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『ホカツと家族』 #読んだ本

自身の東京での保活や、シェアハウス / 三世帯同居 / 二拠点生活など様々なスタイルの家族との対話を通じて家族の形を考えていくエッセイ。


私は来月二人目を出産予定。保活も家族もまさに当事者ど真ん中なので、共感や気付きの多い1冊だった。


縁もゆかりもない土地、というハードル

著者一家は滋賀から東京へ移住したものの、夫不在が多いこともあって馴染めず、結局妻の実家のある新潟に再度移住している。

移住先の小金井市は、偶然にもわが町武蔵野市のおとなり。小金井市という町自体は魅力的だけども、「ここにいる理由」を見いだせなかったとある。


ハッとした。

私は武蔵野市に住んでいて、夫の実家は自転車で10分。

  • 東京都武蔵野市という住みよい土地に義実家がある

  • 義実家との関係が良好

これがいかに強力なアドバンテージであることか。

今までは「休日に遊んでもらえる」「病欠時に預けられる」「一緒に成長を見守れる」といった実利面しか見ていなかったけど、「ここにいる理由」に悩まなくていいありがたさに初めて気づいた。


夫婦ともにほぼフルリモートなのでもう少し都心から離れる選択肢もあるけれど、この本での試行錯誤を見ていると、義実家の近く(縁やサポートのある場所)に住み続けるのが一番よいのだろうな。


両親以外との関わりを持つ

「核家族はあかん(要約)」話が出てくるけれども、わかる。子どもには両親以外とのつながりをたくさん持ってほしい。

明治大正あたりの小説を読んでいると「親戚の小説家志望のおじさん」などの居候がよく出てくる。こういうの、いいよなあ。

両親以外にもいろんな人と出会って、関わって、時にはぶつかったりして、世界を広げていってほしい。おとなになってから急に放り出されて戸惑うのではなく、子どものころから一個人として人と触れあう練習を重ねてほしい。

一部屋Airbnbで貸し出して旅行者と交流…なんてできたら理想だけど、東京でそんな家を持つのはまずムリ。なので、できることといえば地域のコミュニティに参加するとか、親同士の付き合いを大事にするとか?


上の子が0歳のときは子育てボランティアとして赤ちゃん広場に参加していて、他のスタッフにも一緒に成長を見守ってもらえるのが嬉しかった。平日開催なので保育園に入ってからは行けなくなってしまったのだけれど、今後も「みんなで子どもを見守る」場があれば積極的に飛び込んでいきたい。


0歳入園に葛藤はあったか?

著者の奥さんが「こんなにかわいいのにもう預けるんか〜」と0歳入園をためらっていて、そういえば私はどうだったっけと忘れないうちに書いてみる。

私の場合、葛藤はまったくなかった。最初から0歳入園一択で、1歳入園は考えすらしなかった。なんなら生後3ヶ月から年度途中入園したいと思っていた(空きが無くて4月入園になったけど)。

なぜかというと…


自分のキャパ

1歳を超えてまで自宅保育をするのは絶対にムリな自信があった。私は精神的キャパが人一倍狭い自覚があって、育児で手一杯になって夫や子どもに当たり散らすのではと産前からずっと不安だった。いざ産まれてみれば子どもは本当にかわいいし、夫はめちゃくちゃ協力的だしで杞憂に終わったけれど、それでも1年以上24時間体制で子どもの面倒を見続けるのは勘弁、という気持ちは変わらなかった。


仕事

1年以上のブランクは避けたかった。フルタイム正社員のエンジニアとして、変わらず働き続けたいし、成長もし続けたい。エンジニア歴がまだ3年と浅かったこともあり、1年以上休むことは考えられなかった。


母親 / 家庭が面倒を見るべきと思っていない

さっきの「両親以外との関わりを持つ」話ともつながるけど、そもそも母親が、もしくは家庭が面倒を見続けるのがベストだと思っていない。もちろん責任者ではあるのだけれど、むしろ家庭以外の場所でたくさんの人と関わって居場所を作っていってほしいと思っている。

家庭はいつでも安心して帰ってこられる場所で、だからこそ外でのびのびと人と関われる。そんな関係になれたらいいなあ。



というわけで、葛藤はなかった。加えて1歳の方が入園しづらい(希望者が多い)事情もあり、0歳入園は揺らがなかった。

例にもれず待機児童問題にドキドキもしたけれど、蓋を開ければまさかの第二希望園定員割れ。武蔵野市は激戦区?と聞いていたので、拍子抜けと同時にほっとした(エリアによるのかな)。

この調子なら第二子も同じ園に入れそうで、思いのほか平和に終わりそうなわが家の「ホカツ」。待機児童解消に奔走してくださった市のみなさまに感謝。




上の子はもうすぐ2歳、来月第二子出産予定というまさに家族のカタチを模索していくタイミングにぴったりの本だった。

著者の終始楽しげな語り口もよかったなあ。

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