フランスから、食関連ニュース 2021.02.10
今週のひとこと
パリのパラスホテル「プラザ・アテネ」内のメインダイニングで、ミシュランガイド3つ星に輝く「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」は、ガストロノミー界の最高峰のレストランの一つ。昨年、フランス版ミシュランではアジア人初の3つ星に輝いた小林圭も7年にわたり腕を磨いた場所。その店の客室ディレクターを2020年のオープニングから務めてきたドゥニ・クルティアードさんが、弊社に立ち寄ってくださいました。彼自身の包丁の研ぎをマリナに託すため。
今年のミシュランの発表では、シェフ以外の、レストランに関わるさまざまな職業にも光を当てようと、特別な賞を設けていました。メートル・ドテル(客室責任者)もその一つ。2人の女性が賞に輝きましたが、メートル・ドテルの代表者、スポークスマンとしてマイクを握ったのがドゥニでした。ドゥニは2012年には、メートル・ドテルによる、メートル・ドテルのための組織を作ろうと「O service」を創立し、近年はメートル・ドテルコンクールを仲間とともに立ち上げて、ボキューズ・ドール(料理の国際コンクール)やクープ・ドゥ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー(パティスリー国際コンクール)に並ぶ大会にしたいと、若者の育成に力を入れています。「ボランティア」だと笑いますが、非常に精力的です。確かに、ドゥニがおっしゃる通り、今までサービスは一国一城の作法であり、その城から出ることは少なく、組織的ではありませんでした。それを、料理人、パティシエと同じように、市中で育てていくべきだという問題意識が使命感となって、周りをも動かしています。
このコロナ禍でも、レストランなどで実習のできない若者たちに何かできることはないかと、オンライン、あるいは地方にも直接足を運んで、コミュニケーションを惜しみません。弊社にも足を運んでくれたのは、あるファッションカメラマンが、「庖丁とレストラン関係者」をテーマに100人以上のポートレートを撮影していて、マリナとドゥニがその撮影にたまたま前後した。そこで興味を持っていただいたというのがきっかけでしたが、常にフットワークを軽くして、料理界において、若者たちが何を学ぶべきか、支援すべきかを自分の足で探し、コミュニケーションをして、果実を生んでいる。そんな姿勢と彼自身が育ててきたことに、心から敬意を覚えました。
今週のトピックスは今週のひとことの後に掲載しています。【A】バーガーキングのキャンペーン、ジャガイモを無料配布。【B】173軒を展開する「Boulangerie Ange」、販売ケースをレストラン関係者に無料開放。【C】「ラデュレ」売却のニュース。【D】デンマーク、コロナワクチン接種済みのデジタル「コロナパス」発行を決定。【E】NASA発のコンペティション「ディープ・スペース・フード・チャレンジ」が目指すもの。
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美食大国フランスから。週刊食関連ニュース
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