#2-2 はじめにヒトありき
今回の記事は、プロジェクト活動で一番最初のステップである「チーム作り」に関する話です。
そして、今回の記事から、しばらく"ヒト"に関するトピックの記事が続きます。
プロジェクトマネージャー(PM)として、一番最初に関わるプロジェクトのイベントは「プロジェクトマネージャーの任命」です。
しかし、これは基本的に受け身であることがほとんどです。PM自身は特に何もしません。
PMとして任命された後、PMの一番最初の能動的な活動は、チームを構成する(マネジメントする)ことです。
持論ですが、リソース(ヒト・モノ・カネ・時間・情報)の中で、一番最初に扱った方が良いのは、ヒトです。
以前、関連した内容として、『プロジェクトの土台は「ヒト」』という記事も記事も書いていますので、「ヒト」からスタートすることにピンとこない場合は、コチラも読んでいただけますと幸いですm(__)m
チームを構成するためにまず必要なことが、「ステークホルダーの特定」です。
プロジェクトマネジメントのプロセスマップでは、一番初めの立上げフェーズにおけるプロセスは「プロジェクト憲章の作成」と「ステークホルダーの特定」と定義されています。
教科書の順番の流れだと、統合エリアの「プロジェクト憲章の作成」の方の解説が先に来ていたりしますが、実際はまず、チームが構成されないと、その中でプロジェクトマネージャーという役割も与えられない(任命されない)ので、チーム構成の源・ステークホルダーの特定という話から進めていこうと思います。
私は「ステークホルダーの特定」を、早い段階(出来れば一番最初に)で行った方が良いと考えています。
「プロジェクト憲章」が承認されて初めて、初めて正式にプロジェクトとしての活動がスタートするので、一番最初は、ごく少数のコアメンバーだけで構成されます。
また、ステークホルダーを”特定する”だけなので、プロジェクトが正式にスタートするまでは、一緒にプロジェクトの活動をしない、ということもあります。
(登録簿に名前が載るだけ、など)
「ステークホルダーの特定」とあるものの、まずはステークホルダーについてのお話から。
(「ステークホルダーの特定」については次回の記事でまとめています)
ステークホルダーとは、簡単に言うとプロジェクトの利害関係者のことです。
PMにとっての利害関係者ではなく、プロジェクトにとっての利害関係者です。
プロジェクトの意思決定や活動に影響したりorされたり、プロジェクトの成功or失敗によって、直接的or間接的に影響を受ける人々です。
『PM BOK』というプロジェクトマネジメントの教科書に、「プロジェクトマネージャーを取り巻くステークホルダーの図」というのがあります。
PMが中心にとなって、プロジェクトチームやスポンサー、顧客に影響を与えたり、受けたりしながら、目的の達成や成果物(モノやサービス)の完成を目指します。
図のように、身近にいるプロジェクトメンバーから、遠くで関わるエンドユーザーまで、色んなステークホルダー(利害関係者)が存在します。
プロジェクトの活動は、PMを中心にした輪の中で行われます。
立上げフェーズにおける「ステークホルダーの特定」というのは、この輪を描くイメージです。
ステークホルダーの特定から始まり、関わり方の計画を決めて、計画の通りに実行して、関わり方を監視・コントロールする。
この一連の流れが、「ステークホルダー」という知識エリアで定義されていることです。
まずプロジェクトで関わるヒトの枠組みを明確にする。
そこから各ステークホルダーの立ち位置によって、プロジェクトへの関与のさせ方をコントロールしていきます。
また、図にもある通り、ステークホルダーの特定は、プロジェクトのメンバーといった身近な方だけではなく、幅広い対象に行います。
プロジェクトを円滑に進めるためには、広い視座を持ってステークホルダーと良好な関わりを持つことが不可欠です。
「PMで一番大事な能力は、コミュニケーションスキルだ」という話も、良く聞きます。
私は一番大事な能力は問題解決能力だと思っていますが、”問題解決能力”には、”コミュニケーションスキル”が必須です。
(問題解決能力の方が、広い意味かもしれません)
ステークホルダーとのコミュニケーションは、
「適切なタイミングで、適切な相手に、適切な表現と粒度で報連相を行うこと」が大事です。
これは、PMに限らず社会人には求められることですけどね。
各ステークホルダーの立ち位置や関わり方を把握しておく必要があるので、あらかじめ整理しておきましょう、というのが「ステークホルダーの特定」です。
また、PMの素質として、プロジェクト時間の90%をコミュニケーションに費やしていること、というのが挙げられたります。
ただ、ここで定義されているコミュニケーションとは、
「頻繁にお喋りをして色んな人に顔や名前を覚えてもらう」
「どんどん社内の知り合いを増やす」
みたいなアプローチとは少し性質が異なります。
勿論、社内において、出来る限り広範囲で、良い人間関係を築くことはとても大切です。
しかし、世渡りや社内政治のためといった自分のために行うコミュニケーションではなく、プロジェクトのためのコミュニケーションが求められます。
そのため、言いたくないことも言わなくてはいけないし、好き勝手に好きな内容を話すのではなく、必要な相手に適切な情報をきちんと”伝える”ことが大事です。
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