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#3-2 スコープ

今回から、プロジェクトマネジメントの10の知識エリアのうち「スコープ」をテーマにした話が続きます。

プロジェクトマネジメントのプロセスマップ

計画時に行う、スコープに関する作業は
 「スコープ・マネジメント計画書」
 「要求事項の収集」
 「スコープの定義」
 「WBS」
の4つが定義されています。

作業の流れも基本的に
 スコープ・マネジメント計画書
   ↓
 要求事項の収集
   ↓
 スコープの定義
   ↓
  WBS
で進めます。


スコープとは?

そもそも、「スコープ(Scope)」の意味ですが、「範囲」という意味です。
(英語のScopeには、他にも「見る」という意味もありますが、プロジェクトマネジメントにおいては「範囲」という意味で言います)

↓以前の記事でも、少し触れています


具体的には、責任範囲・作業範囲と仕様のことです。
プロジェクトにおいて、何を作り・何を作らないかを明確にするモノです。

意味はシンプルではありますが、実際のビジネスでのプロジェクトにおいて、スコープの情報量は非常に多いです。

作業内容、成果物の受け入れ条件、前提条件、制約条件、組織戦略、期間と予算の見積もり、業界の技術知識……など、プロジェクトの作業に関わるありとあらゆる情報を扱います。


計画時のスコープマネジメントの流れ

ザックリですが、スコープマネジメントの流れは、下記の通りです。

 スコープ・マネジメント計画書:マネジメント方法の決定
   ↓
 要求事項の収集:ステークホルダーから要求事項を収集
   ↓
 スコープの定義:詳細化して、スコープを定義
   ↓
  WBS:分解し、WBSを作成する

WBSとはプロジェクトで実施しなければならない全ての作業を洗い出し、階層構造に分類した図のことです。Work Breakdown Structureの略です。

 Work=タスク、作業
 Breakdown=細分化する、部類する
 Structure=構造

スコープの内容をWBSにまで分解し、作業者を割当てることで、プロジェクトの作業の実行が行われます。

スコープ・マネジメントの計画書

「スコープ・マネジメントの計画書」は、スコープの定義、作成、監視・コントロール、妥当性の確認の方法を記述したものです。

スコープ・マネジメントの計画の際には、当該分野専門家(SME:Subject Matter Experts)など、専門知識を持つグループやエキスパートによる判断も参考にします。


プロジェクトマネジメント計画書一覧(『PM BOK』第7版より)

要求事項の収集

「要求事項の収集」という作業は、「プロジェクト憲章」作成時にも行っているので、その時にまとめた内容がそのまま使用できることもあります。

そもそも、要求事項のマネジメントは、顧客要求を把握して開発し、事業価値の達成までを表すので、ビジネスアナリストの担当領域でもありますが、プロジェクトマネージャーと協業で行われることもあります。

要求事項の収集によって、「要求事項文書」や「要求事項トレーサビリティ・マトリックス」というアウトプットを作成します。

プロジェクト文書一覧(『PM BOK』第7版より)

「要求事項文書」でまとめられる項目としては
 ・ビジネス
 ・ステークホルダー
 ・ソリューション(機能要求事項・非機能要求事項)
 ・移管、準備状況への要求事項
 ・プロジェクト
 ・品質
などがあります。

「要求事項トレーサビリティ・マトリックス」とは、プロダクトの要求事項の発生元と、その要求事項を満たす成果物の結びつきを示した表です。
要求事項がビジネス目標やプロジェクト目標に結びついているため、仕様書と成果物の関係がわかりやすくなります。

プロジェクトの特性や必要に応じて、「要求事項文書」や「要求事項トレーサビリティ・マトリックス」を含んだ文書が「要求事項マネジメント計画書」です。

プロジェクトマネジメント計画書一覧(『PM BOK』第7版より)


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