ツイステとDオタと(前編)

やはりか、と思った。先日、ディズニーハロウィンでの仮装可否について書いたスマホゲーム、ディズニーツイステッドワンダーランド、通称ツイステの絡みで炎上が発生した。その話は、連休中に乱入したフォロワーのツイキャス…生放送配信アプリ…で喋っている時に聞いた。どうやら、ヴィランズの動画に反応したツイステのユーザーが書いたコメントが問題だったと云う。
アプリのリリースから2ヶ月も経っていないが、初速があまりによかった反面、早速ファンによる問題が起きた形だ。

以前触れたように、ツイステはソニーグループのアニプレックス…SMEJ完全子会社…が企画と配信を手掛け、開発と運用はセガサミーグループのf4samuraiが担当する。両社とディズニーの間に資本関係は無い。
また、作品も「ディズニーが協力した」と謳っているが、ディズニーのキャラクターは出演せず…ヴィランズも銅像での登場のみ…、事実上オリジナルキャラクターによるオリジナルの話だと思って差し支えない。キャラクターデザインとキャストで売っているものにディズニーのバッジネームを付けた、は暴論だが事実だ。
ディズニーの協力とは、公表されていないものの恐らくは版権を含む法務面に留まる。少なくとも、キングダムハーツのように他社…この時はスクウェアエニックス…との共同開発ではないのだ。

さて、そのツイステの台頭と爆発的に増えるファンを警戒する連中がいる。ディズニーオタク、略してDオタだ。「パーク」と呼ぶTDR…東京ディズニーリゾートの年間パスを持ち、足繁く通い、当然ディズニー作品が何より大好き。
そう云うファンの存在は、大阪のUSJ…ユニバーサルスタジオジャパンでも同じだが、後者はユニバーサルピクチャーズ作品に限らず、日本のアニメにも手を出している。そのため、その部分ではディズニーと云う単一の制作会社の作品群に限定することを徹底している。そして、Dオタはその姿勢に賛同し、遵守している。
因みに自身は、両者共に行った経験は無い。1人で行って楽しむのは難しいと言われ、チケット代を見た時にコスパがよいのかと思うと、否と判断する。USJはAMEXのVIPツアーで一般入場より得するのだが、それでもTDRと同じ理由だ。

さて、ツイステのユーザーにとって、聖地はTDS…東京ディズニーシーだ。そして、過去TDSではこのヴィランズの「手下」が出てくる。「本家」ディズニー作品に登場するヴィランズを此処ではマスターと呼ぶ。手下は手下とする。英語に合わせようとすると、手下はミニオンズ… USJのミニオンもそれが由来…、部下はサボーディネイト、家来はサーヴァントとなり、ミニオンズは混乱を避けるために除外するが、他は他で呼びにくい。
この手下として登場するキャスト目的の、それまでTDRに触れたことが無い連中が、一気に押し寄せたのだ。それも、手下と云う役としてのパフォーマンスを観たいのではなく、キャストそのものが目的だった。

2.5次元。ここ数年で広まった言葉だが、アニメやゲームの作品を舞台化したものを指す。2次元のキャラのコスプレをした俳優が繰り広げる舞台は、新たなパフォーミング・アーツのカテゴリーとしての市民権を得るようになる。それでも見られる、作品より俳優目当ての観客と同じだ。
それ自体は何の問題も無い。贔屓の俳優が出る作品で、かつ生で観ることができるなら、誰でも行きたいとは思うものだ。
問題となったのは、それが度重なるルール違反を起こしたことだ。

ディズニーは、その「夢と魔法の国」と云うコンセプトからして、他のテーマパークとは雰囲気が異なる。そして、ディズニーのテーマパーク事業部門の下、京成電鉄グループのオリエンタルランド…略称OLC…による徹底したコンセプトの管理によって成立される、ディズニーの世界に没入できる環境。それはまさに、Dオタにとってのユートピアであり、聖域でもある。
当然、TDR内のルールは厳しく遵守し、違反と判断すると五月蠅い。これだけ書くと土着文化が強く、クローズな雰囲気を受けることになるだろう。ただ、Dオタは単にTDRで何事もなく1日を満喫することができ、それが将来的に続けばよい。
そのDオタの一部が、俳優目当てで長年受け継がれてきたルールを初っ端から次々に破る、言わば「侵略者」に対して過激派となった。また。この騒動が「地雷」となった者もいる。

基本どのテーマパークでも、安全上走るのは禁止だ。ただ、ショーを行う場所に誰よりも早く辿り着き、一番前で他人の頭に邪魔されずキャストを見たい。そう云う連中による開園ダッシュの場所取りレースが勃発した。
また、ショーが行われる場所でひたすら数時間待つ連中が、数人どころの話ではなく酷い時は100人単位だったと云う。端から見てもドン引きだったのは想像に難くない。
そして、キャストが出てくると役名ではなく「中の人」の名前を公然と出すと云うのも続出した。

「中の人などいない」
と云う言葉は、ネットスラングなのかは知らないが、特に「夢と魔法の国」では徹底される。TDRでは、着ぐるみだろうと全て「キャラそのもの」がいるワケで、「中に入っている人」は存在しない、と云う前提が有る。
それはキャストによる手下のコスプレ…便宜上こう呼ぶ…も同じことで、そこには手下がいるだけ。演じるキャストの名前はタブーなのだ。
しかし、平気でキャストの名前を呼び、所謂ファンサを得ようとする光景は、異様以外の何者でもない。TDRのコンセプトと照らし合わせても、甚だ相応しくない。
「こんな侵略者にTDRをぶち壊されてたまるか」
と思うDオタが出てくるのは、至極当然の流れでもあったのだ。

これ以外にも、手下を巡る騒動は枚挙に暇が無いのだが、そろそろ今回の本題に入る。
この「手下騒動」の二の舞になるのでは、とDオタが警戒しているのが、冒頭のツイステ界隈の「部外者」だ。

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