2年ぶりのWCS参戦レポート
灼熱の名古屋決戦が、帰ってきた。世界コスプレサミット、略称WCS。日本最大のコスプレイベントだけでなく、中部地方の主要行事の1つにも組み入れられて久しい。
2年ぶり9年連続9回目の参戦。一見矛盾しているようで正しいのは、2020年がオンラインオンリーでリアルイベントが無かったため。それも盛り上がりに欠けていただけに、2年ぶりのリアルイベント参戦は、開かれる限り参戦すると決めていた。WCSに魅せられ、名古屋の夜景に魅せられ、名古屋そのものに魅せられ、心の故郷は名古屋だと豪語する自身にとっては、コミケを外してでも行くほどの重要イベント。大好きなモータースポーツで云えば、ル・マン24時間レースのようなものだ。
特に2012年の初参戦以降、気付けば事実上九州からの遠征組の代表になっているが、今年は行くのが正解なのか、行かないのが正解なのか、全ては結果論でしかなかった。
日に日に感染者は増える中、新しい発表は台風10号の影響による可否判断が当日の朝と云うことだけ。遠征組の中には既に夜行バスで向かっている人もいるだけに、オーガナイザーの遅い対応に批判も集まる中、台風は日本列島を離れ始め、無事開かれることになった。
初日、早朝の新幹線に乗って名古屋入り。名駅ホームのきしめん屋は休業中で、改札外コンコースのきしめん屋で朝飯を済ませ、名駅の東急ハンズに寄ってタクシーで新栄町のホテルへ向かい、イベント用のバックパックに荷物を入れ替えて挑むことにした。
今回のバックパックは、米国グレゴリーのトレッキング用。山ロケ向けに購入していたが、中に給水用のハイドロリザーバーを仕組むことができる。今年は給水所として知られる名古屋市上下水道局の水配布がウォーターサーバーと紙コップから缶ボトル詰めに変わったため、早い段階で切れると判断してのこと。
会場は栄、オアシス21が中心になる。まずはセントラルパーク地下街の受付で楽天チケットのデジタルチケットで入手したカメラ券を出す。今回は1日目と2日目で異なる色のタオルが渡され、それが来場客……レイヤーはコスプレ資格、そうでない者の撮影資格。その有無のチェックも兼ねた実働部隊が多かったのは、撮影場所の制限が多かったからか。
コンビニでミネラルウォーターを購入してすぐにハイドロリザーバーに移すと、11時半過ぎ、ついにスタート。今回は地下での撮影が禁止の上、所謂芸文前が使用禁止。芝の上と大通り側のタイルエリアだけになり、人は例年より少なめと云いながらも人口密度は例年並み。それでいてマスク必須のため、思ったより体温の上がりが激しく水分補給のペースがハイで、これが夜の惨劇につながる。
水だけでなく種なしの梅、補給食、はたまたスポーツドリンクや経口補水液も摂取したが、経口補水液は不味いのか美味いのか判らず、それなら美味い方……つまり危ない方に捉えることにした。
日中はややペースを落としながら、フォロワーを捜して回る。その後、好きなキャラのレイヤーを見つけたことがこの日のハイライト。夕方に撮影すると、その夜も頼んだのだが、その夜こそ自身が誰にも負けないと自負する時間帯。特に夜撮影では、周囲からすれば非常識なほどの軽装備……単焦点レンズのミラーレスにスマホサイズLED1灯だけ、それも使ったり使わなかったりだが、そこはF0.95と云うピーキーな仕様を使い熟せることと、感性と経験則の賜物。
やや強引ながら、昼間名古屋の空を覆った雲が消えると訪れた夜空。それと19時に始まったテレビ塔やオアシス21のライトアップを背景にできるのがWCSの醍醐味。背後の人が入るのは仕方ないが、トリミングすれば問題無いし何より場所の制限が有る中ではやりきった方。ただ、やはり夜空を黒一色ではなく、青と黒のグラデーションで彩れるのは自身の自慢。
しかしその直後に頭痛に見舞われる。原因はあれだけ対策しても陥り始めた塩分不足。しかし今年は事実上23時までの撮影時間が21時までで、しかも実働部隊による追い出しが掛かるため、21時前にホテルに戻った。
その帰りにカップメンとパンを購入して一気に塩分補給を目論むが、そのカップメンを半分残した段階で胃に違和感。テレビを消してベッドに横になるが、すぐトイレに飛び込み全て吐く。原因は、水分と補給食だけで済ませて胃に変な負担が掛かっていたところに、一気に固形物を入れたため胃が拒絶反応。そのタイミングで横になったままPCでデータの送信をしつつ、終わった段階で寝ることに。
初日、昼間のストラテジーミスがもたらしたこの惨事を踏まえて2日目に挑むべきなのだが、この日より暑くなり、場合によっては40度を突破すると云う予報に、ストラテジーの見直しを余儀なくされることになった。
2日目、ホテルのモーニングを平らげ、夜はシャワーを浴びる前に寝込んだため、シャワーを浴びて出発。この日は20時終了だが、会場到着も10時半のため、個人的には前日より全てが1時間前倒し。
この日も給水から始めるが、とにかく好きなキャラの撮影から始めることに。そしてとにかく補給食を使い果たす覚悟で、そしてスポーツドリンクを多く購入して、前日以上の塩分補給を念頭に入れる。そして10時の時点で、初日の最高気温34度に達した。
それでも昼過ぎには頭痛が起きるが、これは酸欠気味からくるものだろうと推測。昼過ぎからは今回は参戦しなかったフォロワーで自身が率いるコスプレサークルのメンバーが視察に来ていたため、地下で会って話すことに。2年ぶりだったり3年ぶりだったりするメンバーだが、全員元気そうで何より。
別のフォロワーを捜して撮影するなどで過ごすが、そうやって過ごすうちに迫ってくる夜。19時のライトアップが始まると、残りは1時間も無い。そこで昨日知り合ったレイヤーと再び会って夜撮影に持ち込んだ。短時間ながらそれが面白かったが、その直後当初夜撮影を頼まれていたレイヤーが別の撮影者による囲みに突入していて、流れからそれに混ざることに。
周囲が始めた突発の合わせ、そのガツガツした囲みに軽くドン引きしながら撮るが、そこでやりたいことは不可能になった形。それでも意地で打開策を見つけようと、1人得意なやり方に出る。それが、その突発合わせに巻き込まれたレイヤーのうち初対面の人をピックアップし、最後の1、2分で決めること。それも、非常識なほどの身軽な体制で。
結果、望む結果は得られた。正直、当初頼んできたレイヤーが応募した水盤……久屋大通公園の撮影会は落選だったが、その狙った最終回の19時でもまだ空に明るさは残っていて、やりたいことはできないと思っていた。それに、落選したからこそ新たなレイヤーとの出会いが多数有って、今後の遠征につながる結果を出せた。怪我の功名どころの話ではないわ。
そして、何より場所を問わない、使えそうな背景は全てロケーションのスタイルが光る結果に。今は、急に湧いたトレンドやスタイルを誰もが追いがちだが、それに乗らない性格。あくまでも自分のやり方でやりたいし、それが奏功した。
そう思えば、この2日間で同志感……自身は微塵も思っていないが……を出してきたカメラ連中は、自身のためのお膳立て役を果たしたし、自身はしっかり結果を残したと思っている。ただ、それはレイヤーの実力と自身の実力の賜物。
2年ぶりのWCSで掴んだ収穫は、色々有れど最高の結果と、今後の撮影や遠征に結び付けられるほどの色んなレイヤーとの出会い、そして何だかんだで自分は未だ最前線でいるべきだと云う実感。
夜は塩分を一気に補給しようとマクドナルドでToGoしてホテルで平らげる。普段、塩分が多く健康によくないと言われるものは、しかしこう云う速やかに補給する必要が有る時に好都合。
色々有ったが、最高の2日間だった。ただ最後に1日、翌日にこれもまた波乱含みのスタジオ撮影を残しているが、これはまた別の話。
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