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12. 美しい話

美しい話

爛漫な陽ざしに
うたた寝から起こされる
空っぽに満ちるひととき
幸せ
勘違いの

今朝の苦い出来事は輪郭がぼやけ
既に過去

引き戻された現世がさっきに繋がる
眠りに沈む前 天使が私に囁いた
意識以上 魂未満に佇む湖のほとりで

<暑さはいつも寝坊するのだから
今のうちにあなた自身について語りましょう
不可視の逆風が強くなる前に
手首に透ける静脈あたりの話を
掴まり所のない泥沼で溺れそうな時
あなたはこのことを思い出すでしょう>

私は懇願する
<どうかお願いです
私を買いかぶらないで下さい
もうこれ以上
苦しみに耐える能力などありません>

眠る
何度も
眠る
胸を突き刺すような痛みを
受け入れてもらえなかった記憶を
遠くに追いやるため
失態や後悔で
自責の念に押しつぶされてしまわぬよう
いつか帰る場所を思い出すため

<どうかお願いです 
私を買いかぶらないで下さい
もう限界です
堪忍して下さい>

不断の日常を
ひとつひとつ乗り越えながら
待ち続ける
永遠の救いを
忘れられることの始まりを
誕生は終わりの始まりだったのだから

その時 人々は
慈悲深い優しさと哀しみに溺れ
賛辞以外に口を閉ざす
人生が美しさだけに彩られた真の姿になる

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