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【詩】酷暑

酷暑

スイカの赤い果肉を
手掴みした時の微かなざらつきが
息をするのと同じくらい当たり前に
胸を締め付ける

脳が溶けそうなほど青い空と海で
人影のない海水浴場が光を超える
酷暑で外出自粛になるとは思いも寄らず
歌いながら水着と浮き輪の準備をした昨晩

朝から豪快に笑う太陽にぬか喜びさせられ
眠れないほど膨らんだときめきが
手持無沙汰な時間に
取り残される

灼熱化する地球の夏に奪われた楽しみが
心だけをジュワジュワ焦がす
誰も恨めない残酷な裏切りに
不意打ちを食らったかのごとく

気休めの言葉は
痛み止めのようなまやかし
それでも優しさは伝わるから
黙って受け入れ癒される

運命は
偶然を装う必然
行くあてもなく
愛にくるまる

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