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#2-8 プロジェクトメンバーの役割と責任

チームの構成において、メンバーの役割と責任を明確にすることは非常に重要です。

役割と責任がふんわりと不明瞭な場合、頑張り屋で真面目なヒトばかりに業務が集中して、評価もされないという現象が起こりやすくなります。
その頑張り屋で真面目な人が優秀だった場合、そういうチームからは次第に離れる傾向があるので(優秀なヒトは”離れるスキル”も持っている)、人材の不足で最終的に困るのはチームをマネジメントしている立場のヒトです。

チームの構成メンバーのためにも、チームの構成責任者のためにも、メンバーの役割と責任を明確にすることは非常に重要なのです。

役割と責任を明確にするために、有効なフレームワークがあります。RAMチャートRACIチャートです。

実際の現場では、作成にコストがかかるので、RACIチャートもRAMチャートも各々の頭の中にある場合が多いかもしれません。
実際に作らなくても、考え方として知っておくと役割と責任を明確にするのに役立つと思います。

RAMチャート

RAMチャートは責任分担マトリックスとも呼ばれます。

Responsibility Assignment Matrixの大文字をとって、RAMと略します。

プロジェクトのメンバーがプロジェクトの作業において、どのタスクを割り当てられているかを表した図です。

成果物とは、作業の結果一つの形になったモノです。
RACIチャートでは、広くフェーズにおける役割と責任を明確にしますが、RAMチャートでは、タスクや成果物に対して役割と責任を明確にするので、作業者に自分の担当を理解してもらう目的に作成することが多いです。

RAMチャートは、タスクに関連付けた表です。
RAMチャートの中で、より役割を分解して割り当てたRACIチャートというものがあります。

RACIチャート

RACIチャートのRACIは「レイシー」や「ラッシー」と読みます。

R:Responsible 「実行責任」
A:Accountable 「説明責任」
C:Consulted  「相談」
Ⅰ:Informed   「通知」

「実行責任」、「説明責任」、「相談」、「通知」の英語表記の頭文字を合わせて、RACIです。

A:Accountable 「説明責任」
ある作業におけるリーダー役割と同義の意味として扱われるので、1つの作業につき、1名しか割り当てることが出来ません。
シンプルに言えば「責任者」という位置づけです。

R:Responsible 「実行責任」
実行すること自体に責任を持つヒトで、複数人割り当てることが出来ます。
シンプルに言えば、「作業者」という位置づけです。リーダー自身が作業することもあるので、Aと兼任できます。

C:Consult  「相談」
Cは、何か問題が起こった際に相談を受ける側です。ゼロ~複数人を割り当てることが出来ます。

Ⅰ:Inform 「通知」
進捗の報告をしたり、情報を共有するヒトです。C同様、ゼロ~複数人を割り当てることが出来ます。

RACIチャート例

RAMチャートとRACIチャートの使い時

RAMチャートもRACIチャートもプロジェクトの活動の全てにおいて作成するのは、少しコストがかかりすぎるかもしれません。

個人的な経験談として、RAMチャートやRACIチャート(の考え方)が活かせるのは、プロジェクトの活動が上手く言ってない時です。
関係者の相関関係を整理することで、問題解決になることがあります。

RACIチャートのAの行動をしているヒトが2、3人いる状態で、意思決定が出来ない状態だったとか、Ⅰの役割を持った人が多すぎて、無駄なコストがかかっている……等です。

また、「どんな仕事でも、問題の原因の半分くらいは人間関係」みたいなコトを聞いたことがあるのですが、人間クサイ問題も、普通に起こります。

各人が個人的な価値観の中の正義をぶつけてくるので、分かりやすい悪人がいることもそんなになくて、結構難しい問題です。

注意が必要なのは、問題が起こっている時に整理する場合、誰かにとっての不都合な真実(「あれれ~?本当はこの人がが実行責任者なのに、全部部下に押し付けている証拠があるよ」「スキルがそろってないこの人が、なんでこのポジション!?」みたいな)が明るみになることがあります。その対処方法には注意です。
その対応で必要なのは、分析とはまた別のスキルです。(時には、政治力とか、忍耐力とか……)

RAMチャートもRACIチャートも、上手くいっているプロジェクトマネジメントにおいて活用するかは、人それぞれですが、こういった知識があることで問題解決のアプローチが増やせるので、活用できないとしても、知っておくことは大事なことかな、と思います。


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