#2-18 タックマン・モデルとコンフリクト・マネジメント
チームを構成して、プロジェクトの活動をスタートするのと同時に、チームが良いパフォーマンスを発揮するための、チーム形成もスタートします。
チーム形成をプロセスとして捉える考え方に「タックマン・モデル」というモノがあります。
Tuckman(タックマン)さんが考えたモデルなので、タックマン・モデルと言います。
タックマン・モデル
タックマン・モデルではチームの状態を、
成立期、動乱期、安定期、遂行期、解散期の5段階に分けて考えます。
最も良い状態は遂行期で、プロジェクトマネージャーやチームリーダは、早く遂行期に移行させ、遂行期を長続きさせるようにマネジメントをします。
1.成立期(Forming)
:チームメンバーが初めて集まる。
・お互いの名前、チームでの役割、スキル・セット等を知る。
・お互い探り合い、相手にどう見られるか心配している。
・個人をさらけ出すのに躊躇がある。
・リーダは、指揮型リーダーシップ(※)を発揮するのが有効。
※リーダーシップ論については、下記記事に。
2.動乱期(Storiming)
:メンバーは、チームでの立場をめぐって争う。
・メンバーが自己主張を始め、課題が発生すると解決方法をめぐって対立や争いが起こる。
・個性の違いが明らかになり、コンフリクト(衝突)が生じる。
・リーダーは、メンバーの心の安定のためにサポートを行う。(食事会を設定して、お互いの人間性を理解できるような場を設定する 等)
3.安定期(Norming)
:チームが一つの集合体として機能し始める。
・メンバーが、お互いの立場や個性、どのように連携するべきかを認識する
・お互いの人間性が理解できると、メンバーの心が安定し、チーム内のコミュニケーションが良くなる。
・チームは課題を心配することなく、生産的に作業を開始する。
・リーダーは、チーム内の業務上の交流を仕掛けて、問題解決などへの協力を推進する。
4.遂行期(Perfoming)
:チームの運用効率が高まる。
・チームは最適な生産性で機能する。
・より多くの成果を達成し高品質のプロダクトを生み出す。
・メンバーは協働し、チーム内の助け合いが活発になり、コンフリクトの問題を解決していく。
・リーダーは、メンバーへの信頼を基に権限委譲する。
5.解散期(Adjourning)
:チームの作業は完了し、メンバーは次のアサインされたプロジェクトに移る。
遂行期に至るまでにかかる期間は、リーダーシップのスタイルによって左右される、と言われています。
動乱期をいかに乗り切るかが大事ですが、逆に言えば、動乱期は必ず訪れます。チーム内でのコンフリクトや意見の不一致は、多かれ少なかれ避けられないものです。
動乱期に生じるコンフリクトに対応するための、コンフリクト・マネジメントという考え方があります。
コンフリクト・マネジメント
コンフリクト・マネジメントとは、意見の相違に対処することです。
コンフリクトには、「争い」や「衝突」という意味の他にも、「異なる意見や要求などを交換すること」という意味もあります。
あらかじめ、意見の対立を予測しておき、問題が発生する前に対処方法を考えておくことで、コンフリクトの解消に役立ちます。
例えば、見積りでメンバーの意見が一致しない場合、より高い見積りを採用するといったルールを決めておく、等です。
またそういったルールを「チーム憲章」に明記します。
「チーム憲章」は、チームの意義や合意、運用指針を記録した文書で、プロジェクトメンバーに期待する振る舞いの根拠となるものです。
↓「チーム憲章」について
コンフリクトは、初期段階のうちに対処するのが好ましく、直接的で協力的なアプローチを通じて、非公式に解決することが望ましい、とされています。
コンフリクトへの対応モデルとして、ケン・トーマとラルフ・キルマンの研究に基づくモデルがあります。
状況に応じて、とるべき6つの対処方法が提示されています。
協力、対峙/問題解決が最も望ましく、撤退/回避が最も望ましくない対応です。
強制は、緊急性がある場合は一番好ましいですが、「勝つか負けるか」という状況で、どこかに犠牲は生じるので、出来れば、協力、対峙/問題解決のアプローチが望ましいです。
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