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拝む

帰省している間、毎日ほぼ欠かさなかったのは、お地蔵さまへのお参り。

お地蔵さまとの出会いは、記憶にない頃。それは父が小学校に入るか否かと言う頃から祖父母と父が通う場所だから。

そんな実家と縁の濃い場所に、物心ついた頃には毎月、おぼつかない足取りで両親や祖父母の後ろについてお参りしていた。

宗務所で頂いたお線香の束を母から受け取り、火が立ち上がるのにビビりながら、両親が焚べたお線香の上に自分の分をちょんっと乗せる。そして手水で清めてからお地蔵さんの元へ行き、お賽銭を入れて鈴を鳴らし、手を合わせながら、これまたおぼつかない滑舌で真言を述べてご挨拶。そして帰り道に、宗務所の隣で作られている小さなお饅頭と、自販機のジュースを買ってもらい、ご満悦な顔を浮かべながら、とてとてと、車に戻っていく。

それが、小学校に上がる前からの慣習だった。

受験の時期や大学進学を機に実家を出てからは、毎月訪ねることは出来なくなったけれど、帰省する日がお地蔵さまへ行く日と重なれば、ずっと行っている。

しかし今回は違う。

毎日拝んだ。

その理由というのも、

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かみつれ

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