ボタニカル蒸留についてインタビューしていただきました。
こんにちは。アロマセラピスト・モデルの
石井亜矢子です。
モデル、アロマセラピストをやっております。香りと植物と人と。自分が整い、自然と人と調和して、皆が楽しく自分らしく生きていけたら素晴らしいと思ってます。
そんな思いからなのか、無意識なのか、好きを続けているここ数年、
植物から香りを取り出す、ボタニカル蒸留にどハマりして、精力的に行っております。
月に一回、多い時は2、3回と蒸留と植物を楽しむワークショップを開催しております。
今回ボタニカル蒸留について
親交のある髙橋さきえさんにインタビューしていただきました。
ぜひご一読いただきますと幸いです。
植物を介して自然と人をつないでいきたい
十代からモデル活動をはじめ、CMや広告を中心に幅広く活動されているあやこさん。さらにアロマテラピーを学び、アロマセラピストとしてトリートメントなどを行う傍ら、ボタニカル蒸留家や香りの空間演出など活躍の場を広げられています。現在、月一回のペースで経堂のカフェで開催されている蒸留ワークショップは少人数で行われ、植物の持つ豊かな恵みを参加者に伝えています。そんなボタニカル蒸留の魅力や蒸留ワークショップなどについてお話を伺いました
ーー まず、あやこさんが行なっているボタニカル蒸留について教えてください。
ボタニカル蒸留とは植物から精油を取り出すアロマの蒸留法の一つで、水蒸気蒸留法といわれているものになります。この蒸留法は原料の植物に含まれる香り成分を沸騰させた蒸気の熱で抽出する方法です。蒸気に含まれた成分は冷やすと水と精油の二層に分かれ、水の成分にも水溶性の芳香成分が多く含まれることから芳香蒸留水として使われたりしています。
ーー あやこさんにとってのはじめての蒸留体験はいつ頃だったのでしょうか。
2006年ごろだったと思います。アロマを学ぼうと学校に通いはじめまして、最初のクラスの先生がローズマリーを蒸留してくださいました。そう、蒸留しながら授業を行っていて、授業の途中で「あ、管から精油が出てきましたね」とか先生もおっしやったりしていましてね。私もそれを見て「あ、こうやって精油は出てくるんだ」ってすごく感動したのです。
ーー 感動しますよね水と油は分離するというのは頭では理解しているのですが、本当にそういう感じで分かれますしね。
そうなんですよね。今じゃ当たり前のようになっていますけど、上に精油がちよっと出来て、下に蒸留水が溜まるという事実にただただ感動していました。
ーー その他に蒸留の魅力ってどういうところにあると思いますか
そうですね。毎回蒸留を行っていると感じることですが、植物から使えるカタチに変化させることで繋がりを感じています。自然界の植物は何もしなければ、育って枯れて腐っていくと思うのですが、蒸留という一手間を行うことで植物から精油を取り出して、香りや植物の持っている力をカタチとして残しておくことが出来るようになるのです。そして、植物は精油にしてからもトリートメント用のブレンドオイルや香水など、いろいろな用途に使えるようになるので、カタチとして残した後の可能性も広がりがあります。そういう広がりのあるところに繋がりがあるという安心感を感じるんです。本来なら枯れて終わってしまう植物も蒸留する工程で一度、人と植物は繋がって、精油というカタチにすれば、さらにその先で人にも役に立ったり、喜ばれたりする。そういうトータルな繋がりを得られるところに蒸留の魅力を感じるのです。
ーー なるほど。本来、何もしなければ枯れてしまう植物を精油というカタチに残す作業で植物とまず繋がり、さらにその工程を誰かと一緒に楽しめばその人と植物との繋がりの橋渡しができる。そして、さらにカタチに残してからも用途によってまた違う人とも繋がることができるというわけですね
そうですね。その広がりに自分も癒されます。野菜を料理することもきっと同じようなことなのでしょうが、アロマは香りが残るのでそれが魅力でもありますね。
ーー 繋がりという点で、あやこさんのSNSなどを拝見させていただいて思ったのですが、蒸留するための植物はどういう感じで人手されているのでしょうか。
このあいだのイベントで使用したレモングラスは私が教わっている蒸留の先生がもともとお知り合いの方で、先生からは最初「ここはカモミールがいいのよ」と紹介していただいて、毎年購入していました。それから、毎年購入しているうちにだんだんと他の植物もご紹介していただけるようになり、譲ってもらえるようになりました。あとはやっぱり人との繋がりで植物を育てていらっしゃる方と出会うことが多いですね。薔薇を育てている方とは、京都で瞑想とヨガを行っている女性が知人でいましてね。その方が「なんかすごくあやちゃんに合いそうな人にあったの」とおっしゃって。それでお話をお聞きしたら、「あ、じゃ行きます!」ってお伝えしていて。その知人に薔薇を育てている方にアポイントを取っていただき、京都まで新幹線で会いに行ったのがきっかけだったりします。
ーー すごいフットワークの軽さですねそして、あやちゃんに合いそうな人っていうのがいいですね。なんていうか、良い植物だから紹介したいではなく、合いそうだからというところが面白いですね。
そうですねだいたい、植物がっていうよりも、それを育てている人が面白いからと紹介していただくことが多いかもしれないですね。でも、その方がなんか私のことをわかってもらえているんだなって感じがして嬉しいです。素敵な人が素敵な人と出会って、そしてまた繋がっていくってなんかいいですよね。
ーー 蒸留するために集めるのが大変だった植物とかはありますか。
集めるのが大変な植物はやっぱり金木犀ですかね。とにかく売ってないし、開花のタイミングもわからないので、時期を読むのがとても難しいです。今年はちょっと例年より遅れていますよね。それにお花を摘む作業もだいたい1時間くらいかかります。剪定中は虫とかもいるので、ちょっと揺らしてからもらったりしてね。けっこう蜘蛛の巣も大きかったりして、いろいろ大変です。
ーー たしかにお花の粒も小さくて沢山ありますしね。それにしても、あの大量な金木犀のお花はそのようなあやこさんの努力によって採取されているのですね。金木犀のワークショップはとても人気があると思うのですが、あやこさんの蒸留ワークショップの魅力はどんなところだと思いますか。
魅力は蒸留する植物の質がとても良く、蒸留だけじゃなく、植物を丸ごと楽しめるというところですね
ーー 八重桜の蒸留ワークショップでは桜の塩漬けを事前に仕込まれて、参加者さんにお茶菓子としてお出ししたバニラアイスの上に添えて、みんなで味わってみたりしましたね。
そうでしたね。植物の蒸留工程も楽しめて、さらに味わうこともできる。そして、出来るだけお家にお持ち帰りいただいて、その場だけではなく、帰ってからも楽しめるようなワークショップにしたいと思っています
ーー 参加者さんたちもお土産がいっぱいだといつも嬉しそうです。
そう言っていただけると嬉しいですね。香水作りとかも参加者さんのブレンドにそれぞれの個性が出ていて、面白いんですよ。私もついつい毎回出来上がったブレンドを嗅がせてもらいにそれぞれの席を回ってしまいます。
ーー たしかにあまりアロマの知識がない人のブレンドの方が意外性があって面白い組み合わせができたりしますよねところで、そんなワークショップでの失敗談とかは何かありますか。
失敗談ですか。いつものカフェでワークショップの準備をしていたときに、蒸留するときに使用する冷却管をばりんと割ってしまったんです。それがないと蒸留は出来ないのでとても焦りました。ただ、その頃はまだそのカフェから自宅も近かったので、別の蒸留器などを取りに戻りましてね。それで予定よりも1時間遅れの開催になってしまったのですが、なんとか開催できて大事にならずに済みましたが、あのときは本当に青ざめましたね。
ーー 1時間遅れはけっこう大きかったのではと思うですが、参加者さんたちは大丈夫でしたか。
それが、そのときの蒸留会のテーマがフランキンセンスだったので、蒸留で使用するフランキンセンスを販売しているお兄さんたちも来てくださっていましてね。そのお兄さんたちが若くてイケメンで、お話も上手だったので、ワークショップの参加者さんたちも「フランキンセンスのお話も聞けてよかったわよ」って言っていただけて、そんなギスギスした空気とかにもならなかったんですよ。
ーー なるほど。お兄さんたちも自社商品を説明する時間がもらえてよかったのかもしれないですね。
そうなんですよね。なんかあの時間にお客さんとコミュニケーションが取れて、けっこう売れてよかったって言っていただけました。
ーー 蒸留器はガラス製のものが多いので、割れてしまうリスクもあると思うのですが、それでも自宅ではなく、わざわざカフェで行うのにはなにか理由があるのでしょうか。あやこさんのワークショップは、会場で理科の実験室を設置して、蒸留工程をみんなにお見せするやり方でけっこう労力やリスクがあると思うのですが。
そうなんですかね。私はそういうものだと思ってやっているので、あまり移動してセッテングするということについての大変さとかを考えたことはありませんでした。場所をお借りしているカフェのオーナーもすごく良い人でいつもいろいろと協力してくださいます。カフェでは最初はもっと小型の蒸留器からはじめたのですが、回を重ねるうちにカフェのオーナーとの信頼関係も深まっていき、それで徐々に大きな器具を持ち込んでしまうようになってしまいましたね。
それにとにかく、自分が感じた初めての蒸留体験での感動をより多くの人に共有したいという気持ちが強いのだと思います。
ーー なるほど。薔薇の生産者さんにお会いするために京都にビューンと行ってしまうようなところや、沢山のガラス器具を持って移動することに苦を感じないところを考えるとあやこさんは移動に慣れているんですね
あ、そうですね。モデルのお仕事で移動は多いので、そういった点で移動は慣れているし、全然苦じゃないですね。
ーー いろいろ繋がっていますね。では、ここからは少しあやこさんの植物との関わりについてお話をお聞きしていきたいと思います。まず、もともと幼い頃から植物はお好きだったのでしょうか。
どうでしょう。でも、子供のころ、埼玉の浦和の方に住んでいたのですが、バス停にすごく綺麗な紫色のお花が咲いていたんです。で、こんなところでもお花が咲くんだってなぜか感動しちゃって。それで親にそのお花の名前を尋ねてみましてね。そしたら、「矢車草だよ」って教えてもらいました。お花の名前をはじめて知りたいと思って親に聞いたのはそれがはじめてで、紫色の花が本当に綺麗だったっていうのを今でも覚えています。
ーー あやこさんは幼いころから感受性が豊かだったのですねお花って興味がない人には全く視界に人ってこないものみたいです。
そうなんですかね。たしかに植物はやっぱり好きだったんでしょうね。今だと、お花のいい匂いが香ってくると出所を探してしまいます。金木犀とか、ほのかに漂ってきて探すとすごくおしとやかにひっそりと咲いていますし。
ーー ですね。そんなところにいたんですねって感じに思います。あとはどんな植物がお好きですか。
やっぱり匂いがする植物が好きですね。紫陽花は見た目は可愛いけど、そんなに香りとかもしないのであまり見つけてもトキメキはないですね。やっぱり香りがある薔薇とか金木犀とかですかね。
ーー 精油だとなにがお好きですか
なんでしょうね。体調とか季節によっても違ってくるのですが、薔薇とかフランキンセンスとかはずっと好きですねあとはラベンダー、ネロリもいいですね。
ーー 金木犀といえば、あやこさんが蒸留した金木犀を年代ごとに熟成させたものの香りも素晴らしかったですね。
ああ、あれは以前アロマの学校で十年物のサンダルウッドの香りを嗅がせていただいたことがあり、それを思い出して、金木犀でやってみたものですね。
ーー 同じ金木犀というお花からとれる精油でも熟成させるとこんなに香りの変化が楽しめるんだとはじめて知り、ちょっと感動しました。
そうそう、ちょっと濃厚な芳醇な香りでしたね。そういう変化にも気づけるというのも自分で蒸留する面白みの一つなのかもしれないですね
ーー 今後やってみたいお花の蒸留とかありますか。
まだ伝手がないのですが、ジャスミンやイランイランとかやってみたいです。好きなんですよねイランイラン。
ーー なんかわかります。実は私は三十代のころはイランイランの香りが苦手でした。なんていうか、大人の女の人の香りって感じでクラクラしちゃっていました。けど、最近は妙にあの香りが落ち着くんですよね。
わかります。若いころはあまり欲さない香りですよね。でも、歳を重ねるとやっぱりホルモンが足りなくて欲してくるようになるんですかね。洋服とかもそうで、今まで私はピンク色の服なんて全然興味なかったのですけど、今はピンクとかを着ようってなります。
ーーあれ不思議ですよね。やっぱり気持ちを上げていこうってところからくるんでしょうか。でも最近は香りにしてもファッションにしても、年齢や性別関係なく自由に楽しめるようになってきましたね。
そうですね。たしかに以前、企業で蒸留のワークショップを行なった時も男性にも人気がありました。
ーー そのときはどういったものの蒸留をされたのでしょう。
そのときはラベンダーの蒸留をデモンストレーションで行いながら、香水とスプレー作りをしました。知らない部署同士の人とかも交流があったみたいでワークショップを開催して良かったみたいです。
ーー 同じものを見て、同じ作業をするっていうのは知らない人同士でも自然と仲良くなれるのかもしれないですね。
そうですね。香りってそういう力がありますよね。香りで気持ちがほぐれるとかもあるでしょうし。
今回お話を伺っていて、あやこさんは繋がりをすごく大切にされているのだなと感じました。植物が持つ生命力を人間が考えた蒸留というものを通して、植物と繋がりを感じ、そこから更に広がっていく人々と植物の繋がりの世界。あやこさんは植物と人をつなげる助けをする人なのだと思いました。ワークショップでも参加者さんに何かを教えるという感じではなく、とても自然体で参加者さんと植物との交流を温かく見守っているという感じがします。今後もあやこさんの活動がより多くの人に届くといいなと感じました。
※髙橋さきえさんのInstagramはこちら⬇️
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