男性もHPVワクチン(子宮頸がん)の接種は必要なのか?

こんにちは。THIRD CLINIC GINZA院長の三輪です。
開院してから男性のHPVワクチン接種希望の方が多くお見えになってます。

HPVワクチンの認知度が上がってきているのは非常に嬉しいことです。
しかし、まだ認知は一部の方にしか広がっていません。

男性HPVワクチン接種について良く聞かれる質問をまとめてみました。
①HPVワクチンって男性が受けるもの?そのメリットは?
②男性はどの種類を打ったほうが良い?
③何回接種が必要?接種間隔は?
④何歳が適応ですか?


答えていきたいと思います!

①HPVワクチンって男性が受けるもの?そのメリットは?

HPVワクチン=子宮頸がんを予防するものという印象が強いと思いますが、

HPVは男性にも女性にも感染しており、男性に発症するがんの原因にもなります。

性交渉などの接触により互いに感染します。
男性が接種することのメリットを2つ挙げます。

【1つ目のメリット】:自分のがんの予防

HPVは以下の男性に発症するがんに関与します。

・肛門がん
・陰茎がん
・中咽頭がん(のど)

です。

米国では、がんになるリスクの高いHPVは女性で全てのがんの3%を、男性で全てのがんの2%を引き起こします(米国国立がん研究所(NCI)ファクトシート参照)
肛門がんや陰茎がん、中咽頭がんは初期で見つかり治療したとしても、切除や放射線を当てることで自身のQOLが下がってしまいます。

【2つ目のメリット】:尖圭コンジローマの予防

尖圭コンジローマという性器に鶏冠状のイボができる感染症がありますが、これもHPVが原因です。
陰茎や肛門や、外陰部にイボが多発する病気です。もちろん女性の外陰部、腟にもできます。イボが大きくなった場合はレーザー等で外科的に切除します。

ワクチンを接種することでこのような病気へのリスクも下げられます。

【3つ目のメリット】:自分の感染を防ぐことで相手への感染を防ぐ

自分がワクチンを接種し、感染予防することで大切なパートナーへの感染を予防することにも繋がります。

HPVは腟、陰茎、肛門、のど、皮膚やその他器具を通じて接触感染することがありますので、コンドームを使用しても100%予防することはできません。

②男性はどの種類を打ったほうがよいの?

HPVワクチンには3種類ありますが、今の日本では男性に承認されているのは『ガーダシル』のみになります。

シルガードも接種することは可能です。しかし未承認のものになります。

承認されている、つまりワクチンを接種した後、なにかしらの副作用が出たと認定された場合、その治療費を一定額まで国が保証してくれるのが「ガーダシル」になります。

リスク、メリット考え、接種するワクチンを検討しましょう❗


③何回接種が必要?接種間隔は?

ガーダシルもシルガードも3回の接種が必要です。

1回目→(1回目から2ヶ月後)→2回目→(1回目から6ヶ月後)→3回目

の接種間隔です。1年以内に3回の接種を終えることが望ましいとされています。

他のワクチンとの期間は特に設ける必要はありませんが、
新型コロナワクチンのみ、すべてのワクチンと2週間空けるようにとの通知が出ていますので前後2週間は避けてください。


④何歳が適応ですか?

男性の適応は9歳〜になります。

アメリカでは①11〜12歳の男女、②HPVワクチンを接種していない26歳までの人、③HPVワクチンを接種していない27〜45歳までの一部の成人

の順番で接種を推奨されています。

カナダは①9〜27歳未満の女性、②9〜27歳未満の男性、③継続的に暴露のリスクがある27歳以上の男女

オーストラリアは①9〜18歳の男女、②ワクチン接種の恩恵を受ける可能性のある1部の成人(19歳を越える成人へのワクチン接種は通常推奨されない)、③年齢に関係なく、著しい免疫不全状態にある人

でHPVワクチンの接種がすすめられています。世界では50カ国以上で男女ともにワクチン接種プログラムが導入されています。

日本では、最初に「子宮頸がんワクチン」という名で普及してしまったために、男性が接種するものとしての認識が広まりづらい状況にあります。

しかし男性が接種するメリットも多いにあるわけです。
男性の方もHPVワクチンについて考えてみて下さい。


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