くどうあや

映画と音楽と本が好きな23歳。遠い国の文化に触れたいけれどお金がないからエンタメから全…

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映画と音楽と本が好きな23歳。遠い国の文化に触れたいけれどお金がないからエンタメから全て吸収しようとしている。 文章を書く仕事がしたい

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家族よりも恋人よりも愛する存在って?:映画『ソウルメイト』

原作は映画ファンから根強い人気を持つデレク・ツァン監督の映画『ソウルメイト/七月と安住』。2010年公開の映画『短い記憶』で第93回アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされ脚光を浴びたミン・ヨングン監督が、韓国・済州島を舞台にリメイクした本作。 余韻に浸りながら映画を思い出すと少し幸せな気持ちになれるような、私の人生映画とも言える作品とあった。 あらすじ ー以下ネタバレを含みます 本作で描かれているのは恋人も家族決して間に入ることのできない、ミソとハウンの「ソウルメイ

    • 大好きなアイドルが性犯罪者になった:映画『成功したオタク』

      あらすじ 2019年3月11日、韓国の人気アイドルであるチョン・ジュニョンが女性との性行為を盗撮しチャットルームに公開した容疑が発覚、3月21日には女性への集団暴行の疑いで逮捕された。本作の監督であるオ・セヨンは彼の熱狂的なファン「成功したオタク」として知られていて、実際にチョン・ジュニョン本人やファンの間でも認知されている有名人である。推しの逮捕をきっかけに「失敗したオタク」となった彼女は、同じ経験をした人々にインタビューをし、ファンとは「成功したオタク」とは何なのかを問

      • アートで見る現代社会はニュースよりも分かりやすいのかも :横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きている」レポート

        現在開催されている第8回横浜トリエンナーレ「野草:いま、ここで生きている」。横浜美術館と旧第一銀行横浜支店に展示された作品を見て回ったので、気になった作品をいくつかピックアップして紹介してみる。 買ったばかりの中古デジカメで撮っているので写真のクオリティは気にしないでもらいたい。 美術館に入ると、大きな空間に並べられた大作たちに前後左右を囲まれる。その中でも特に目を引いたのがOpen Groupの作品『繰り返してください』である。ウクライナのアーティスト6人で結成されたO

        • 私たちはどこで生まれどこへゆくのか: マルチレイシャルとして生きること

          「どこの国の方なのですか?」 これまでの人生で500回は言われた言葉。こういうときになんで言えばいいのか。 「日本生まれの日本育ちです。」 これは間違いない事実。 でも何人なのかと聞かれるとちょっと迷う。 国籍は日本だし他の国の人にはなれないけど、別に日本人でなくてもいいのかもしれない。 何にもなれない私たち。 黒人と白人とアジア人のミックスである私は常にふわふわした存在である。 私たちはハーフではない。日本ではハーフという存在は人種化され、既存の人種アイデンティテ

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          恋愛経歴から振り返る テイラー・スウィフトが作り上げたおとぎ話の世界

          2023年から始まったテイラー・スウィフトの『The Eras Tour』。2024年の最初の会場として2月7日-10日に東京ドームで4日間の公演が行われ、5年ぶりの来日公演ということもあり大きな盛り上がりを見せた。1年9ヶ月にも及ぶメガ級ワールドツアーに世界中が熱狂、東京ドームには公演の行われない中国や韓国からも多くのファンが集まった。2023年には年間ベストアーティストに選ばれ、来日の前日にはグラミー賞最優秀ポップアルバム賞を受賞。常に注目を集め続けるテイラーだが、なぜ彼

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          足元の世界に吸い込まれる、移民の素朴な日常:映画『Here』

          ブリュッセルで暮らすルーマニア移民の建築作業員シュテファンと中国系ベルギー人の蘚類(苔の一種)学者シュシュの物語。 本作は粒子の粗い16mmカメラで撮られた懐かしさのあるの世界観と、静止画のような場面の切り取りが繰り返される独特の映像が特徴的。静止したカメラの中では人間と緑のみがかすかに動いており、ポストカードのような場面が繰り返されるためどこを切り取っても絵になる。 監督であるバス・デヴォスは常に人々の小さな営み=地球を誠実に描き続けており、83分の短い映画でありながら満

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          やっぱり、テイラーは最高だ!『TaylorSwift :THE ERAS TOUR』レポート

          2024年、2月7日〜10日に東京ドームで行われた『TaylorSwift : The Eras Tour』。来日公演は5年ぶりということもあり、半年前のチケット販売時からファン(Swifties)のボルテージは上がりっぱなしだった。2023年から続く本ツアーだが、2024年の最初の開催地が東京だということもあり注目度も高い。年末に公開されたEras Tourのライブ映画は東京公演に訪れる人々にとっては完全にネタバレとなっているわけだが、そのせいでライブへの期待値が下がること

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          韓国サバイバル番組から読む東南アジアの社会的アイデンティティ :『UNIVERSE TICKET』

          韓国サバイバルオーディション番組に毎度のようにどハマりしているのだが、今回も例に洩れずスマホ片手に『UNIVERSE TICKET』の最新エピソードを見ながら通学していた。 そんなときに、たまたまもう片方の手に持っていた本「私たちは同調する」と、番組を観ていて感じていた疑問がビビッとくっついたのだ。 なんか東南アジア出身メンバー、強すぎない? 1月にAbemaで放送された韓国の公開オーディション番組『Univers Ticket』。壮絶なサバイバルを経て様々な国から集まっ

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          彼女も普通の女の子だった : 映画『ロスト•イン•トランスレーション』

          2003年に公開された映画『ロスト•イン•トランスレーション』。リバイバル上映された年末に渋谷の映画館は、1日1度の上映ということもあり多くの観客で埋まっていた。 監督はソフィア•コッポラ。本作はデビュー作『ヴァージン•スーサイズ』に続く2作目の長編映画である。『ヴァージン•スーサイズ』では美しく儚い少女たちの姿を描き、日本でも「ガーリー•ムーブメント」の象徴的作品として人気を博した(実際は女性達の社会的抑圧を辛辣に描いた作品であったが)。本作もソフィア•コッポラ=ガーリー

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          ビヨンセ 映画『Renaissance: A Film by Beyonce』

          2023年音楽界に大きな衝撃を与えたビヨンセの7年ぶり単独ワールドツアー「ルネッサンス・ツアー」の様子と制作過程を収めた映画『Renaissance: A Film by Beyonce』が公開された。本ツアーは観客動員数270万人を集め、12月21日からは日本の一部劇場でも限定公開が始まった。4年間の構想を経て実現したステージは衣装からゲストまでまさにメガ級。アレキサンダー・マックイーンやグッチ、ティファニーといった有名ブランドが衣装提供をしていることでも注目が集まった。

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