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「おもしろい」ってなんだろう?:「おもしろい」を言語化した話と2023年担当した企画まとめ

※「GMOペパボディレクター Advent Calendar 2023」20日目の記事です!

「もっとおもしろくできる」ーーこれは、弊社GMOペパボが2008年から掲げる企業理念です。

私が担当しているロリポップレンタルサーバーのマスコットキャラクターがなんかイッちゃってる凄みのあるおじさんであることからもわかる通り、創業当初からこの「おもしろさ」というものは、ペパボのひとつのアイデンティティとして多くの方に認知されています。

ロリポおじさんだぽ!

かくいう私自身、このなんか「おもしろそう」な社風に心惹かれて、ペパボに入社いたしました。

「私も、なんかおもしろいことしたい……!」
なぜなら、「もっとおもしろくできる」って、なんかおもしろいし、それになんかおもしろそうだから!

そう、そうなのだ……!

「おもしろい」ことしたいけど、おもしろいって実際のところなんなのか、自分でもよくわかっていなかったのです。

担当するサービスや会社の「なんかおもしろそうな企画」を考えるにあたって、まず悩んだことをまとめるとだいたいこんな感じ。

  • なぜ「おもしろい」企画を行うのか

  • 人それぞれ価値観が違う中で、「おもしろい」を言語化することはできるのか

  • 「おもしろ企画」の属人化を防ぐためにはどうすればよいか

この記事では、「おもしろい」とは何か悩み試行錯誤する中でそれを「言語化」し、企画を続けてきたそのプロセスをまとめていきます。
Webサービスの中の人って、こんなこと考えて運営してるんだな〜とゆるーく参考になれば幸いです。
(本記事最後には、実際にどんな企画をやってきたかまとめています)

なお、「おもしろ企画」についての記事なのに、全然ふざけてないし普通です!どういうことだよ!すみません!!!

【前提:私のこと】
ロリポップというレンタルサーバーのWebディレクターをしています。
企画やSNS運営が得意で、趣味は音声配信・お散歩・音楽鑑賞(クラシックがすきですが、最近はメタルも聴き始めました!)


なぜ「おもしろい」企画を行うのか

まずは、ロリポップというサービスが「おもしろさ」というユニークネスを持つことで、ユーザーにどのような影響があるかを整理しました。

【1】ユーザーへの興味喚起

ユーザーの興味を引くことができる。これにより、ユーザーはロリポップを覚え、サービスに対する興味を持つことができる。

【2】ユーザーの愛着心の向上

ユーザーにロリポップへの興味や関心を持たせるだけでなく、ロリポップに対する愛着心を高めることができる。これは、ユーザーがロリポップを利用し続けることに繋がり、サービスの定着化につながる。

【3】個性への信頼

ユーザーにロリポップを覚えてもらいやすく、ロリポップのブランドイメージ向上につながる。ユニークな企画を提供することで、ロリポップが他のレンタルサーバーとは異なる、ユニークな存在として認知されることができる。

【4】ソーシャルメディアでの拡散効果

ユーザーがソーシャルメディアで共有しやすくなる。このため、ロリポップのキャンペーンや企画がユーザーの友人やフォロワーに広まり、新規ユーザーの獲得に繋がる可能性が高まる。

さて。
「おもしろさ」がなにかしらかのポジティブな影響がある(もちろんネガティブな影響があることも理解していますが、ひとまず本記事では割愛)ことを認識し言語化した上で、私がブランディングについて深掘りする上で思考の源とした弊社デザイナー作成の「デザインスキーム」について紹介します。

「具体的にデザインする対象は何か」の項目より
  • ブランドイメージを作る柱のうちの一つが「コミュニケーション」であり、そこに付随する「体験」が抽象的なイメージを作っていく

  • プロダクトとは両翼を担う関係性であるため、「コミュニケーション」はサービスのブランディングにおける必須事項

つまり、ロリポップとのコミュニケーションでユーザーに「よりよい体験」をしていただくためのひとつの手法として、旧来からロリポップをロリポップたらしめている「おもしろ企画」を採用することは、ブランディングを支えるファクターとして非常に重要であると結論づけました。

人それぞれ価値観が違う中で、「おもしろい」を言語化することはできるのか

ここまでなんかそれっぽいことを言ってきましたが、「おもしろい」と一口に言っても、人によって受け取り方はバラバラでしょう。

英語に訳してみようとしても、funny?interesting?enjoyable?comical?exciting?
たくさんありますね。
同様に、好みも人によって大きく異なります。
チームで運営するサービスに抽象的なキーワードを齟齬なく反映させるためには、どうすればよいでしょうか。

そこで私が参考にしたのは、私の人生のバイブル『日本一「ふざけた」会社の ギリギリセーフな仕事術』です。
※著者のシモダテツヤさんは元ペパボの社員でもあります

なかでも、書籍の中で紹介されている「おもしろ分析シート」は私が「おもしろさ」について考える上で大きなヒントとなりました。

この「おもしろ分析シート」、通常「おもしろい」とされるものの要素を紐解き分析した上で、シモダさんが当時社長を務めていた「バーグハンバーグバーグ」にとっておもしろいとは何かを図式化したものです。

委細は書籍を読んでいただくとして、ロリポップでも同様に「ロリポップとしてのおもしろさを言語化することができるはずだ」と思わされる内容でした。

また、「バーグハンバーグバーグ」はクライアントに対して提案を行う企業です。
基本的に自社のサービスに対して企画を行うロリポップにとって、この言語化の作業は彼らより具体的で明確にしやすいであろうと判断しました。

なお、この「おもしろ分析シート」、バーグさんでの行く末についてのオチもしっかりあるので、なんせ一読を!(アフィリンクじゃないです!!!)

「おもしろい」を言語化するのはなぜか:「おもしろ企画」の属人化を防ぐ

さて。なんだか話が逆行してしまうのですが、こうしてなにやら一生懸命「おもしろさ」について考えてこねこね考えて言語化しているのはなぜかというと、、

  • 属人化させないため

  • チーム内での認識をそろえて円滑にプロジェクトを進めるため

私はこれまで感覚で企画を立てることが多く、企画自体の分析もあまりしていなかったので再現性が低いなと感じていたことや、チーム内のどなたかが企画を進める際、「ロリポップのおもしろさ」について迷うことがないようにという思いもありました。

ロリポップにおける「おもしろさ」とは

社内の先人たちの資料や現在のサービスの状況、過去の企画を分解した上で、ロリポップにおける「おもしろさ」とは以下の3項目であると定義しました。

  • 世の中の固定概念や価値観をガラッと変えるもの

  • 好奇心を刺激して、創造性を呼び起こすもの

  • 愛着心を高めるような遊び心のあるコンテンツ

私自身「funny」を追いかける節があるため、バイアスがかからないように長年弊社のホスティングサービスを支えイメージを作り上げてきたデザイナーさんと、複数回ブレストを行いました。

それによって、「サービスにおけるおもしろさ」をより正確に因数分解できたように思います。

いつ・どのようにおもしろさを発揮させるのか

というわけで、上記の通り「おもしろさ」を定義した上で、さらに「おもしろさ」を出す時・出さない時の判断基準を明確にしました。
これは、ロリポップのターゲット層が法人・個人多岐にわたることから、我々のユニークネスがターゲット層をしぼることにならないための配慮となります。

詳細は記載しませんが、以下の通り「コンテンツの種類」によって、指針を定めています。

  • 常時・恒常的なコンテンツ(=機能・TOPページ・オウンドメディア・マニュアル等、常時設置されいつでも見ることができるコンテンツのこと)

  • 流動的なコンテンツ(=SNS・キャンペーン(付随するタッチポイントも含まれる)・メールマガジンなど、常時閲覧可能ではない短期的に利用されるコンテンツのこと)


というわけで、そんなことを考えながら今年企画したものたちを紹介します。
ぶっちゃけていうと、そんな深く考えずに出したネタもあります。すみません!!!!ほんと!!すみません!!!!!

2023年企画まとめ

覚えてるものでかつ外に出せる(出しやすい)ものだけ記載しています。
あたったものも、全然だったものもあるので恥ずかしい限りではありますが、自分の記録として残します。

なお、ここまで書くのでぶっちゃけ疲れたので、これ以降のコメントめっちゃ適当です。
別にそんな有益でもないので、筋トレしたり、インスタのリールとかをみたりしながら読んでください。

1. SNS:「ロリポくじ」

タップすることで今年の運勢が占える。
信じられないことに結果は108種類作った。

2. キャンペーン:「[ペパボ20周年]誰よりもハイスピードで前祝い!最長でペパボ25周年まで使える!契約期間2年延長キャンペーン」

20周年なのに、5年後の25周年を前祝いしました。

3. 機能:「AIロリポおじさん」(お手伝い)

ちょっと中のあれこれをあれこれお手伝いしました

4. キャンペーン:「【実質月額467円〜】←すごく素数!新生活応援キャッシュバックキャンペーン」

素敵!ではなく「素数!」です。
467は素数だなーと思っていただきたかったのです。

5. キャンペーン:「【訪問者の安心を確保しよう】最大98,560円キャッシュバック!SSL導入応援キャンペーン」

法人向けのキャンペーンだったため、「遊び心」あるおもしろさは封印しています。

しかしながら、70%相当の現金を還元するというキャンペーンはかなり思い切りましたし、ヒヤヒヤしました。毎日息荒く生きてました。
そのため、SNS上ではこんな形でPRしています。

6. キャンペーン:「【めでたくはじめよう】実質月額410円〜「大安からずっと吉日キャンペーン」」

キャンペーン初日とキャンペーン最終日が大安だったことからこのような企画になりましたが、当初想定していたものとは違う形になってしまったこともあって、今でも心残りがある、、

7. 機能改善:「エコノミープランでも独自SSL(PRO)をご利用いただけるようになりました!」

今年の前半は、上記機能改善も含めてSSLをよりご利用いただきやすくするようにさまざまな施策を行なっています。
(当時めちゃくちゃなスピード感で動いてくださったチームのメンバーにはほんと感謝!)

その中のひとつ、ユーザー専用ページから行える「あなたにぴったりのSSLは?【独自SSL診断】」の設置は、診断という見せ方におもしろさがあるところと、数値にもよい影響があったので思い入れがあります。

8. キャンペーン:「【ライトプラン12ヵ月が実質月額334円】Web拍手パチパチ!個人サイトを作ろうキャンペーン」

現在は公開終了していますが、インフォページにWeb拍手を設置するなど、いろいろ遊ばせていただきました。

お気に入りのWeb拍手

9. 機能改善:「『ドメインずっと無料』でもらえる独自ドメインが【最大2個】になりました!」

結構嬉しい機能改善だと思うので、まだご利用でない方はぜひ……!

10. SNS:「<誰でも応募OK!>ロリポップはもっと速くなりました!「なんか速いもの」プレゼントキャンペーン」

なんか速いものをプレゼントしたりしました。

11. SNS:「【抽選でAmazonギフト券】あなたのサイト運営の「こだわり」を教えて!ロリポップ公式X(Twitter)キャンペーン」

(あれ、このへんあんまり記憶がない)
もう少し練った企画にしたかったなーというのは反省点としてある

12. キャンペーン:「【実質月額400円〜】ロリポップはもう2024年のこと考えてます!来年のこと言うの早すぎて鬼が大爆笑!キャッシュバックキャンペーン」

10月に師走みたいなキャンペーンをしました

13. キャンペーン「【ぷんぷん(22)にんにく(22)】ロリポップ!22周年ハイスピード2,222円キャッシュバックとにんにく(あとAmazonギフトカード22,229円分)が当たるキャンペーン」

最高に悪ふざけしました。
レンタルサーバーににんにくを塗って下ごしらえをしているシーンや、にんにく効果でサポートの満足度を上げてます!みたいなCSからのコメントを挟むことも検討しましたが、いろいろないろいろでボツになりました。

当時デザイナーさんと一緒に、いろんなにんにくの画像を見ながらどうすればよりにんにくパワーを感じていただけるか熟慮を重ねたのですが、最終的にトップページに掲載したこのバナーが(どうかしているという点で)一番のお気に入りです。

14. 機能改善:WordPress有料テーマに「Emanonシリーズ」と「STORK19」を追加

ロリポップユーザーさんのWordPressのご利用がより快適になるようにと対応いたしました。選定から実装まで、ベンダーさんとのコミュニケーション含め非常に楽しかった、、
素晴らしいテーマを導入できたなと思ってます。

まとめ:「もっとおもしろくできる」ができるまで

さて、今回「おもしろさ」を言語化し、我々の「もっとおもしろくできる」を信じてサービス運営を続けてきたことについて書かせていただきました。

「可処分時間の奪い合い」が起きていると言われる通り、供給過多な昨今のインターネットにおいて、「届けたい人」「意図したおもしろさ」が刺さるようコンテンツを提供することは、サービスにとって非常に重要なことです。

ターゲットに対して、よりポジティブな影響を与えられるよう、それに至るまでの過程にはどんなに抽象的なキーワードにもロジックが必要であり、明瞭で正しい言語化・明文化は、健全なサービス運営を導くための「道標」になることは明らかだと思います。

しかしながら、言語化されたものは決して不変のものではなく、時代や状況に応じて進化し続けていくべきものであるということも、同時に認識する必要があります。

サービス運営当初の「おもしろさ」と今のロリポの「おもしろさ」が必ずしも同じでないように、レガシーなサービスだからこそ、常にユーザーにとっての幸福とはなにか探究しつつ、新しい「おもしろさ」を提供し続けること。

それこそがサービスを運営していく上での大切な使命であり「もっとおもしろくできる」の「もっと」に込められた決意であると考えています。

いつまでも、どこまでも、「もっとおもしろくできる」

共に追求できる仲間に出会えたことに、心から感謝して、この1年の締めくくりとさせていただきたいです。


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