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絵本の読み聞かせで判明した0歳児から5歳児まで進化の過程レビュー

私が第一作目の絵本を出版されてもらった出版社「ラフコネクト」で
いまあるイベントを行なっています。

それが
ラフコネクトからでている絵本を全タイトル購入してくれた子供施設へ絵本作家が直接遊びにいく
というわっくわくキャンペーン。

今回、私は自作の絵本「くだものベッド」をひっさげて、出版社の社長とともに
かながわ保育園に赴いたのです。

絵本の出版社ラフコネクトから発売中です!


そこは0歳児から5歳児までがいる大きな保育園で
年齢ごとに別れた各クラスを順番に回って読み聞かせをさせてもらいました。

私は
「2歳と3歳の違いがわからない」ような子供に関して無知の絵本作家だったんですが
年齢ごとにクラスわけしてくれていたおかげで子供の成長の過程を一気に目の当たりにすることができました。
いやもうね、成長っていうより進化っていうほうが適切かもしれない。

今回はその衝撃を写真を交えてじっくりお伝えしていきたいと思います。

0歳児から5歳児までの移り変わりとか反応とか

0歳児さんクラス

おとなしくしている0歳の方々

0歳はご存知まだふわふわの赤ちゃんです。

まだ午前中だったからか口開けてぼーっとしてる子が多くて
先生の膝の上に抱っこされながら
ひたすらじいっと絵本を見つめていました。

まるで目の前の人間(私)を「先生とも親とも違う、おまえはなんだ?」と認識し、
私が開く絵本を「これはなんだ?」とひとつひとつ丁寧に頭のなかに入れていっているような。
認識に全振りしている様子でした。


特等席で聞いてくれています



1歳児さんクラス

椅子に座ったり座らなかったりしながら

0歳も1歳も変わらんだろ、と思ってたんですが
全然違いました。

まず、自分の力で座って、先生に促されなくても絵本を認識して聞き入ってくれます。
そして絵本のなかに時々知っているくだものなどがでてくると
「あっ!」という感じで指をさして反応してくれました。

そしてさらに高度な主張するようになります。
「どの絵本読んでほしい?」と尋ねるとそれぞれ自分の興味のあるものを選んでくれるんです。
0歳児さんだとこうはいきません。
なんとなく指をさしているのと、自分の意志で選んで指をさしてくれるのでは大きな違いがあります。

オークション会場さながらの吟味


2歳児さんクラス

俗に「魔の2歳児」といわれるクラスにきました。

彼らはとても友好的に迎え入れてくれて
私の膝の上にも、まるで前からあったソファのように腰掛けました。
1歳児よりもひとまわり大きくなり、歩みもしっかりしています。

そして読み聞かせ。
知っているくだものに反応しつつ、じっとしていたのですが
それも3分と持ちませんでした。

落ち着いてらっしゃる皆さん

プリンがでてくる絵本を読み始めた瞬間、
誰かが「プリンすき!食べたい!」みたいな流れを作ったのがきっかけでした。
ゾンビのごとく絵本にむらがり、食べ物がでてくるページにかじりつくという悪ノリがはじまりました。

食べ物のページがでてくると群がる
満足すると去る


これは大変です。
大人の思惑通りなんていかない、いかせてたまるかという暴れん坊ぶりでした。

激しい。これはたしかに世の中のお父さんお母さんが手を焼くのもわかる。

でも、すごいなと思ったのは
「周りに合わせて空気を読む」という行動をとれるようになっているんです。

たぶん、「いまってなにしてんの?」と理解してない子もいたと思います。
だけどみんなが走って絵本の前に集まっているからとりあえず走る。そして周りと同じように笑う。

空気を読むってつまり「流れに乗っておいたほうがいいな」というのを一旦考えてるってことですよね。この思考プロセスが追加されたことに、一年間での進化を感じました。

3歳児、4歳児さんクラス

この年齢になると、クラスに入った瞬間
「だれ〜?」と尋ねえてきました。
「絵本作家だよ〜」と答えると、さらに名前を聞かれました。

3歳児さんたちはまず知っている人と他人というのを区別して、認識して、それから受け入れ態勢に入ったのでしょう。
そして安心したのか、またしても私の膝の上に座ってきました。今度は3人でした。

4歳児さんにもなると、自分のことも話してくれるようになります。
「わたしね、いま4さいなの。4さいがおわったら、5さいになるの」
「そうかぁ、5歳になるんだね」
「でね、5歳がおわったら10歳になるの。すっごく大きくなって、もうおとなになるの」

そういう会話も楽しめるように。
すごい進化です。単語ではなく、文章で会話ができるんですから。

そして読み聞かせもおとなしく聞いてくれました。
「絵本だいすき〜!」
「もっと読んで〜!」という主張をするようにもなりました。

暴れたり、読み聞かせの最中に立ち上がることはなくなりました。

正座して真剣に聞いてくれてる

5歳児さんクラス

来年には小学生になる5歳児さんたち。
私がクラスに入るとやはり「誰?」と興味津々で尋ねてきました。

「絵本作家だよ〜」
「お名前は?」
「稲葉野々です」

きちんと自己紹介をすると、私のことをのの先生と呼んでくれ、
「先生かわいい」といいながらぎゅっと抱きついてくれました。
(かわいいのは君たちだよ……)

真剣に話を聞いてくださる皆様

絵本の読み聞かせ中は、私の絵をみて「絵が上手!」とか「かわいい!」とか、歌舞伎の舞台でも観てるような感じで声をかけてくれていました。
なんていうか恥ずかしいけど、ふつうに嬉しかったです(笑

5歳児さんたちと接してまず思ったのはコミュニケーション能力が高くなったなということ。

初対面の人に質問をして、積極的に相手のことを知り、そして褒める。
褒めるというのは、あなたと仲良くしたい、好意がありますという表現だと思います。

4歳の皆さんはまだ「自分の情報を伝える」ことしかできなかったのに
5歳になると「相手とコミュニケーションをとりたい」という意志が伝わってきました。

読み聞かせと紙芝居のあとには、
大きな模造紙を敷いてみんなでお絵描きタイム。

真ん中の私の描いた絵に落書きをする子も


赤い帽子が師匠。そして右が私


ペンを奪いあったり
貸してって言えない子がいたり
他の子の絵を上手!と褒める子がいたり
もうある程度、個性が完成されている感じがしました。

完成した絵を鑑賞

「帰らないで〜!」「先生だいすき!」
などと嬉しいことを言ってもらいながらもなかなか帰してもらえなかったんだけど
1人の子が
「これからみんな給食食べにいくから、その隙にこっそり帰るといいよ」
と小声で指示してくれたりして
ほんとそれぞれ考えることもやることも違うんだなぁというのを実感しました。
面白すぎました。

全クラスを見て

0歳児から5歳児まで駆け足で交流してみると
改めて子供の成長率に驚きました。

ほにゃほにゃの赤ちゃんが一年後にはきちんと椅子に座っていて
気付いたら駆け回り、会話をするようになり、
相手に好意を伝えたり、褒めたり、コミュニケーションをとるようになる。

人間の進化をぎゅっとコンパクトに覗き見た感覚です。
ドラマチックすぎますよね。
今の私たちが当たり前にできていることも、まだ初心者の時代があったんだなぁということを改めて思いだしました。

大人になるにつれ、成長の幅ってどんどん狭くなっていきます。
25歳から30歳までの期間をみても、30歳から40歳までをみても、進化どころかなんの変化もないかもしれない。

でも子供たちは日々濃密になにかを学んで、経験して、考えて、個性をつくっています。
まだなにも描かれていない模造紙みたいに真っ白で、可能性にあふれています。

彼らにとって私との出会いは、これから訪れるたくさんの刺激のうちの小さなちいさなひとつでしかないし、いつか忘れられてしまうかもしれないけれど
それでも「くだものベッド」という私の絵本がこの貴重な時期に、少しでも心に留まってくれたなら嬉しいです。
絵本はそういう大事な瞬間に寄り添うことができるんだという気持ちを忘れずに、これからも創作していきたいな。


子供たちに楽しい時間を提供したい、と思い意気込んでいたのですが
まさかの私のほうが成長させていただきました。いい経験を、ありがとう。


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