらの本も、何かしらの思いを持った人間が書いた商品だし、100%正しいとは限らない。図書館に置いてある本だからと言って、その作者の主張を鵜呑みにしていいわけがないのだ。

それにしても、罠みたいな図書室だな……と思った。
ニセ科学の解説本の参考図書として置いたのかも知れないが、「◯◯は食べたら危険(仮)」だけを読んで、加工食品を一切買わない思考になる学生がいないとも限らない。なっても別にいいけどね。


科学とは何かを考えさせられる良い経験だったと思う。

ありがとうございました。

がんばります!