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VISA却下という悲劇

信じられない。
専門性に欠けると。あなたの代わりはアメリカにいくらでもいますということらしい。
何この不安。自分の力じゃどうしようもない壁。
アメリカ大使館が、自分の人生に立ちはだかる壁にしか見えない。
高い壁だ。絶対動かなそうな重くて高い壁。

却下を言い渡された時、凍りついた。時がとまった。自分だけ。
え??Unfortunately??I'm sorry??うそでしょ?このおば様何を言っているのかしら。却下???そんなことになるなんて聞いてない。そんなパターン全く想定していなかったんですけど。。。えっと、、この後どうすればいいですか? 目が点。頭の上にクエスチョンマーク。右手と右足、左手と左足を同時に出して歩きそうなりながら、大使館を出る。

人生プランが一気に崩れた。
どうしよう。という言葉しか出てこなかった。

とりあえずホテルに戻り、VISAのこと、却下のことについてネットで調べる。今更なやるなよ、面接前にやっとけよ、と思いながら。調べれば調べるほど、考えれば考えるほど、後悔の念が押し寄せてくる。弁護士を信頼しすぎた。しすぎるんじゃなかった。周りの人たちは余裕で取得できていたのに、なぜ私たちだけ?
ロスにすぐ戻れる可能性が格段に下がり、なんならアメリカへの入国も簡単ではなくなると分かると、そこからは失恋モード。

アメリカの場合、VISAに一度落ちるとESTAでの入国は基本的に不可。数日の観光であっても、観光VISAの取得が必要となる。アメリカ大使館は、移民法により「すべての申請者はアメリカに移民する意志がある」という仮定に基づいてジャッジする。よって、今回の却下により「アメリカに移民する意志がある者」となり、仮に観光VISAが取れたとしてもアメリカ入国の際に怪しまれる。別部屋に送られ、強制送還だってありえる。こ、怖い。。どんどん余計な妄想が広がる。

あぁ、こんなことになるなら、あんな軽い気持ちで申請するんじゃなかった。
ロスが一気に遠い存在になった。遠距離してた彼と別れた後のよう。
もうあの地へは2度と行くことがないのか。もう一度あの景色が見たい。もう一度あの部屋で朝日を浴びて目覚めたい。過去の日常が恋しい。
撮った写真を、懐かしいと言いながら何度も見返す。
車のラジオで聞いていた音楽をiTunesで探し慌てて聞き直す。
広くて青い空が見渡したい。
高くそびえるヤシの木を見上げたい。
トラッフィックにはまるから、と急ぎ足で動く。
あの夜景がみたいから、と思いつきでフリーウェイを走る。
乾燥した空気。
眩しいグレーのアスファルト。
水とサングラス。

「LA」と刺繍されたキャップかぶらないで。
「California 」とプリントされたTシャツ着ないで。
アメリカの国旗を私に見せないで。胸がいたむ。

すぐに再申請するけど、落ちる可能性の方が高いのは知ってる。
自分の誕生日はどっちで過ごすのだろう。アメリカ?日本?どっちでもいいから、早く教えて。もう何も考えられない。考えたとしても無駄だって分かってるから。もはやどっちになったとしても嫌。諦め半分、空っぽ半分、期待ゼロ。

神様、ロスに行かない方がいいってことでしょうか。

とにかく、あのロスの家に荷物を取りに行かせてください。。トランプよ。


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