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やっぱり、テイラーは最高だ!『TaylorSwift :THE ERAS TOUR』レポート

2024年、2月7日〜10日に東京ドームで行われた『TaylorSwift : The Eras Tour』。来日公演は5年ぶりということもあり、半年前のチケット販売時からファン(Swifties)のボルテージは上がりっぱなしだった。2023年から続く本ツアーだが、2024年の最初の開催地が東京だということもあり注目度も高い。年末に公開されたEras Tourのライブ映画は東京公演に訪れる人々にとっては完全にネタバレとなっているわけだが、そのせいでライブへの期待値が下がることはなかった。壮大な演出と映っているファッショナブルなSwiftiesを観て、自分が参加するのが楽しみでしょうがない人ばかりだったはず。
今回披露された楽曲はサプライズソングに曲を含む全45曲。これまでのEra(時代)を振り返るツアーだということもあり膨大なエネルギーを感じることができた。過去のツアーでもそれ以前のアルバムから定番曲を披露することはあったが、衣装からスピーチまでこれまでの道のりを辿る演出は、長年彼女を応援してきたSwiftiesにとっては思い出深いものであったはずだ。

多国籍なライブ会場

実は今回のツアーはアジアの会場が東京とシンガポールのみということもあり、講演が行われない中国や韓国、東南アジア諸国の国々から多くのファンが集まった。そのためか普段の日本公演とは一味違った陽気な雰囲気が味わえたのではないだろうか。会場1時間前になると22ゲート前のグッツ売り場から一塁側のゲートまでがSwiftiesの交流スペースとなり、国を超えた交流が行われた。オンラインのみで繋がっていたSwiftiesたちが自作のオリジナルグッズをsns上で公開し参加日時を伝えることで、実際に会場で初めてオンラインフレンドと出会う。友人と複数人で来ている人だけでなく、海外から1人で来ている人も少なくなかったためか、異なる言語圏の人々がお互いのファッションやグッズをきっかけにコミュニケーションをとる姿が印象的であった。過去のMVを真似して衣装を作ったファンらが集まり撮影会が行われる様子はまるでコスプレ会場のような盛り上がりを見せた。

FB(friendship bracelet)はお金をかけて衣装やグッズを用意できない人々であってもを簡単に用意することができるだけあって、東京でも多くの人が身につけていた。これは最新アルバム『Midnights』に収録されている楽曲「You're on Your Own, Kid」の歌詞に"フレンドシップブレスレットを作ってその瞬間を味わう"という歌詞があることから広まった文化。過去の楽曲のタイトルやテイラーを象徴する言葉を入れたビーズのブレスレットを作り、出会ったSwiftiesと交換する。最近ではK-POPアイドルの公式グッズにビーズのブレスレットがあったことから、Swiftiesが作ったトレンドとしてこれから広まる可能性もありそうだ。

'Cause there were pages turned with the bridges burned
Everything you lose is a step you take
So make the friendship bracelets, take the moment and taste it
You've got no reason to be afraid

↓ツアーに合わせて公開された映画に着ていくファッションの提案をする記事。似た内容のSNS投稿も多く見られた。


観客の集まる東京ドーム

会場のボルテージが爆上がり curuel summer

今回のツアーでファンが楽しみにしていたであろう曲「curuel summer」。もともと2019年のアルバム『Lover』の収録曲の一つであり、大々的に宣伝されていたわけでもないこの曲だが全米シングル・チャートで1位を獲得。2023年6月にシングル曲として再リリースされると世界中の音楽チャートを再び駆け上がり、10月には全米シングル・チャートで再び1位となった。2019年のベストソングとも言われている楽曲であり、危険な一夏の恋愛を詠った歌詞は、どの世代の女性にも刺さる。この曲を熱唱するファン様子がsnsに投稿されると多くの注目を集め、ファンなら暗記必須定番曲の一つとなった。

サビ前のブリッジは大声で叫べるように完璧な準備が必要だ。

I’m drunk in the back of the car
And I cried like a baby comin’ home from the bar (Oh)
Said, “I’m fine,” but it wasn’t true
I don’t wanna keep secrets just to keep you
And I snuck in through the garden gate
Every night that summer just to seal my fate (Oh)
And I scream, “For whatever it’s worth
I love you, ain’t that the worst thing you ever heard?”
He looks up, grinnin’ like a devil

curuel summer

永遠のラブソング『Enchanted』

この曲がリリースされた当初からロマンティックな歌詞とメロディーは『Love story』に並ぶ王道恋愛ソングとなった。この曲がきっかけでテイラーにハマったという人も少なくないはず。『Enchanted』は日本語で「魔法にかけられて」。ディズニー映画のタイトルでもあり、曲名だけでおとぎ話のプリンセスを思いかべるメルヘンな世界観が特徴的な曲。ツアーでは毎度お馴染みでありながら毎度話題になる曲だが、今回のツアーでも華やかな演出と美しいドレスで会場を魅了した。裾の大きく広がったドレスを着て花びらのマウステージの中心に立つテイラーを囲って、美しいドレスを着たダンサーたちが蝶のように舞う。SNS上に上げられた写真はバービー人形のようだと話題になる程、まさに女性の憧れを詰め込んだステージであった。このドレスは数種類用意されていて公演日によって切り替わる。東京公演でもピンクやライトブルーなど異なる色のドレスを身につけていた。最終日に着たドレスは彼女にしては珍しいライトブルーのドレスでまさにシンデレラの物語のようであった。

ピンクのドレスもとても華やかだ

ツアーの人気者 個性豊かなダンサー達

ツアーが行われるたびに話題となるダンサーたち。これまでのツアーでもイケメンダンサーが注目されたり、日本人のダンサーが活躍していることで話題になったこともあった。今回のEras tourでも個性豊かなメンバーが集結している。

Swiftiesの間で人気者となったのがKameron Saunders。ダンサーと振付師として以前から高い評価を受けていたが、今回のEras Tourメンバーに抜擢されるとチャーミングな笑顔とキャラクターで人気を集めた。彼のinstagramにはテイラーやダンサーメンバーとの仲睦まじい動画がたくさん投稿されている。

彼が「We Are Never Getting Back Together」のサビ前の歌詞"Like ever"を日本語で言い換えて披露する場面は話題を集めた。Kameron がゆっくりと立ち上がりキメ顔でセリフを言うと、横に立つテイラーもキメ顔で手を振り上げる。「アリエナイ」「ゼッタイニナイ」「マジムリ」は世界中のSNSで拡散され、Swiftiesの間では有名な日本語になったはずだ。

I used to think that we were forever, ever and I used to say "Never say never..."
Ughhh...So he calls me up, and he's like, "I still love you," and I'm like, I mean this is exhausting
You know, like we are never getting back together
Like, ever

We Are Never Getting Back Together

また、今回のツアーがきっかけで大きく知名度が上がったのが、スロベニア出身のダンサーJan Ravnik。業界の中ではダンサーとしての評価が高く、ブルーノ・マーズやマライア・キャリーのダンサーとして活躍しきたが、Eras Tourは彼の知名度を大きく引き上げた。セクシーな衣装と俳優顔負けのダンディーなビジュアルは多くの女性の心を掴み、中には彼の顔写真で作ったパネルを掲げてライブに参加するファンも現れるほど。

なぜ今なのか-時代を代表する歌姫がついに頂点に到達する

幼少期にギターをもらってから作詞作曲を続けてきたテイラー・スウィフト。路上でギター片手に歌を歌っていた少女が、最年少でグラミー賞を受賞して脚光を浴びてから早15年。ついに誰もが認める女王として君臨した。これまで多くの恋愛やトラブルが話題となった彼女だが、それらを踏み台にして着実に王座への階段を登り続けてきた。Eras Tourが始まってからも賞を受賞し続け、世界最高のアメフトチームに所属するボーイフレンドまで手に入れることとなったが、やはりその始まりは『reputation』でみせた最高の復活劇にあるのではないか。

「reputation Stadium Tour」の冒頭。大きな画面位テイラーに対する噂話の数々が映し出されその影からゆっくりと蛇が這い上がってくる。王座に腰掛け正面を見据える彼女の表情は、姿を消す前とはすっかり変わっていた。急に姿を消した彼女をネタとして消費してきたセレブたちに真っ向勝負を仕掛けるような形で現れる演出はまさに鳥肌もの。ポップでカントリーな恋する女の子が最強の悪女として復活する。ディズニーヴィランのような展開に、彼女を長く待ち侘びたファンらが大熱狂したことは記憶に新しい。

逆境を乗り越え少女の殻を脱いだテイラー。自らを守るために築いた分厚い殻から解放された彼女の目に映る世界はそれまでよりもどこか客観的で、常に自分自身を見極める大人の余裕を感じさせる。そこから5年、コロナ禍に自宅に籠り自分自身と向き合いながら曲を作り続けてきた。だからこそ生まれた今回の『Eras Tour』は彼女のこれまでの歴史を自ら振り返る第1章のフィナーレであり、新たな章へとつながる大きな伏線となるのかもしれない。

終盤の虹色に輝くドーム、私のデジカメの限界

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