【詩】初恋
初恋
久しぶりに会うと
どう接したらいいか分からなくなる
怪我が治りかけの足を庇って
普通の歩き方が思い出せない時みたいに
会うのはいつも夏
リリリリ チャカチャカ シャンシャン
蝉の声が十倍速で畳みかける
ぎこちなく口の中が乾いても
暫くすると
自転車の漕ぎ方のごとくよみがえる
子供のころ大怪我をした膝の古傷は
とっくに癒えたのに
いつまでも痛みを覚えていて
今でも時折ジリリンと疼く
忘れないでと囁くように
心の足元はおぼつかないまま早歩き
遠い過去の夢から
胸を躍らせうっとりする
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