夏フェスに家族で参加するまでの道のり
JOINALIVEだった。
7月の三連休の土日の二日間、毎年恒例の北海道の夏フェス。JOINALIVE。
以下、JOINALIVEの公式にとびます。ご存知ない方は、どうぞ!
10代から20代まで、夏フェスに命をかけていた。
いわゆる“フェス友”がいて、夏を、音楽を、全身で楽しんだ。
この仕事をする前から、お決まりの行事だったし、本当に、夏はこの日に全てを賭けて、全身全霊をかけて参加していた。参加しないと、ダメ。ダサいとすら思っていた。
ラッキーなことに、結婚した人は、無類の音楽好きで、彼は夏フェスでご飯とか空気感とか味わわなくていいから、その代わりに隙間なく、できるだけ多くのアーティストのライブを観たいと考えてる人だった。
結婚するときに、
あーよかった!と思った。
これで、これからの人生も、夏フェスにいける!って。
わたしの人生から、夏フェスが消えないんだ!って。
私は、夏フェスに一緒に行ける人と結婚したことが嬉しかった。よかったと思った。誇らしかった。
結婚したのが2014年の10月。2015年の夏にはすでに長女を妊娠していた。
妊娠中、フェスに行けなくてウズウズした。
チクショウ!来年こそは赤子を抱っこして、参加してやる!!
札幌の中心部にある自宅は、ジョインアライブの音も、ライジングサンの音も、届くはずのない距離で、
それでも、目を閉じ、耳を潜め、あの楽しかった日々を、回想した。
そうすることで、気持ちだけは夏フェスにあった。
だんだんと、暗くなる、無音の部屋の中で、大きくなったお腹を摩りながら、ベッドに横になる。
あの頃は、お腹の張りが酷くて、ウテメリンを飲みながら、赤ちゃんとの日々を過ごしていた。
そして、こんなことを思った。
私はもしかして
もう2度と
自由に
夏フェスに
参加することは
ないんじゃないか。
赤子を抱っこして、参戦?
そんなことできるのだろうか。
まだ、赤ちゃんの顔も見てないのに。
お腹の中にいる今、
すでに夏フェス離脱組なのに。
私と違う意志の、
私とは別人の、
小さな人間を抱っこして、
私は夏フェスに参加するんだろうか?
果たしてそんなことできる?
ぼんやりと、
本当に、
ぼんやりと思って、
少しだけ、ヒヤッとした。
それは、
長い夏休みの最後の日のような感覚で、
あんなにたくさんあった日々が、戻ってこないという焦燥感と、
これから始まる新しい日々への期待とが入り混じるような、あの感覚。
「赤ちゃん産んだらまた行けばいいじゃん」
と、夫はいったけど、その日をどうしても想像できなかった。
………………
2015年10月に長女誕生!!
2019年11月に次女誕生!!
その間に、私が行けた夏フェスは、多分5回程度だったと思う。
それも、自由に楽しくチケットを買って参加するのではなく、お仕事をいただいた時だけ。
例えば、中継レポートのために出向いたり、取材があったりと、そんな感じだ。
行けた5回の夏フェスは、お仕事の前後でライブも観た。
観たと思うけど、ライブの内容を、あまり覚えていない。
多分、子供が待ってるから、早く帰らなきゃとか、残してきた家族のことを気にしながら参加したからだと思う。
まさか自分が、
あんなに好きだった夏フェスに、
上の空で参加するだなんて
思ってもみなかった。
子供を連れて夏フェスに参加しよう!と、息巻いていたけど、
あの時ぼんやりわかっていたように、
実際産まれてきたら、無理だった。
おむつを変える場所の確保や、授乳できる場所の確保は難しい問題だったし、
おむつやおっぱいが終わったとて、
子供の熱中症や、トイレ問題など、
行けない理由はたくさんあった。
何よりどう考えたって幼い子供にとって夏フェスは過酷で、
そんな無理してまで参加する意味ってなんだろうと思っていた。
わたしは、母になってしまった。
命をかけて共に参加していた、フェス友達とも疎遠になり、みんなが元気にしているのか気になったけど、連絡することもなかったし、
私は、お母さんになったんだから仕方ない。そういいきかせて、毎年やってくる7月の週末を、8月の週末を、見て見ぬふりしながら見送った。
悔しいことも言われたな。
「鈴木はフェスとか興味ないもんな?」と、言ってきた、アイツの顔を、グーパンチで殴りたかった。
興味ないんじゃなくて、行けねーんだよと、言いたいのを我慢した。
あの時なんて答えたんだっけ?
いつか、行けたらいいね!と夫婦で話して、本当にそんな日来るのかな?と、思っていたけど、行けないなら行けないで、仕方ないなと思ったし、
人生のフェーズが変わったんだと、何度も言い聞かせて、言い聞かせて、言い聞かせて、
言い聞かせてたら、
急にその日はやってきた。
私は今年、家族でJOINALIVEに参戦した。
JOINALIVEが、岩見沢で、私たちのことを待っていてくれた。そんな風に思った。
ただただ感動した。
時が流れてフェーズが変わったけど、
また、新たなるフェーズに突入して、この日を迎えた。
長女を産んで、9年。
次女産んで、5年。
これが、我が家に必要だった、夏フェス家族参加までの道のり。
あーあ、長かったな、長かったよ!
キョンキョンが最高だった!とか、イエモンがカッコよかった!とか、
そういうことも、そうなんだけど、
私たち、やっとまた、夏フェスに戻ってこれました!!!最高です!!!!だ。
子供達も、たくさん歩いて、抱っこをせがむこともなく、心から楽しんでくれてることが嬉しかった。
子連れの夏フェスレポは、また別の機会に。
今、私の周りに妊婦さんが何人かいる。
あぁ、懐かしいなと思う。
宝物をお腹に抱えた、神秘的なその姿は、存在全てが美しい。
幸せに満ち溢れて見えるけど、
当時私が思ったように、不安になることがあるだろう。
だって、私はそうだった。
夏フェスに限らず、お仕事だったり、趣味のことだったり。
もしかしたら、もう、おんなじようには
できないかもって。
“それでも良い”って思わなくちゃと、思ってた。
でもね、大丈夫なんだ。
そう思わなくても大丈夫だし、時間かかったとしても、必ずまた、楽しめる日が来る。
大丈夫だよって。
あの子や、あの子や、あの子に、伝えたいし、
9年前の、私にも伝えたい。
抱きしめながら、こう言いたい。
「2024年のJOINALIVE、最高だからね!それまで頑張ろうね!」って。
伝えたいんだ。
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