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あの空の上へ

新宿駅を通ったら、
海外からの観光客が写真をとっていた。

なんだろう、と思ったら
彼らはビルを見上げて嬉しそう。

そっか、このビルは珍しいのか。

そういえば私も上京したての頃は
感動してたっけ。
いつの日か煌めこうと信じていたあの頃は。

近未来的な作りのビル。
どこまでもどこまでも同じような塔は続いていて
その林に何度も飲み込まれた。

あんなに珍しいと思っていたのに
息を吸わせぬ人混みも非日常的なビル群も
すっかり慣れてしまったなあ。

テレビで見ていた煌めくあの街で
呑むことなんて日常茶飯事だ。

いつからこんなに感動しなくなったのだろうと
ちょっと寂しくなる。

あの頃は、あんなにキラキラしていたのに。
慣れとは恐ろしいものだ。
切なさがアルペジオのようにこぼれ落ちる。


『都会(Ch.)』を聞きながら歩く街。
相変わらずネオンは眩しくて少し安心した。

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