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挫折の夏、リカバリーしてみたこと。

旅行キャンセル、夏は終わる…。

息子の手足口病が二週間前に発症し、今年の夏休みは私と息子は義実家に行くことができなかった。娘と夫は1、2週間ほど行ってきたのだが。
飛行機で1時間の距離のある義実家に行くついでに離島の旅行計画もしていたのだが、それもまるごとキャンセルになった。

連日の猛暑で普段はどこにも出かける気もしていなかった7-8月。「離島旅行があるから。」と期待と希望の多くを抱き、毎日そこに思いを馳せて過ごしていた。しかし、まさかの子の病気でキャンセルになってしまい、全私が泣いた。というか、先月の旅行で不運にも私が発熱してしまったので、なんとなく「今回もダメになるかもな…。」なんて、ネガティブな予想はしていた。でも本当になるなんて思わなかった。
息子の手足口病が発症した直後は「まだ有給の日数がある。予定をずらせばいけるはず。」と夫とも言っていたが、どうにもならない日まで容体が変わらないと、「もうダメなんだな。」と、ちょっと投げやりになった。

旅行は好きなのだが、予定を立てるのが一番苦手な私。自分だけ行くならさくさく適当に予定が立てられるのだが、家族旅行となると子供中心のスケジュールを立ててしまい、逆に自分の心が乗らなくなって、ついつい予定を立てることが億劫になりがちだ。
そんな私が嫌でも7月に立てていた今回の島旅行の予定と、人見知りなのに頑張って電話しまくった宿の手配が全部無に帰した。
旅行に行けないことよりも、その労力が無駄になったことに軽く絶望する。

自分の苦手な事をしてまで行きたい島に行けなくなった私は、開き直って病欠で休んでいる息子の様子を見つつ、家でできるやりたかった事をちまちまとすることにした。

たとえば、家の家具の配置替え。
IKEAの馬鹿でかいのに収納力のない本棚の位置を1mだけ横に動かした。狭い家なので少し大物家具の位置を変えるだけで部屋の印象も変わる。ここ最近ずっと「これがこっちの位置だったら…。」と気になっていた事だったので、本棚の本を半分以上出し入れして移動させ、熱中症になるくらい汗だくになったが気持ちはスッキリした。

家具のリメイク
夫が20年以上使っているリビングのこたつテーブル。見た目に好みでないのでさっさと買い替えたいのだが、夫は死ぬまで残す勢いでいる。仕方ないのでリメイクシートを購入して、台の表面だけ好みのものにすることにした。シートは半月前に買ったままだったのでこの際一気に貼る。床の色とシートの色を揃えたのでだいぶ部屋の雰囲気が落ち着いた。こちらもスッキリした。

台所の棚の配置替え
こちらも気になっていたので、えいやと動かす。バラバラのあった棚を隣同士に置く事で取り出しやすくなったし、見た目もスッキリした。棚周りの要らないものも整理し、位置を変えるだけで気持ちも変わった。

シンク周りの整理整頓
「忙しいから」とおざなりにしがちだった整理整頓。気になるので一気に片付けてみる。夫がバラバラと調味料を置きがちなので、それも全部外に出ないようにした。毎日使う場所なのでとてもスッキリした。

シチリア料理
図書館で借りたシチリア料理本。パラパラ読んでいて作ってみたかった手作りパスタのレシピをやってみる。案の定、子供は食べなかったが、私はシンプルなのになぜこんなに美味しいのか、と言うくらい美味しさに驚いた。急なアハ体験をしたかのよう。油多めであとで胃がもたれたけれども。

子供と遊ぶ
もちろん子供に勉強させつつも、Switchのゲームを一緒にやる。あまり面白くないかと思いきや、4人まで同時プレイできる「カービィハンターズ」に息子とはまる。役割も一人一人違うようにできるのも楽しかった。久しぶりにゲームにはまった。

好きなラジオ番組に投稿
この私の熱い「夏休みのどうにもならなささ」を存分に書いて送る。いわば愚痴を放送局にぶつけているだけなのだが、こちらも読まれない手紙を書いているようで楽しかった。もちろん採用されるわけがないのだが、たまにお便りを書くと楽しいことを再確認した。

お菓子を作る。
前回の記事にも書いたが、手足口病で思うままに食べ物が食べられない息子のためにクッキーシューとロールケーキを作った。クッキーシューはうまく行ったが、ロールケーキは生地を焼きすぎてボソボソになるという…。それでも息子は久しぶりのロールケーキに喜んで吐くほど食べていた。時間はかかるけど子供が喜ぶのでやりがいはあった。

書き足してみると色々あった。そして子供の病気が落ち着いた一日だけ、「夢の島熱帯植物園」に遊びに行く。私の趣味の庭園めぐりに子供を連れて行ったのだが、ちょうど食虫植物の企画展もやっていたので子供も喰らい付いて見ていた。
温室のスケールの大きな熱帯植物を観ていると、まるで外国に行ったかのような気分になり、それだけでも私の「自然の多い遠くへ行きたい欲」は満たされた。

植物園は場所的にも「平成時代からの思想で作られた未来のための建造物の痕跡」があちこちにあって、現代を生きる自分から見るとそのトンチンカンなところに冷笑すら浮かぶ。けれど、そこも現代の日常慣れしている自分にとってはなんだか懐かしくて愛おしく、もはや遠い国の異世界感すら感じた。とにかく全てが無駄に大きくて広い。(そこが良いんだけど。)子供にとっては「なにこのわかりづらいもの?」としか見えてなさそうだったけれど。
とにかく園の知らない植物たちからたくさんの好奇心と元気をもらって、猛暑の真っ青な空の下で人気のない道を子供とたくさん歩き、その日は一日冒険したようだった。離島旅行に行くほどではないけれど、充実感は十分に得られたのだ。
「なんだ、遠くに行かなくたって自分にとって充実した休みを過ごせたじゃん。」が今回の旅行キャンセルでの答えだった。


滝もあるし、まるでアマゾンに来たかのよう。

ちなみに子供はインドアな子なので、ゲームと動画が見られたらそれで良いらしく、先月も箱根に行けたし、そこまでの旅行欲は今回はなかったので全然気にしていなかった。後日、義母から「今年会えなくて残念だったね。」と電話が来たが、「ううん、全然へいきー!」と返していてホッとした。その反面、それほど親戚に会いたいわけでも、そこで遊びたいわけでもない息子の明らかにさっぱりした性格が義母にも伝わっているようで切なくもなった。義母的には「会いたかったよー!」って言って欲しかったに違いない。

また近々、旅行に行けるように早くから予定を立てたいな、と思う今日この頃。でも今回のようになることもあるから、他の楽しみストックをたくさん用意しておいて、旅行がキャンセルになった時にそれをしまくれば良いのかもしれないと思った。


知らない植物を見るだけで好奇心と癒しが一気に満たされるほう。

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