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“チーム” は距離を超えられる


「チーム」が好きだ。


小学校のミニバスのチーム、駅伝チーム、

中学の陸上部でも、思えば一人種目より4人でバトンを繋ぐリレーに夢中で、

高校の文化祭、体育祭、合唱コンクール、部活、

大学のサークルでの企画、そして社会人になってからも「チーム」は続く。


前職では、社員に向けたキックオフパーティーの企画を全社横断チームで何度か担当した。当時更新したSNSを見返したら、


「チームでひとつのものを創り上げること、やり遂げた先の達成感が好きだということ、仕事をするうえで大切なのは“人”だということ、再認識しました」と熱苦しく書き残していた。


生きてきた道筋に、自分を構成する大切な一部に、いつも自然と「チーム」があった。



そして迎えた今回の「言葉の企画」(2020年5月から参加している、コピーライター阿部広太郎さんの講義)の課題は「チームの企画」だった。年内に実行することを条件に、チームで何かひとつ、企画せよ、というもの。


それなりに経験を積んだはずの「チーム」だが、これまでとは勝手が違っていた。


ひとつに、メンバーがあらかじめ決まっていたこと。

もうひとつに、学生と社会人の混合で構成され、各々がほぼ初対面、尚且つ拠点も全国バラバラ。さらには仕事とも学業とも関係のない独立したコミュニティであること。



スポーツや部活は、同じような興味関心や志を持った者たちが自らの意思で集まる。


体育祭や文化祭は、いわば学校の一大行事。クラスやメンバー間の意見や価値観の食い違いも、喧嘩も、本気でぶつかり合ってまとまっていくまでにも、無限に時間があった。あの頃は揉め事すら青春の1ページ。


会社員としての企画は、給料をいただいて行う仕事なので、楽しいかよりもまず責任感と使命感が伴う。



「言葉の企画」の“チーム”は、そのどれでもない。チームがどんなスタンスでも、メンバーに興味があってもなくても、時間はただ平等に過ぎる。関わり方はどこまでも自由で、強制力もない。



8月5日。年齢も場所も立場も全員違うメンバーが、はじめて集まった日。


互いの考えを聞きながらブレストを重ね、何となくうまく進んでいるように思えた。みんな優しく、互いに否定的な意見もなく、「いいね、いいね」で進んでいく。

たとえていうなら「凪」のようで、波風は立たないかわりに、大きなうねりも起こらない。


そんななか、数回目の打ち合わせで、チームメンバーが、


「…考えてみたんですけど、本当にこれがやりたいんでしたっけ?」

「自分たちのやりたいことをすり合わせた結果として、この企画で本当に良いですか?」



と真っ直ぐに疑問を投げかけてくれた。

全員がハッとして、立ち止まった。


たしかに私たちは、距離や時間の制約、コロナ、様々な事情を盾にして、現実的に可能そうな企画を探し、おさまろうとしていた。納得はできるが、「本当にやりたいか?」と問われると、みんなも、私も、多分わからなかった。自信がなかった。


仕切り直すにはギリギリ黄色信号な8月19日、私たちは初心にかえって、1000本ノックさながらな勢いでアイデアをチャットに打ち込み続け、糸口をみつけだした。

そこからの機動力と一体感たるや、今思い出しても凄かった。

全員がお尻に火がつくどころか若干小火を起こしつつ、自分のなかのワクワクをずっと置いて行かずに、10日間企画に向き合い続けた。



企画詳細については長くなるので別で書くけれど、最終的に、メンバー皆が心から「これが欲しい!」と思える、「こんなのあったらいいな」をひとまず企画書にすることところまでは、妥協なく、こだわりをもって、できたと思う。

提出した日、距離を超えてハイタッチしたくなったあの爽快感と、心身にしみわたるビールの味をきっと忘れない。




講義での阿部さんの言葉は、チームで取り組んできた日々への、答え合わせのようなメッセージだった。


「新しいことは負担。1人ひとりの負担を充実に変えられるチームが強い。」


(どんな人と一緒に企画したいか、への問いで) 「互いに敬意をもつことができる人。年齢や役職、肩書は関係ない。」


「合う、合わない、合わせる、合わせない、私たちは選ぶことができる。流れに乗るも乗らないも自由」



100人の誰もが背中を押され、企画への向き合い方を問い直し、前向きになれた言葉だったように思う。


と同時に、自由ほど難しいことはない。

“流れに乗るも乗らないも、選ぶことができる”、自分次第だからこそ、


「本当にやりたいか」 「本気になれるか」を常に問い、


負担を充実に変えていける企画、チームじゃなければ、

成り立たない。続かない。




いま思えば、あの日あのタイミングで「立ち止まって考え直さないか」と提案することは、相当言い出しにくく、勇気がいることだったろうと思う。


そして正直、学生さんたちからしたら、社会人と企画をすること自体、想像以上に気を遣わせたのではと思う。


振り返って思うのは、

多忙なスケジュールのなか時間を合わせてもらうことと同じくらい、


「いつでも空いてます」「常にいつでも大丈夫です」と

チームに寄り添い、士気を上げてくれる人の存在が、どんなにありがたく救われたかということ。


距離も年齢も肩書きも超えて、「本音」を交わしあえる仲になってくれたメンバーに、心から感謝します。ありがとう。



企画についてはまた、書きます。







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