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広報、美大に帰る ―デザイナーから越境したベンチャー広報が振り返る2020年

この記事は【#PRLT(Lightning Text) Advent Calendar 2020】の第23日目(12月23日分)にエントリーしています。

こんにちは、株式会社よりそうで広報をしているタカダ アヤカ(@ayaka_takada_PR)です。
突然ですが、12月上旬に母校の武蔵野美術大学で講義をする機会を頂いたので、そこでのエピソードをもとに今年一年と自身のキャリアそのものを振り返らせていただきます。
広報PRで参考になるTIPSは一切書いていませんが、デザイナー→広報にキャリアチェンジした珍しい人間の志向性は垣間見えると思います!

▼過去の振り返りは、原点回帰のいい機会

私が卒業したのは武蔵野美術大学の中でも、デザイン要素の一つひとつを"情報"ととらえることで社会とより良くつながるデザインを実現するデザイナーを養成する《造形学部 デザイン情報学科》という学科でした。
デザイナー志望の学生が圧倒的に多く、卒業後もものづくりの道を進む学生がほとんどなのですが、私が「ノンデザイナー」としてそれなりに社会で生きているのを目にした恩師から「デザイナー以外の進路を後輩に伝えてほしい」とありがたいお話をいただいたのが8月ごろ。

ただでさえスライド作りに時間をかける私ですが、「自分がなぜ美大を出てから広報になったのか?」「美大で学んだことは社会で活かせているのか?」を言語化するのはとても難しい作業でした。だって何となく生きてるからわかんねえもん(突然の投げやり)
でも結構思考を深めていくと、ヒントは「何かを伝えるとき、要素の一つひとつを"情報"ととらえることで社会とより良くつながる」にあることに気づき、とても腹落ちした記憶があります。
デザインにおいての要素は色や素材や文字情報で、広報・PRにおいての要素は定量データや定性的な声、そして社会のモメンタム。私にとってはどちらも「さあ、どう組み上げて人に知ってもらおうか?」ってスタンスで取り組むものだから、デザイナー→広報という転身ができたのだと気づきました。
※実際にお話ししてきたスライドは最後においておくので、ご興味ある方はご覧ください。

▼手ごたえと悪あがきの2020年

ここで、私の今年一年を振り返ってみます。
私にとって2020年は《初めて本当のひとり広報になり、いろんなことを正面から問われる一年》でした。
誰もKPIを設定してくれない、誰も戦略のアウトラインを引かない。本当のひとりって、いろいろなものがのしかかってくるんですね。
そんな中で襲ってきた新型コロナ。お客様のお困りの声と提携葬儀社の困惑を受け、何とかしなければ!という一心で出した「後葬」に関するPR活動がお蔭さまで社会に必要な情報と認識してもらえたことに、今までにない手ごたえを感じました。戦略としてはとても短期かつ簡単なものしか立てられませんでしたが、それでも記者の方からお褒めの言葉をもらったり、葬儀業界に対するねぎらいの言葉をかけてもらったり、とても感慨深かったのを覚えています。
一方で、コロナ禍でメディアリレーションにおいて今までのやり方が全く通用しなくなってしまったことも、広報の皆さまが肌で感じたことだと思います。私もその一人です。対面コミュニケーションの道が絶たれてしまったことで今までのやり方が通用しなくなり、同時に社内で同じ目線で相談できる相手もおらず、一時期はものすごく焦っていました。
また、11月のサービスリニューアルをフックに1か月で計4本リリースを書いたのですが、事業サイドや経営層とのすり合わせの中でリリースに関するスタンスを問われる出来事もあり、「広報・PRって本質的にどうあるべきなんだっけ?」を自身に問いかける機会がものすごく多い一年でした。

▼発信スキルを上げるしかねえ

もう自分から会いに行くことがなかなか叶わない情勢下、自ら飛び込んでメディアリレーションを構築するスタイルは物理的に封じられてしまいました。ベンチャー広報としては牙を抜かれた気持ちなのですが、だからこそ「自ら声を上げる」ことの重要性が飛躍的に上がったように思います。
しかも、ただ声を上げるだけではなくて、質が高くて社会との連動性が高いものを世に放つことで共感や共鳴を呼ぶ必要があるな、と。
一つはとにかくPR文脈をきちんと練ってリリースの質を高めていくこと、一つは社会の動きにより深い関心を持って発信の文脈に取り入れていくこと、そして何よりリリース以外にも発信の武器を持つことだな、と思っています。言ってしまえば、広報としての基本スキルを磨きながらも従来の手段にとらわれないアウトプットを柔軟にできるかどうかが今後ますます問われていく気がします。

個人的に今年の取り組みで一番よかったのはwithnewsさんとの共催イベントでした。とはいいつつ実はこれを書いているのはイベント前日(12/22)で、結果がどう出るかとてもドキドキしていますが……w
何が良かったかというと、会社としてオープンに発信する場所を自分の手で作れたことです。弊社はTwitterを運用していませんし、Facebookも限定的な運用です。それはなぜかと言えば炎上リスクを重く見てのことなのですが(過去色々あったのでね……)、結果的に自社のキャラクター=企業理念や事業への想いを自発的に公で発信する場がほぼ全くない状態でした。
でも、オンラインイベントを開けば情報発信によって社会=視聴者とより濃厚につながることができるし、実施すること自体が「社会とつながってみんなの役に立ちたいよ」というスタンス証明になります。そしてその中でお役立ち情報などとともに事業への想いなどをコツコツと伝えていくことが、結果的には深い共感を広げていく近道なのかもしれないと思っています。
なので今回はこうしたチャンスを頂けて、自分の視野がまた一つ広がった気持ちになりました。別にリリースとSNSだけがwithコロナにおける発信のすべてではないのだな、と。まだまだ入り口に立ったばかりですが、まずはスタートラインに立てたことに「よかった」と思いたい。

▼2021年もひたすら「分解と統合」を繰り返したい

2020年、私に限らず「自分は広報・PRとして何をすべき?」を自らに問いかけながら新しい取り組みにチャレンジした広報さんがたくさんいらっしゃると思います。皆さん……マジでお疲れ様でした……!!いい酒飲もうぜ。

そんな激動の一年を経て、私は来年の目標を《原点に立ち戻る》にしたいと思っています。「目的に照らして目の前の情報を分解・統合して、新しい価値を作り出す」という基本スタンスをちゃんと磨いて、いい仕事ができる広報・PRパーソンに一歩でも近づきたいです。
大学の講義をきっかけに自分の歩んできた道は間違ってないんだなあと思えたので、そういう意味でも《原点に立ち戻る》ことは自分にとってプラスになりますね。
たくさんチャレンジして、時に遠回りもするけれど、こうして年の瀬に振り返ると「あれ、自分意外と頑張ったじゃん」とか「お、ちゃんと成長したかも」と思えるからアドベントカレンダーはやめられない。毎年参加させてもらえてありがたいです。
2021年は、原点に立ち戻る機会を意識的にもっと持てるようにしたい次第。

皆さんは2021年、どんな一年にしたいですか?社会にとっても世の広報・PRパーソン全員にとっても素敵な一年になることを願ってやみません。

▼講義で使用したスライド


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