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当たる占い師の怖い話

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綾地研究室、室長の綾地です。この研究室では、前世療法、魔術、ダウジングetc...古今東西の“アヤシイ術”“ヒジョーシキな技”の効果を比較検討したり、術をアレコレ実践し、その有効性を検証しています。「霊感も透視能力も何にもない、私のようなド凡人にも使える『本当に効果のある技』をデータベース化する」というのを究極の目標としています。
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今回は、「当たる占い師の怖い話」をお伝えします。

(YouTubeでご覧になりたい方はこちらからどうぞ)

私は子供の頃からおまじないだの、コックリさんだの、世界の七不思議だのをこよなく愛してきました。なので当然の如く、占いにもハマった時期がありました。

が、今はまったくやらなくなりました。自分でも占断しなくなったし、プロの占い師さんに見てもらうこともしなくなりました。

ある「死ぬほど当たる占い師」さんと出会って、当たる占いの怖さ、当たる占いの弊害を身をもって経験したからです。

今回はそのお話です。

*     *     *

あれは私がまだ、社会人になりたてくらいの頃のことです。

当時、私には、学生の頃から何年かお付き合いしていた彼がいて、その人と婚約していました。両家の挨拶もすませて、結婚式の8ヶ月くらい前に、縁あって、とある「非常によく当たる」と評判の占い師に見てもらうことになりました。

その人は四柱推命が専門の、中年の男性占い師でした。四柱推命ですから、占うターゲットの生年月日と生まれた時間?だけで占うわけです。

結婚前ということもあり、私は、自分と当時の婚約者の相性を見てもらうことにしました。

占い師さんは、私と彼の生年月日から、四柱推命の占断に必要な情報を用紙に書き込んでいたんですが、作業を進めるうちに、そのおじさん占い師の顔はどんどん険しくなっていきました。

おじさんは言いました。

「…この男の人、やめた方がいいよ。結婚しない方がいい。この男、そのうち病気で頭おかしくなるよ」

と。

私は当時20代の前半で、まだまだ世間知らずのほんの小娘でした。ものすごくよく当たると評判の占い師にこんなことを言われて、どれだけ動揺したか、ちょっと想像をしていただけたらと思います。 

とはいえ、すごく動揺はしたものの、占い師の不吉な予言くらいで婚約を返上するほど私は自我の弱い人間ではなかったので、「ああ、なんか嫌な話聞かされちゃったなあ」と思いながらも、一抹の不安を感じながらも、その占い師の話は誰にもせずに、結婚式の準備や日々の仕事などに追われ、それまで通りの日々を続けました。

ところが、結婚式の半年前くらいだったでしょうか。ある日突然、婚約者がおかしな行動を取るようになりました。

酔ってもいないのに、夜中に急に壁に向かって大声で、調子っぱずれな歌をがなりたてたり、「分かった、分かったぞ!温度って丸いんだ!」などと、意味のわからないことをぶつぶつと口走ったり。それまで一度も暴力を振るわれたことなどなかったのに、何の前触れもなく突然私に殴りかかってきたりもしました。

明らかにおかしかったので、すぐに精神科に連れて行こうとしたのですが、彼は病院を嫌がり、なかなか言うことを聞いてくれませんでした。

細かい説明は省きますが、当時私はまだ彼の婚約者に過ぎなかった。法的には身内ではなかったこと。また、彼の両親が海外で暮らしていたこともあり、彼本人の意思を無視して無理やり病院に連れていくのはとても難しい状況でした。

近親者のさまざまな手助けを得て、ものすごく苦労した末に、なんとか彼を連れて精神科を受診することができました。

診てくださったお医者さんはとてもよい方で、静かに、丁寧に、私の話を聞いてくれました。(その間彼は「なぜ自分がここにいるのか分からない」という表情で、小さな子供のような様子で座っているだけでした)。

診察の結果、彼はかなり深刻な精神の病で、回復の見込みは薄いことを、お医者さんは話してくれました。本来なら、法的な身内ではない私には病名の開示はできない決まりのようでしたが、直截な表現は避けつつ、巧みな表現で、必要な情報を過不足なく与えてくださるお医者さまでした。私が置かれている状況を知って、本来の医者の領分を超えた「個人的な助言」までしてくださいました。

こういう状態の人と家族になるということがどれほど苦難の多い道になるか、淡々と静かに話してくださいました。そして最後にポツリとこうおっしゃったんです。

「貴女が私の娘だったら、結婚は思いとどまるよう、全力で説き伏せますね。あちこちに頭を下げ続けるような人生を、娘に送らせたくはないですから。あなたは若いのだから、他にいくらでも幸せをつかめます」と。

診察室を出た後も、しばらく現実感がありませんでした。

人生の伴侶と思い定めた相手を思いきるというのは、まったく簡単なことではなかったです。現実をなかなか受け入れられなかったので、セカンドオピニオン、サードオピニオンをとるために東京じゅうのいろんな精神科を渡り歩いたり、彼の病気に効くと言われている治療法を試したりしました。

当時私は社会人一年目でしたが、もう仕事どころじゃなかったですね。毎日よく生きていたなと今でも思います。ところが、そうやって綱渡りの毎日を送っているうちに、病気になる前にはまったく気づかなかったんですが、彼が色々と社会的に問題のある行動をひそかに行っていたということも徐々に明らかになっていったんです。病気のために、それまではうまくつけていたウソがつけなくなって、取り繕えなくなったんでしょうね。

その後数ヶ月に渡り、病気の彼になんども怖い目に遭わされました。命の危険を感じる局面もありました。自分の命や社会的な信用はもちろん、私の親族にも被害が及びかねないほど状況が悪化してからようやく、私は婚約を破談にする決意を固めることができました。


占い師の話に戻ります。

例のおじさん占い師は「見事に当てた」ということになります。事実、間違いなく腕は良かったんだろうと思います。嘘かホントか知りませんが、財界の大物のお客さんも大勢いたという評判も、あながち嘘ではなかったんだろうな、と今でも思います。

・・・が。思ったんですよね。「果たしてこのおじさん占い師の占いって、役に立ったのだろうか?」と。

もちろん、「その男は頭おかしいからやめなさい」と言われて「エライ占い師の先生のアドバイスなんだから、素直に従おう」と思ってそうしていたら、あんなに色々怖い目に遭わされることもなく、私の精神的なダメージは最小限で済んだかもしれません。

でも、それで果たして、私は幸せになれただろうか?

アドバイスに従って、悪いことが起こる前に速やかに婚約を破棄できていたとして、その後自分は果たして気が済んだだろうか?納得して生きていくことができただろうか?ということなんです。

ここでちょっと、想像をしてみてください。

あなたが就活生だとします。あなたは、大変な苦労の末、第一志望のA株式会社から内定をもらうことができました!めっちゃ嬉しい!狂喜乱舞!!

そんな時、百発百中で当てると評判の占い師に見てもらって、「ああ、その会社、2年後には潰れますよ。第二志望のB社にした方がいいですよ!」と言われたとしましょう。

さあ、あなたならどうしますか?A社の内定を辞退して、B社に入社しますか?

それで気が済みますか??納得できますか??

あるいは、別の例を考えてみましょう。

あなたは妊婦さんだとしましょう。もしあなたが男性だったら、愛する奥さんが間も無く予定日を向かえるとしましょう。まもなく出産予定日を迎えるそんなある日、あなたは、百発百中で当たると評判の占い師に見てもらいました。で、その占い師が、「そのお腹の子供、のちのち犯罪者になって、大勢の罪のない人を殺してしまいます。絶対に産まない方がいいです」と言ったとします。

さあ、あなたならどうしますか?その子を下ろしますか?

くどいようですが、あなたはその占い師が、非常によく当てる占い師であることをよく知っている前提です。

…ね。当たる占いって、なかなか恐ろしいと思いませんか?

占いを生業にされてる方達の名誉のためにいいますと、普通のマトモな占い師は、こんな酷い言い方は絶対にしないでしょう。私はこの話のおじさん占い師以外にも、これまでたくさんの占い師さんに見てもらってきましたが、他の占い師さんはこんなこと一切おっしゃらなかったです。

たとえ厳しい、険しい未来を見ていたとしても、それをそのままお客に投げつけるようなリテラシーの低い占い師は、最近はまずいないと思います。占い業界も競争が非常に激しくなってますからね。むしろ、お客さんがどうしたら、苦しいところから少しでも希望のある方へ目を向けられるか、親身になってあれこれ考えてくれる人がほとんどだと思います。

・・・なのですが。

いろんな占い師の方に見て頂きましたが、その結果得られた私の感想は、「例のおじさん以外の占いって、みんな全然当たらなかったな」というものでした。かなり評判の良い占い師さんのところにしか行ってないんですけど、とにかく打率が低かった。

当たる占いは迷いや苦悩を増やすだけ。そして、その反対の、一見ポジティブな、未来を切り開く助けになってくれそうに見える占いは、全然当たらなかったんです。あくまで私の場合は、ですけどね。

もう少し正確に言うと、全く何もかも全部当たってないということではなくて、生まれ持った性格や弱み強み、いろんなことの向き不向きなどについては、みなさんよく当ててくれました。さすが、腕がいいと評判の占い師の方々でした。でも、「この先私の身に何が起きるか、その時にどんな選択肢があって、何を選ぶとどうなるのか」という未来の話は、気持ちいいくらいみんな外れるんですよね。良い方に外れる場合もあれば悪い方に外れることもありましたが、とにかく未来のことは誰に聞いても当たらない。全然、ピンと来なかった。

なんでなのかは、最近までよく分かりませんでした。持ち前の自分のヒネクレモノ根性がアタマをもたげ、占いの成就を邪魔する方向に働くからなのかなあ、なんて思っていました。

まあそんなこんなで、結局、私は占い師に見てもらうことをいつのまにかしなくなってしまいました。

後日、自分がヒプノセラピーをやるようになって、迷った時にどうすべきかと言うヒントや知恵をヒプノで得られるようになって、占いが自分に合わなかった理由がようやく分かるようになりました。

「そっか、自分の内側から自分で引き出した答え以外、外からいくら答えやヒントを与えられたところで、聞く耳持たないタイプだからだな、自分は」ということが、すごく腑に落ちたんです(笑)。

これはあくまで、私の個人的な体験談にすぎません。n=1の話なので、万人に当てはまると言うつもりは毛頭ないです。

占いを役立てられるタイプの人もきっと大勢いらっしゃると思うんですが、たまたま私は占いという技法と相性が良くなかった、と言うだけだと思います。

ただ、これは余談ですが、若いうちは特に、占いはあまりしない方がいいと私は思います。占いは、ちゃんとした人に見て貰えば、未来のことは分からなくても、自分の性質とか適性判断にはすごく使えるものなんですね。だからこそ、自分の人生の経験値がある程度の水準を超えるまでは、手を出さない方が無難です。若いうちは、自分自身に対して、できるだけ先入観を持たない方が、将来の可能性が広がると思うからです。

ちなみに今でも、雑誌の占いとか、「この方はすごく勉強なさってるなー」と感じる占い師さんのメルマガやSNSなどは読んでます。占いはさすがに数千年の歴史と伝統がある分野なだけあって、たとえ未来が当たらなくても、起きた出来事や、世界の解釈の仕方に関しては、豊かなインスピレーションを提供してくれるので、結構好きで色々読んでいます。

今回はここまで。

「当たる占い師の怖い話」でした。ありがとうございました。


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