ラグコス非公式ツアーは何が問題か

鉄道マニアで飛行機オタク、転じて地理マニア。旅行や遠征も1人だし、フレキシビリティを重視し、エージェントを通さず公式サイトから直接予約、直接購入。今度のGo Toキャンペーンはツアー商品の購入で最大の恩恵を受けられるため、自身にとっての恩恵は薄い。
さて、自身がツアー商品に手を出したのは13年前、当時、高速バスはツアーバスと云う、移動だけを旅行商品として扱う格安高速バスが台頭していた。それが今の新興系高速バス会社で、ウィラーエクスプレスが代表例だ。

さて、ツアーと言えば、とあるツイートを見たフォロワーが揃って
「これは無い」
と言っていた。自身も気になってツイートを見たが、確かに
「それは無いわ」
と思った。

個人でバスを1台貸し切り、フォロワーなども同乗させ集団でラグコスに行こうと言うのだ。グループにつき1人以上ツアー主催者のフォロワーがいることが条件らしく、バス代は割り勘。ツアーと銘打っているが、実態は単なる相乗りだ。当然、非公式だ。

ラグコスとは、名古屋で毎年8月に開かれる…2020年はオンラインイベントだが…世界コスプレサミット…WCSが開くコスプレイベントで、かつてはWCS本番の1週間前にオープニングイベントとして組まれ、前哨戦と云う位置付けだった。
今は、2018年に台風の影響で9月に延期したことを受け、9月で固定されている。オープニングイベントは、WCSin東京としてTDCこと東京ドームシティアトラクションズで2019年は開かれた。

名前は、大手旅行会社HISが手掛ける愛知県蒲郡市のレジャー施設、ラグーナテンボスが会場だから「ラグーナでコスプレ」の略だと思われる。余談だが、名称からしても察することができるが、長崎県佐世保市のハウステンボスも同じHIS系で、姉妹都市ならぬ姉妹施設だ。
土曜の朝から翌日早朝までの長時間、オールナイトイベントだが、夜撮影の時間が一晩中まるごと設定されるため、人気が有る。尤も、写真映えのスポットを数時間単位で独占するカメラ連中が問題になっているが。
ただ、そうでもしなければ「絵になる」写真が撮れないのは、カメラとしてまだまだ未熟とは思うのだが、話が脱線した。

ラグーナの最寄り駅はJRの三河大塚で、蒲郡と豊橋の中間だが歩くかタクシーとなる。そのため、一般的には蒲郡駅からバスを使うのが正しいらしい。しかし、豊橋はのぞみが停車しないため、名古屋から特別快速か、こだまないしひかりで豊橋まで行き、特別快速に乗り換えるのが早い。
その意味では、集合場所からドアtoドアで直行となる貸切バスとは、よく考えたものだ。しかし、周囲から非難囂々なのは、タイミングが最悪だからだ。

この記事を書いているのは、そのバスツアーの件が回ってきた翌日なのだが、その時点で出発地である東京は、連日2桁から3桁の陽性反応が検出されている。検査方法や基準がどうであれ、数字だけを見れば突出している。
東京だけ人口が桁違いではあるが、それはだから大して騒ぐほどではない、と云う理由にはならない。
ここまでぶり返し、再度発令も有り得るとなると、正直あの外出自粛は何だったのか、と思う。ただ耳障りよい言葉で経済を弱体化させ、企業を破綻させ、失業者を生んだだけでしかない。

そして、比較的落ち着いている地方は、東京からの来訪者による感染者増のぶり返しを何より懸念している。9月の話だからまだ2ヶ月近く有る、と云っても、その頃に落ち着いているかも拡大の一途を辿っているかも読めない以上、ハイリスクと言わざるを得ない。

万が一、ラグコスの来場客から陽性反応が検出されたとしよう。このツアーでやってきた来場客が真っ先に疑われることは間違い無い。そして、仮にラグコスが原因で感染者が出たとなると、消毒作業によるラグーナテンボスの休業と云うリスクも有る。

また、主催者であるWCSの実行委員会の責任も問われる。何しろ、この実行委員会には外務省、愛知県、名古屋市と云う官公庁が名を連ねているのだ。
名古屋市の中心部、栄のWCS本番も8月は時期尚早だとしてオンラインイベントに切り替えることを発表した。
それは実行委員会に一枚噛む官公庁としても、決行した結果の責任を問われることになる上、イベントの今後も加味するとここでリスクを冒すことはできないと云う判断だ。

ラグコスも、イベントを開く以上それなりのリスクを背負っているが、不用心な関東からのツアー客が原因でイベントの無期限休止や施設の一時休業となった場合、単なるとばっちりでしかない。
そして、今度は愛知から各地に飛び火する可能性も有る。そうなった時に、ラグコスがターニングポイントだったとされると、コスプレイベントそのもの、コスプレそのものの将来性にも直撃弾を受ける可能性が有る。そうなると、最早ラグコスやWCSどころの話ではない。
コスプレは宅コスでオンライン配信と自撮りのみ。となる可能性は有る。
「2019年まではよかった」
と過去を懐かしみつつ現状を嘆きながら。

貸切バスも車種などによるが、基本的な車両の換気能力は高いと、メーカーも発表しているし交通系専門のニュースサイトにも出ていた。ただ、釘を刺すワケではないが話の論点は違う。

ラグコス公式もこの流れは歓迎しないだろうが、一方ではこの批判に対して益々決行する気になっているとのツイートも見られる。その根拠についてはここでは割愛するが、これは結果論で片付けられる問題ではない。
何しろ、先述したがタイミングがあまりにも悪すぎる。あまりにも拙速な判断だったと言わざるを得ない。

自身も一度は行ってみたいが、昨今の事情と11月に愛知遠征の予定が有るため、2020年も見送った。2021年ぐらいは行ってみてもよいとは思うが、その時にはこう云う…レアなケースではあるが…問題が再燃しないことを願いたいものだ。

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