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#3-8 WBSとガントチャート

前回(昨日)の記事で、WBSを作成したら、アクティビティ資源の見積もりや順位設定のステップに進む、という話をしましたが、多くのプロジェクトマネジメントにおいて、実際に管理のために使われるのがガントチャート(Gantt Chart)というスケジュール表です。
また、実際の作業では、「アクティビティ」より「タスク」という表現が一般的なので、以下、「アクティビティ」のことを「タスク」を表現します。

↓前回(昨日)の記事(「アクティビティ」と「タスク」の違いも)

ガントチャートでは、タスクの前後関係や、いつからいつまでに作業を実施するのかが明確に記載されます。

WBSでリストアップされたタスクはすべてガントチャートに記載にするので、タスクの内容は、WBS=ガントチャートの関係になります。

WBSは「何(What)をすべきか」を明確にするモノで、ガントチャートは「いつ(When)すべきか」を明確にするモノ、という役割の違いがあります。

ガントチャート

縦軸にタスクをリストアップし、横軸に日付を記します。
タスクの開始日と終了日に合わせて記載されるバー(棒)で、タスクの所要期間がわかるため、「バー・チャート」とも言います。

ガントチャートは、有料のツールもありますが、エクセルで作ることもあります。

成果物、要素成果物、活動タスクを、優先順位の高いものから表の上部に配置します。
各タスクに開始日と終了日を設定します。

 タスクの始まりと終わり
  ↓
 要素成果物の始まりと終わり
  ↓
 成果物の始まりと終わり
というように、各期間を特定していくと、最終的にはプロジェクト全体の開始・終了日と期間がわかるようになります。

ガントチャート(イメージ図)
※かなり雑に作っています

ガントチャートの作り方も、決まったルールがあるわけではないですが、
WBS=ガントチャートの関係になるので、
WBSを90度、反時計回りに回転させたら、縦軸のタスクのリストアップになります。

WBSの図(例)

↓90度 反時計回りに回転

ガントチャートの縦軸のタスク

マイルストーン

ガントチャートを作成したら、プロジェクト憲章で定義されていた期日に合うか、整合性の確認を行います。
プロジェクト憲章の段階で、ある程度見通しが立っていればそのまま作業開始が出来ますが、そのままでは期日に間に合わないケースも出てきます。

その際は、人的リソースを投入して特定のタスクにかかる期間を短縮したり、同時並行で行えるタスクを複数同時に進めたり、「何とかやりくりをして」期日内に収まるようにします。
その際に指標になるのが、マイルストーンです。
マイルストーンとは、時間的な目印になるものです。

マイルストーンをいくつか置いて、その期日までに決めた作業が間に合うように管理することで、全体の進捗の管理がしやすくなります。


それでも、明らかにスケジュールの期日に問題がある場合などは、プロジェクト憲章そのものの変更をスポンサー(経営層)に承認してもらったります。
スケジュールの期日を延期するか、そもそもの要求事項のレベルを下げて、期日内で完成するモノを開発するのか、など、どのような落としどころになるかは、スポンサー次第です。


ガントチャート運用上の注意点

ガントチャートは、プロジェクトの作業の進捗を可視化するモノで、非常に便利ではあるのですが、作成にもそれなりのコストがかかるうえ、更新にもコストがかかります。
更新する担当を明確に決めておかないと、誰も更新しない、という事態も起こるので、更新する担当まで決めておくのがベターです。

定例などで、ガントチャートを共有し、その場で報告を受けながらPMが更新する、でも良いかもしれません。

また、ガントチャートの作成者は、タスクの相関関係を認識したうえでガントチャートを作りますが、プロジェクトのメンバーは、そこまで関係性を認識していない状態でガントチャートを確認する、ということも多いです。
関係性とは、あるタスクを開始するのに、別のタスクが完了している必要がある、などです。
誰が見ても、タスクの関係性が理解できるように、期間のバーをつなげる、タスク同士を矢印で結ぶ、関係性のあるタスクを同じ色にして視認性を上げるなど、情報の補足して工夫することも大事です。

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