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ビバ☆満員電車(2760字)

お暑うございます。AYAです。
最近書くことが本当に無くて低迷しておりましたが、皆大好きささかまさんのnoteからネタを引っ張ってきました。

ささかまさん、ありがとうございます。
前前から書こうと思っていた「満員電車ネタ」です。
(今回は、佐藤正午さんの「鳩の撃退法」を読んだおかげで、いつもよりまわりくどい表現を用いらせて頂きましたので、少々長めですが読んでくれると嬉しいです。)


皆さん、満員電車通勤お疲れ様です。
私もまだオバスンとは呼ばれなかった頃、高校生の時から10年以上満員電車に乗って通学通勤していました。
その体験のなかで、印象に残っている出来事を書きたいと思います。
ちなみに「痴漢」や「異臭」などのネガティブな話をするつもりはないのでご安心下さい。

ひとまず小ネタから……
超混んでいる電車の中で「何か肩に乗ってるなぁ」と思ったらミスタードーナツの箱だった。私の肩にチョイ置きすなw
夕方オッサンが読んでいるタブロイド紙のエロ漫画を横から見るのが好きだったなぁ。「やる気満々」とか、面白かったよね。
そういえば、ロンドンに短期留学した時に、日本でやるように満員電車を後ろ向きで乗ろうとしたら、黒人のご婦人に大きなオシリでホームに振り落とされた!オシリで振り落とされるって後にも先にもあの時だけ。

とりあえず小ネタ3連発が決まったところで、私の生涯忘れられない満員電車のエピソード、いってみまーす♪

今から20年前、乗車率200%は超えているであろう、頭上はスペースがあるからそこにダイブするんで乗せてくれない?と山本太郎議員並みの勢いがあった私はオレンジの電車に乗って通勤していた。12月の寒い時期だった。

すると、吉祥寺あたりでその2人は乗ってきた。

B男「ひさしぶりー」
A男「おー、ひさしぶりー」

静まり返る朝の通勤ラッシュ時、乗車率200%の車内で、どうやら中学生の時の同級生同士っぽい男2人が小声で挨拶を交わしていた。
歳の頃は私と同じ位で25、6歳といった所か。

コソコソと話している2人の会話の内容から、中学を卒業してから久しぶりの再会を楽しんでいるという感じだった。部活の仲間だったのか?それとも同級生か?邪推な私はこの数分の会話から2人の主従関係を予想した。

A男>B男

たぶんこのような関係。
ちなみに私から2人の顔は見えない。どうやら背後に背中合わせの状態で立っていると思われる。

荻窪~荻窪~

B男「クリスマスはどうする?やっぱり彼女さんと?」
会話の雰囲気からして、B男に彼女はいなそうだ。
A男「今年のクリスマスってさぁ、平日じゃん。だから彼女とは週末会うからクリスマスは会わない」
B男「ええ?それで彼女さんは大丈夫?」
A男「べーつに、大丈夫っしょ」

ガタンゴトーン


A男「この前さー、合コンしたんだよ」
B男「合コン?」
A男「そう、カード会社の派遣の女と」
B男「へー、どうだった?」
A男「まぁまぁっしょ。派遣だし」

私たちは言わずと知れたロスジェネ世代、超氷河期世代、新卒で派遣という厳しい現実も珍しくない時代でした。ここで派遣だからといってバカにしてはいけません。

ガタンゴトーン、ガタンゴトーン

A男「そのカード女と今度会う事になってさ」
B男「えーーー?A男くん、彼女いるじゃん」
A男「べーつーにー、バレないっしょ」
B男「それでそれで?」
A男「その女とさ、クリスマスに会おうと思ってるわけ」

なんだなんだ!
浮気の話か?
聞き捨てならないぞ!

中野~中野~

A男「クリスマスの日に」
B男「ふんふん」
A男「誘っちゃったんだよねぇ」
B男「えー?」
A男「オーケストラ」
B男「え?オーケストラ?」

ガタンゴトーン、ガタンゴトーン

ちょいちょい待て待て。
なんだよオーケストラって。
どんなクソ野郎だよ!

私はどうしてもこの浮気クソ野郎の顔が見たい衝動に襲われた。
しかしながら、どうにもこうにもこのギュウギュウのギュウの車内では顔は見られない。急に後ろを振り向いたり、徐に体勢を変えるとかも無理ゲーといった感じだ。

声の発する所から予想するに、私の後ろの後ろに位置しているであろう。
振り返る事が出来ない私は、顔を下に向けてさり気無く背後の様子を下からうかがう事にした。

浮気クソ野郎男の身長は180センチ以上、質の良さそうなチェスターコートを着ているのが見える。ブルックスブラザーズといった所か。足元もこれまたスタイリッシュな革靴が見える。リーガルといった所か。そして極めつけはアルミのアタッシュケース!その時代の勘違い野郎達がここぞとばかりに持っていた、今考えるとやたらと重いだけのアルミのアタッシュケース!どこからどう見ても女にモテたいために持っているであろうことは間違いない。ってか今考えるとダサすぎるwww
だけど、肝心の顔が見えない。

どうしよう、どうしても見たい。

私は新宿で降りなければならないし、恐らくこいつらも新宿で降りるだろう。多くの人が新宿で降りるから、これはもう、降りる人の波にのまれながら、それをかき分けながら、自分の身体も回転させながら、どさくさに紛れて顔を見るしかない。

A男「そう、オーケストラ」
B男「へぇ」
A男「あと一押しなんだよ」
B男「ところで、A男くんってオーケストラとか好きなの?」
A男「まーさーかー、好きなわけないっしょ」
B男「なんでわざわざ行くの?」
A男「そんなのオーケストラなんて見たら、その後絶対に…やるっしょ。


新宿~新宿~



ぬおぉぉぉぉぉぉぉ

見ないと見ないと見ないと。
絶対に見ないといけない!
今後私はこんな男には絶対に騙されないように、じっちゃんの名にかけて、伝説の職人の祖父の名にかけて、元カリスマ美容師の母の名にかけて、絶対に私は顔を見なければならない!
奇跡じゃなくていい!美しくなくてもいい!
それが私の宿命ってヤツだから!!!!

私は必死の思いで人の波にのまれながら、身体をくるくると回転させながら、不自然にならないようにしながら、必死な思いでヤリモク男の顔を見た。



上原ーーーーーー



当時は巨人のエースピッチャー、後のメジャーリーガー、そして今では日曜の朝のアッパレ担当、その名は上原浩治。

ヤリモク男の顔は上原だった。上原似だったのだ。

ハァ ハァ ハァ
とりあえず見れた。任務は完了した。

ってか上原似ごときでヤリモクなんてしてんじゃねーっつーの。

それにしても、朝から楽しい会話だった。
今更ながらあの2人にはありがとうと言いたい。
たぶん私以外の人達も楽しんでいたと思う。
だってあの時の新宿での降車の人の流れは、いつもと違ってなんか変な感じだったから。皆、ヤリモク男の顔が見たくて変な体勢で電車を降りてたと思うwww


そんな満員電車の懐かしい思い出でした。

でもね、今更ながら言うよ、あの時のヤリモク男、お前はなーーーー


喝だ!!!





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