見出し画像

正しく恐れる

老子道徳経13章については、

寵愛は得れば必ず失う
https://note.com/ayaeda2021/n/n9298a2213546

という記事で老子を習い始めたばかりの頃に「寵辱驚くが如し」に受けた衝撃の思い出を既に書いたけれども、実は今回改めて教えていただいて、「寵辱驚くが如し」と並んで「大患を尊ぶこと身の如し」についても覚えておくと人生間違いが無いと田口先生から教えていただいて、印象に残った。

ーーーーー以下田口先生の解説ーーーーー
病に臥せっている時に、これをしたらいけないと言われるとやりたくなるけど、それは身を喜ばして快楽に耽るため。体を喜ばせることはしない、身なんか無い、と言った瞬間に命の危険があるものを欲しいということはなくなる。本当の意味で自分の身を思う、健康になることだけを考えて暮らす人は天下を預けても良い。自分の欲望で考え方が左右されるということがない。

自分の身ばかりじゃなくて、他人の身体も心配してつつがなくしたいと思っている人には天下を任せてもいいんじゃないか。私利私欲のない人がいい。権力は有効だけど怖いもの。私利私欲の人が権力を持つとその人のために使われてしまう。リーダーは多くの人の幸せが得られる方法を考える。江戸期のリーダー選出は公平無比な人が第一だった。
ーーーーー以上田口先生の解説ーーーーー

せっかくなので英語の訳と英語の解説も見てみた。
13章は寵愛にせよ肉体にせよ失うことへの恐れが書かれていて、その根本には死への恐れがある。老子は肉体に依存することも、恐れることも否定はしていなくて、恐れがどこから来るのか気づいており、恐れを持って自分の肉体を維持するように世の中を注意深く維持しなければならない。
肉体的な快楽を得るために死ぬことには価値はあるだろうか?
というような内容だった。

以下の老子のテキストは日本語は田口佳史先生の「老子道徳経講義」、英語はでTao Te Ching: The Taoism of Lao Tzu Explained (English Edition) (Stefan Stenudd訳)の引用になります。

寵辱(ちょうじょく)驚(おどろ)くがごとく、大患(たいかん)を貴(たっと)ぶこと身のごとし。何をか寵辱驚くがごとしと謂(い)ふ。寵を上(じょう)となし、辱を下(げ)となす。これを得ては驚くがごとく、これを失いては驚くがごとし。これを寵辱驚くがごとしと謂(い)う。何をか大患を貴ぶこと身のごとしと謂(い)う。われの大患あるゆえんの者は、わが身を有(う)とするがためなり。わが身を無とするに及びては、われ何の患(わずらひ)かあらん。故に貴ぶに身をもってして天下を為(おさ)むる者には、すなわち天下を寄(よ)すべし。愛するに身をもってして天下を為(おさ)むる者には、すなわち以て天下を託(たく)すべし。

Praise and disgrace cause fear. Honor and great distress are like the body. What does it mean that praise and disgrace cause fear? Praise leads to weakness. Getting it causes fear, losing it causes fear. This is why praise and disgrace cause fear. What does it mean that honor and great distress are like the body? The reason for great distress is the body. Without it, what distress could there be? Therefore: He who treasures his body as much as the world Can care for the world. He who loves his body as much as the world Can be entrusted with the world.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?