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【詩】夕陽2~夏の終わり
夏の終わり
何もかも夕陽に染まっていた
雑草の生い茂る川の岸辺で咲き乱れる彼岸花
夏を見送るように燃えていた
久しぶりの里帰り
幼い頃に遊び慣れた草むらに腰を下ろし
影を深めていく辺りの表情を
膝を抱えながら眺めていた
のんびりした自分に戻ると
都会の時間が巻き戻される
水浴び帰りの少年が土手を走っていき
麦わら帽子が赤トンボとすれ違った
少年の姿は心地良さそうな気怠さを纏い
夏にやり残してしまった戯れの宿題に向かって
夢中で急いでいるかのように
夕陽に向かってぐんぐん小さくなった
まるで自然が描く一瞬毎の極上の絵画に
特別な魔法で入り込んでいくみたいに
私はまだその一部に入れてもらえるだろうか
そよ風が
「歩き出してごらん」と言うように
乾いた私の背中を押す
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