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当時の日記より53@2009 10/1
姫(母)は入院中。
病室に入るなり文句を浴びせられる。
「昨日買ってきたパン不味かったわよ。そのパン屋さんはもう止めて」
「あ、そう分かった。捨てちゃった?持って帰って私が食べるけど」
「食べたわよ、美味しかったもの」
「ん?ん?不味かったの?美味しかったの?」
「だから美味しかったって言ったじゃないの!」
激怒。
帰りがけ医療チームの看護士くんと会ったので立ち話。
「ねぇ、認知症の始まりってどんな感じ?」
「なんで?何があったの?!」
脳転移した、これから認知症のような記憶障害が起きますよと告げられてから数か月経過。しかしその後の検査で脳転移箇所が消失。でも発言のブレはひどくなるばかりで私は認知症を疑い始めていたのです。
通りかかった担当看護師さんも含め30分近く話し込んだ。そしてアスペルガーだと思っていることも伝えると
「あぁーそうかもしれない。そう言われると納得できること、今までいっぱいあったもん」
「姫は一体何に反応して『あれが食べられなくなった』『これが嫌いになった』って言ってるのかも分からない。味覚障害になったからよって言うけど、日替わりの味覚障害なんてないよ」
話していたら少し気が晴れた。すると二人は
「ねぇ、なんでも話してね。みんなが卯月さんを心配してる。大変そうなのがすごく分かるから」
20代の若い二人に真剣に心配される私。有難い。
エレベーターを待っていると最初の入院で姫の担当になってくれた看護師さんにバッタリ。年齢が近くて話しやすかった。他科に移動したので会うのは久しぶりだ。
「ちょっと!痩せたよね。違う、やつれたんだ。ねぇ平気なの?ホントによくやってるなぁって思うよ。もう4年近いよね。初めの頃はお父さんも同時にお世話してたよね。えらいよ。今の医療チームと看護師長は本当に話が分かる人たちだから、絶対ため込んじゃダメだよ。みんなに話しな!」
有難い。私は幸せだなぁと思いながら病院を出て携帯の電源を入れた。すると、同室の患者さんのお嬢さんからメールが入ってた。
「卯月さんは本当に立派ですよ」
更に親友からも同様のメールが。帰宅すると最近ご縁があって親しくなった方から手紙が届いており、携帯番号と激励の内容。いつでも愚痴をこぼしてください、と。
たったひとりで苦労を背負わされている気になってた私は、こんなに沢山の人から気にかけてもらっていたのだと改めて気づく。
私は幸せもの。もうちょっと頑張れる。
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