緊急事態宣言下でイベントにサークル参戦した話(2)

イベントの開場は正午だが、サークル入場はその2時間前の10時から。自身が到着したのは20分前だったが、サークル入場の待機列は40人程度。相手を待って並ぶが、その直後にサークル出展者がまとめて現れる。ただ、それでも3桁には及ばないほどだった。また、バス停からサークルの入場口までの間に来場客用の待機列のスペースも有るが、誰もいなかった。別のところにいて、10時から列形成の流れなのか知らないが、今までより少ないのはこの時点で判りきっていた。
入場して準備開始。1スペースは長テーブルの半面のみ。そのため、1スペースで登録したサークルは他のサークルとテーブルをシェアすることになる。そのためにプラ板のパーティションが用意されていて、組み立てる。そこからディスプレイを始め、その間に商品のUV除菌とフェイスシールドの用意を始めた。
自身のスペースは、外側通路のカド位置。サークルは、空港の国際線の航空会社カウンターのように島状に配置されているが、そのカド。しかし、そのエンド側にサークルはいないため、外周からは比較的目に付きやすくなっていた。

今回は、コスプレはサークル出展者のみ、コスプレチケットを購入可能だったが、撮影スペースは用意されず、あくまでサークルでの宣伝目的のためだった。そもそも、コスプレは特に福岡では同人イベントの採算を左右することさえ有る上、過去の経緯が経緯だけに、数年前までコミックシティでは唯一、福岡だけが来場客のコスプレと撮影を認められてきた。前回は完全禁止だったが、それは撮影スペースだけでなく更衣室が混雑するためだった。今回はサークルのみとしたのは、それぐらいならばそこまで混まないだろう、と判断したのか。

最後に来場客のコスプレと撮影可能だったのは2020年2月半ば。いよいよ国内でも感染者数が増えてきた矢先の出来事。その時は、来場客をコスプレ目的と同人目的で分けた上で、コスプレ側のみ開場1時間半前をメドに入場を開始させていた。コスプレエリアとサークルエリアの間にはゲートが用意され、開場まではサークル出展者のコスプレチケット保有者のみ通すようスタッフが門番をしていた。因みに、開場前でも撮影はできた。これは、更衣室の入室まで1時間待ちも有るが、イベントは4時間しか無いため、コスプレのみサークルエリアに出さない条件で先行入場を可能にしたと見てよい。
その時、コスプレエリアから開場のアナウンスと共に同人側の来場客が入場するのを見たが、それ以来1年ぶりに開場の瞬間に立ち会った。

開場の時点でもサークルエリアには空席が目立つ。自身は早速、企業ブースで買い物をした。液晶タブレットなどを販売するブースが有り、そこでクリップスタジオと云うイラストソフト専用の左手用デバイスを購入することに決めていた。
イラストはしないが、デザインはできるだろうし、別のキーコンフィグアプリを使えば写真編集などでもマウスの代わりに近い働きができる、それがAmazonより安いイベント特価で、しかも大事なことだがキャッシュレス対応。ここで購入しなければ何時入手するのか、と。
この時、イベント団体の人が会計をしたが、その時の会話で今回のイベント、現時点での出席率が登録の3割ほどだと聞いた。後に、共に出展した相手に届いたイベントのレポートメールをスクショしたものを渡されたが、それによると登録は1122スペース。募集枠に対しての56パーセントだった。その3割だから、実際の出席数は400スペースに満たない。
感染リスクを理由とした参戦キャンセルは、自己都合扱いとなるため返金されない。そのため、登録したサークルが参戦を取り止めてもイベントとしての売上が減ることにはならないが、それでも空席が目立つのは、緊急事態宣言がイベントに冷や水どころか氷水を浴びせた形となった。

そして、来場客も少ないことが完全に判る。それは、サークルにいても会場を歩き回っても判った。全ての通路で反対側が十分見通せるほどだ。
大規模イベントの収容人数は最大5千人。サークルと企業を入れて千人いたとして、同時に収容可能な来場客は4千人。コミックシティは人数管理カードと云うストリップを入場時に配られる。恐らくはスタッフの手持ち分が無くなった時点で一旦制限を掛け、後ほど退場時に回収した分だけ新たに入場させる方式か。しかし、それによる制限は聞かなかったし、そもそも通路の反対が見渡せるほどなのであれば、その必要も無い。
また、来場客はチケットを渡され、サークルリストなどはネットで見る形だが、それとは別にパンフレットを販売していた。

サークル代は500万円、来場客は4千人だとしても400万円。サークルのコスプレはクローク付でも数十万円ぐらいで、パンフレットと合わせても100万円には満たないだろう。
そうなると、1千万円ほどの売上にしかならず、恐らくは会場代さえペイできていない。しかも、水道代や電気代などは別途であれば、数百万円単位の赤字を出している計算になる。下手すると1千万円ぐらいの赤字額かもしれない。
これはいくら何でも、イベントの今後に大きな影響を与えるだろうと思われる。

次回の福岡でのイベント日程が出ていない。野球の日程が最優先のドーム球場のため、野球の日程が決まらない限り他の予約が始まらないのだが、まだその予約が始まっていないのか、もしくは直近の実績を踏まえてこれに次ぐ規模のマリンメッセ福岡などへの変更を検討しているのか。ただ、このまま赤字を理由に福岡から撤退することになったとしても、不思議ではない。

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